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  道路土工(要綱、切土工・斜面安定工指針)の改訂とフォーラムエイトの対応  ('09.07.22掲載)
ライン
7月上旬に発刊されました道路土工の「要綱」、「切土工・斜面安定工指針」の主な改訂内容とその対応(斜面の安定計算)について報告致します。

 指針改訂の趣旨

今回の主な改訂項目は表-1に示す(A)〜(D)に整理されます。設計の考え方として、性能規定型設計の導入および雨水貯留浸透施設の導入が追記されているのが大きな特徴です。性能規定型設計については要求性能の規定が体系化されましたが、それに対する具体的方法論については動的有限要素法およびニューマーク法の解析手法名が挙げられるに留まり、鉄道基準のように具体的解析法の詳細指定は無いようです。これは、性能規定型設計の本来の意図通り、具体的方法論についは設計者自身による自由な発想での解析を行うという理念に基づくものであると思われます。

表-1 土工指針の主な改訂主旨
(A) 指針の再編・再体系化 図-1に示すとおり、分冊化した指針の再体系化を図るため、これまでの「道路土工要綱」と8指針から、「道路土工要綱」及び「盛土工指針」、「切土工指針・斜面安定工指針」、「擁壁工指針」、「カルバート工指針」、「軟弱地盤対策工指針」、「仮設構造物工指針」の6指針に再編された。
体系化としては、図-2に示すとおり、「道路土工要綱」を最上位として「基礎編」と「共通編」に大別し、その下に「盛土工指針」と「切土工・斜面安定工指針」を、更にその下に「軟弱地盤対策工指針」と「カルバート工指針」、「擁壁工指針」という体系化が図られた。
(B) 条文スタイルの採用 指針構成は「道路橋示方書」や「河川砂防技術基準」のように、セクション冒頭において要点の枠書きが設けられる形式に変更された。
(C) 性能規定型設計の土工指針初の導入 各分野での技術基準に性能規定型設計の導入が進められるなか、道路土工の分野においても、今後の技術開発の促進と新技術の活用に配慮した指針を目指し、性能規定型設計の考え方を土工指針として初めて取り入れられた
ただし、後述の通り性能規定型設計への適用に関する法的強制力は弱いといえる。
(D) 雨水貯留浸透施設の導入 旧版にない新たな項目として「雨水貯留浸透施設」に関し、平成17年に策定された「特定都市河川浸水被害対策法」に基づいて、道路建設における雨水貯留浸透施設設置の考え方が導入された。

図-1 再編に伴う新旧指針の関係

図-2 土工指針の新たな体系図


 「道路土工要綱」の改訂内容

<構成内容>

「基本編」では、道路土工に際して遵守すべき法令等、道路土工の計画・調査・設計・施工・維持管理における基本的な技術理念が記載され、「共通編」では、複数指針に渡る共通事項として、「調査の方法とその活用」・「排水」・「凍上対策」・「施工計画」・「監査と検査」について、現在の技術動向や課題が記載されています。
旧要綱に無い新たな追記項目としては、共通編4章での「雨水貯留浸透施設」の追加が挙げられます。

表-2 道路土工要綱の構成
区分 内容 備考
基本編 法令・技術理念について規定 性能規定型設計の導入に関する項目が追記され、照査に用いる地震動は従来の静的震度ではなく、「道路橋示方書」のレベル1・レベル2地震動を用いることが規定されています。
ただし、記載としては従来の仕様型設計を許容する内容(みなし規定)となっており、性能型規定は法的強制力の弱い努力目標的な位置付けとして読みとれます。
共通編 複数指針の共通事項に関する規定 旧要綱に無い新たな追記項目として、「特定都市河川浸水被害対策法」に基づく、「雨水貯留浸透施設」の規定が1セクション分増書されています。
巻末資料 照査に用いる作用力や計算法等に関する具体的規定
  • 「道路橋示方書V耐震設計編(平成14年3月)」に規定されるレベル1地震動およびレベル2地震動における2種類の地震動作成方法に関する記載。
  • 降雨特性値曲線や最新確率降雨強度ならびに流出解析方法に関する記載。
  • 雪の熱伝導率や凍上試験方法等の凍上に関する計算法の記載。


<性能規定型設計の内容>

性能規定型設計に関する具体的内容は、過去2年間の「斜面の安定計算有償セミナー」にて解説した規定そのものに、想定する作用力として新たに「降雨の作用」に対する性能が追加されている内容となっております。
同指針改訂により、従来の「斜面の安定計算」における極限平衡法での静的解析と、地盤の動的有効応力解析(UWLC)やニューマーク法による動的解析の双方を用いることが規定として明示されたことになります。「地震の作用」に加え、「降雨の作用」が追加されたことから3次元浸透流解析(VGFlow)の必要性も考えられます。

■ 要求性能と作用力

要求性能は、安全性・供用性・修復性の観点から、想定する作用力と重要度に応じて設定するものとし、土構造物の要求性能水準が規定化され、道路土工要綱共通編では具体的手法名が挙げられていないが、巻末の地震動における項目で挙げられているので、これをもって実質的に動的変形解析の併用が規定されたことになります。
表-3 要求性能
性能1 想定する作用によって土工構造物としての健全性を損なわない性能
性能2 想定する作用による損傷が限定的なものにとどまり、土工構造物としての機能の回復が速やかに行いうる性能
性能3 想定する作用による損傷が土工構造物として致命的とならない性能

重要度の区分は以下が規定される。
表-4 重要度の区分
重要度1 万一損傷すると交通機能に著しい影響を与える場合、あるいは、隣接する施設に重大な影響を与える場合
重要度2 上記以外の場合

一般的な土工構造物の要求性能の目安として下表が示される。
表-5 要求性能に対する作用力の規定
重要度1 重要度2
想定する作用 自重・交通荷重 性能1 性能1
降雨の作用 性能1 性能1
地震動の作用 レベル1地震動 性能1 性能2
レベル2地震動 性能3 性能3

これまでの指針改訂調査結果に無い新たな項目として、新たに「降雨の作用」に対する性能が追加されており、
耐震性能のみでなく浸透性能を極限平衡法レベルでの照査も併せて行うことが規定されています。


■ 性能規定型設計法

道路土工の各指針においては、土工構造物設計に際し、地震動の作用として「道路橋示方書X耐震設計編(平成14年3月)」に規定されるレベル1地震動およびレベル2地震動における2種類の地震動を想定することが変更され、各地震動の設定方法について追記されています。
ここで、円弧すべり安定解析震度法等の静的解析法を用いる場合の荷重算定には、レベル1地震動およびレベル2地震動の特性を踏まえた水平震度を用いることが規定されています。
また、動的有限要素法ニューマーク法等の動的解析法等を用いる場合の荷重の算定には、レベル1地震動およびレベル2地震動の特性を反映した時刻歴波形を用いることが規定されています。
表-6 地震動の作用に対する解析法の規定
想定する作用 規定された照査方法
地震動の作用 レベル1地震動 円弧すべり安定解析震度法等の静的解析法
レベル2地震動 動的有限要素法ニューマーク法等の動的解析法



<性能規定型設計法への完全移行とは言い切れない>

今回の改定では、性能規定型の指針を指向し、土工構造物に要求される配慮事項を満足する範囲で、従来の規定によらない解析手法・設計方法・材料・構造等を採用できるとされています。しかしながら、土構造物の設計では経験的技術が重視されており、豪雨・地震等については特別な異常時を除いて考慮されていると見なし、このような経験的技術の適用はこれまで通り可能であるが、適用限界を超えた高盛土や大きな切土ならびに近接して重要な諸施設がある場合等で、必要に応じて各種解析の適用を検討するとなっております。なお、豪雨を想定した浸透流解析や動的変形解析等の性能規定型照査に対する必須という明言は避けられています。
そのため、規定としては、従来方法に基づいた設計(みなし規定)も可能ですが、「設計における配慮事項」で示された要求事項を満足する範囲で従来規定によらない解析手法・設計方法・材料・構造等を採用できるようになったという記載で、従来の仕様規定型設計を許容するような曖昧な表現に留められています。


<豪雨の考慮>

改訂された「道路土工要綱」全般を通じて、昨今の集中豪雨を考慮した、排水対策や浸透対策に対する記載が追記され、旧版要綱に比して流出計算および水理計算による排水計算と、浸透現象に対する記載(具体的にFEM解析する旨は未記載)が拡充され、共通事項として水理計算浸透流解析に対する対策強化が図られているといった印象となっております。
同指針改訂により、雨水流出解析ソフトウェア(xpswmm)3次元浸透流解析(VGFlow)の必要性が増すものと考えられます。

表-7 流出解析・浸透流解析関連の規定
道路土工への豪雨の考慮 内容
資料-4
全国確率時間降雨強度(Rn)図
昨今の集中豪雨を考慮した、n年確率60分降雨強度Rnの、全国約1,300地点のアメダス観測地点における33年間(1976〜2008年)の降雨資料から、確率年3、5、7、10、20、30年に対する値が掲載された。
資料-5
流入時間の算出法
雨水流出量の計算については合理式による計算が、流入時間についてはKinematic Wave等での計算することが規定されている。
xpswmmのようなより精緻な非線形貯留法による計算は規定されず。

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 「切土工・斜面安定工指針」の改訂内容

<性能規定型設計法に関する記載の有無>

「切土工・斜面安定工指針」は、平成11年版「のり面工・斜面安定工指針」を切土部のみに分化したものであり、その内容は、性能規定型設計の対象となり難い切土工・斜面安定工(地すべり解析及び対策工)に特化されています。
本指針で対象とする土構造では安全性を高めることが設計の基本とされ性能明示が難しいことから、具体的に挙げられている手法は従来の極限平衡法および震度法による静的解析法の記載に留まっています。
旧指針に無い新たな項目としては、地すべり解析部分で「三次元解析法(3次元地すべり斜面安定解析(LEM))に関して、いくつかの解析法が存在する」という記載程度であり、動的変形解析の具体的記載はございません
対策工の設計手法についても静的解析法のままであり、安定計算における補強効果の考え方は従来通りであると考えられます。
性能規定型照査の具体的方法論については、「のり面工・斜面安定工指針」のもう一つの分化となる「盛土工指針」で規定される可能性はありますが、道路土工に対する性能規定型照査は“出来るようになった”という扱いであり、強い法的強制力を有すものではないと考えられることから、従来の仕様型設計と性能規定型設計とが併用されていくものと考えられます。

表-8 現時点での照査方法に関する記載の対比表
旧指針 新指針 備考
指針名 規定 指針名 発行 規定
道路土工要綱 仕様型設計 道路土工要綱 仕様型設計 仕様型・
性能型の
両者を許容
性能型設計 耐震性能 × 性能型設計 耐震性能
浸透性能 × 浸透性能
のり面工・
斜面安定工指針
仕様型設計 切土工・
斜面安定工指針
仕様型設計 仕様型のみの
記載
性能型設計 耐震性能 × 性能型設計 耐震性能 ×
浸透性能 × 浸透性能 ×
盛土工指針 × 仕様型設計 来春発行予定
性能型設計 耐震性能
浸透性能

「切土工・斜面安定工指針」には、動的変形解析による耐震性能照査や浸透流解析による浸透性能照査に関する記載は無い。


 「斜面の安定計算」の改訂指針への対応状況と今後の開発方針

当社としては、土工指針改定に際して指針改訂前に、プログラム標準機能として性能規定型照査機能に対応済みの状態として先行リリースしておくことを念頭に開発を進めて参りました。
今回の改訂により、土工指針としては初めて性能規定型設計が導入されております。「斜面の安定計算」では、耐震性能型照査に対応するニューマーク法や豪雨に対する浸透性能照査に対応する浸透流解析機能により、指針改訂前に性能規定型照査機能対応を実現しています。今後の製品バージョンアップに際しては、各学協会で主流となるような性能規定型照査機能の強化を主軸として性能規定型照査機能の更なる充実を図って参りますので、ご期待下さい。

表-9 斜面安定 Ver.8 改訂案
機能改訂案 Ver.7 Ver.8 備考
(A) 港湾基準対応 ×  
(B) ひずみ軟化の漸次現象を考慮したニューマーク法解析 × 論文収集等で適用理論の選定を
行う必要あり。
(C) 対策工施工時のニューマーク法対応 ×  
(D) 震度の方向考慮したニューマーク法解析計算 ×  
(E) 降伏震度の直接入力によるニューマーク法計算 ×  
(F) ニューマーク法時刻歴図への降伏震度の描画 ×  

◎印は土工指針関係に対する機能改訂を意味する。
斜面の安定計算 Ver.8 2009年 8月 リリース予定

参考図書:
  道路土工要綱(H.21.6、社団法人日本道路協会)
  道路土工−切土工・斜面安定工指針(H.21.6、社団法人日本道路協会)

製品情報:
  UC-1 斜面の安定計算 Ver.7
  雨水流出解析ソフトウェア(xpswmm)
  3次元浸透流解析(VGFlow)
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