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新連載(全5回)
統合医療とメンタルヘルス
第2回 これからの求められる医療:統合医療
安田病院心療内科、統合医療アール研究所所長 板村 論子 (いたむら ろんこ)
プロフィール 関西医科大学卒業、京都大学大学院博士課程修了、医学博士。
マウントシナイ医科大学留学、東京慈恵会医科大学、帯津三敬三敬塾クリニック院長を経て現職。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本心療内科学会上級登録 本統合医療学会認定医 ・理事。日本ホメオパシー医学会専門医・専務理事。日本人初の英国Faculty of Homeopathy専門医(MFHom)。2014年度アリゾナ大学統合医療プログラムAssociate Fellow修了。
『国際ホメオパシー医学事典』『女性のためのホメオパシー』訳。『妊娠力心と体の8つの習慣』監訳。『がんという病と生きる 森田療法による不安からの回復』共著
など多数。
はじめに

2017年1月号から5回にわたり『統合医療とメンタルヘルス』について紹介しています。第1回目では統合医療はこれからの医療システム、社会システムであるとご紹介しました。第2回目では統合医療の発祥ともいえる米国と日本の統合医療の現状を紹介し、なぜ今、統合医療が必要なのか、特にメンタルヘルスにおける重要性について考えたいと思います。

相補・代替医療から統合医療へ

米国では1970年以降、近代西洋医学にもとづいた医療以外を代替医療Alternative medicineと称し一つの医療体系として認めるようになり、1990年から2000年には近代西洋医学にもとづいた医療を補うという意味から相補・代替医療Complementary and Alternative medicineと称するようになりました。1992年には国のNational Institute of Health(NIH)の研究部門としてOffice of Alternative Medicine(OAM)が設置され、さらに1998年にはNational Centers for Complementary and Alternative Medicine(NCCAM)が設立されました。

2000年以降は相補・代替医療からアリゾナ大学のアンドリュー・ワイル医師の提唱する統合医療という方向で急速に移っていきました。筆者はアンドリュー・ワイル医師が統合医療の教育として1997年から始めたフェローシッププログラムを2013年2月〜2015年1月で学びました。(写真1,2 図2)
写真1 ワイル博士と筆者 写真2 約60名の医師がフェローシップのプログラムに参加

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。 画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
図2 2年間で1000時間の統合医療のカリキュラムを履修

アリゾナ大学やハーバード医科大学、ジョンホプキンソン大学などが中心となって、2004年には統合医療推進の大学と研究施設、病院からなるコンソーシアム(Consortium of Academic Health Centers for Integrative Medicine&Health)が設立され、今では米国120ある医科大学の約半数やMDアンダーソンがんセンターなどの施設が参加しています。またNCCAMは2014年、National Center for Complementary and Integrative Health(NCCIH)国立相補・統合ヘルスセンターと名称をかえ政府機関として役割を担っています。

一方、日本では1990年代より米国での動きにともない、相補・代替医療から統合医療の流れになっています。1998年には東大名誉教授の渥美和彦先生が日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)を、2000年には日本統合医療学会(JIM)を設立し、2008年 JACTとJIMが統合して現在の一般社団法人日本統合医療学会(IMJ;http://imj.or.jp/)になりました。また2013年にはIMJの部会として発足した統合医療女性の会(AimW;http://aimw-r.com/)が活動を始め、統合医療のセルフケアガイドブックが昨年末に出ています。(右図)

さらに2010年1月、第174回国会において当時の鳩山内閣総理大臣が「健康寿命を伸ばすとの観点から、統合医療の積極的な推進について検討を進めます。」と施政演説を行い、その後日本でも政府が統合医療に目を向けるようになりました。2016年2月には厚生労働省内に「統合医療企画調整室」が発足し、統合医療情報発信サイト(http://www.ejim.ncgg.go.jp/public/)もあります。
図1に従来の医療と統合医療の比較を示しています。第1回「統合医療とは」を振り返ってみてください。

統合医療女性の会発刊の小冊子

従来の医療  統合医療
医療の視点 医療供給の視点疾患Diseaseに対して  医療受け手の視点(人の)病気 Illnessに対して
医療の特徴 臓器別・細分化線系 全人的・個別的複雑系
医療の目的 治すことが重要原因を取り除く疾病の治療 癒すことが重要自己治癒過程に働きかける予防や
健康維持も含める
医療の主な形態 近代西洋医学にもとづいた医療医師指導 近代西洋医学にもとづいた従来の医療だけでなく
相補・代替医療をとりいれる多職職協働
図1 近代西洋医学にもとづく従来の医療と統合医療の比較

なぜ今統合医療が必要か

超高齢化社会や生活習慣病患者、難病患者の増加、細分化・高度化した医療に伴った医療費の増大により政府も未来型の医療として統合医療に向かうようになってきたといえます。ただ統合医療は新しい未来型医療というよりは医療の本来あるべき姿です。統合医療は単に近代西洋医学と相補・代替医療や伝統医学などの組み合わせの医療ではなく、医療の受け手である「人」、ひいては社会の側からみた医療が統合医療です。病気になる前に予防する、病気を抱えながらもよりよく過ごすことをめざして、統合医療は従来の治療法を超えて、最先端治療や相補・代替医療をも柔軟に取り込みながら、真の意味で「人」のためになる医療を提供する社会システムといえます。大切なのは「人」が統合医療の中核であるということです。

現代を生きる私たちは、日々さまざまなストレスに晒されています。そのため、病気になったり、症状が悪化したときに「ストレスからです」と言われると妙に納得してしまいます。現代はストレスの時代といわれるほどストレスという言葉には多大な説得力があります。

ストレスはもともと「外力が物体に加わった場合の歪み・不均衡」という意味の機械工学の専門用語でしたが、生理学者ハンス・セリエは外部からの影響で身体に歪み・不均衡が生じる状態をストレスと呼ぶようになりました。正確にはストレスを引き起こす外部環境からの刺激をストレッサーといいますが、私たちはこのストレッサーを日常的にストレスとして使っています。

日常生活では常に外部からストレスを受けています。物理的な温熱や寒冷、紫外線、住環境、さらには衣服の化学物質、そして食べ物など日常の生活で私たちを取り巻く外的環境からのストレスだけでなく、学校や職場や対人関係におけるストレス、仕事での多忙や進路におけるストレス、経済上のストレス、家族間における葛藤など精神的ストレスを私たちは抱えています。

これらのストレスが過度にあるいは長期間続くと身体に歪み・不均衡が生じる状態、バランス・調和がとれていない状態がもたらされ、心や身体の「不調」として感じるようになります。例えば「冷え性で肩が凝り、風邪をよく引く」という身体の不調を訴えて医療機関を受診しても、病名がつかない「未病」の状態であり、熱があるなら解熱剤、肩に痛みがあるなら消炎鎮痛剤などが処方され従来の医療は完了となります。「未病」との付き合い方には、近代西洋医学にもとづく従来の医療以外にも、実はさまざまな方法があります。一例を挙げれば、食事・運動・睡眠といった生活スタイルの改善から、鍼、灸、カイロプラクティック、アロマテラピー、漢方、ホメオパシーといった相補・代替医療まで、その選択肢は多岐にわたります。自分自身がこの段階から日々の生活に目を向け、生活スタイル、健康とは何か、あるいは未病の段階から何ができるのか、病気になったらどのような治療を受けたらいいのか考えること、受動的から能動的に心と身体を考えることから統合医療がはじまります。

諸外国に比べ日本の保険システム、医療レベルは高く、多くの人がこの恩恵を受けていますが、もっと自分の心と体に目を向けて、健康な心身をつくるためにも統合医療を日常生活に取り入れることが大切だといえます。一人一人の「人」から地域ひいては国のシステムも変化していくと考えます。実際地方の自治体の中には、統合医療を住民の健康とまちづくりに取り入れ、地域包括ケアとして実践している鳥取県の南部町などがあります。超高齢化社会での増え続ける医療費に、一人一人がまずできること、それが統合医療だといえます。


メンタルヘルスにおける統合医療の必要性

約4人に1人は、人生のどこかで心の病気になるといわれています。ストレスによって、心の不調を訴える人が増えていますが、うつ病や不安障害など、心の病気になる以前の未病の状態でいることに気が付かないことも多くあります。食欲がなくなる、食べた後に胃が重たい、なかなか眠れない、朝起きると体がだるい、肩が凝りやすい、体重がふえすぎたり、減ったりなどいつもと違う身体の変化に気づくことがメンタルヘルス(心がへ健康であること)を考える最初の一歩です。心身一如という言葉通り「人」は心と身体が調和して動的な平衡をたもつことで健康な生活を営めるようになっています。

統合医療は「人」がより健康で幸せに生きることを目的にした医療でもあるのです。食事・運動・睡眠といった生活スタイルを改善することから統合医療が始まり、メンタルヘルスの維持・促進につながっていくのです。

かつては心の風邪と称されたうつ病の生涯有病率は日本では6.2%であり、これまでにうつ病を経験した人は約16人に1人となります。うつ病は風邪のように自己治癒によって回復し、抗うつ薬は抑うつ状態をより軽減する役割と考えられていました。今では、2年以上うつ病の治療を受けている慢性うつ病の人も少なくありません。薬を飲んでいても健康な時にくらべ日常生活に不調を来し、何とか自分でできないかと苦しんでいる人も多いのです。うつ病の治療として、投薬治療よりもまず休息と養生があげられます。休息と養生の意味するところは、古くから言われている自然良能つまり自然治癒力がより働くようになることです。筆者は西洋医学にもとづく従来の医療だけでなく、食や睡眠などの生活スタイルの見直し、相補・代替医療の一つであるホメオパシーや漢方、森田療法や精神分析などの精神療法を取り入れ、統合医療の中でうつ病の人の治療にあたっています。統合医療ではその「人」にあわせたうつ病からの回復を提供することできると考えます。うつ病だけでなく他の心の病気に統合医療は重要な役割を担っているのです。


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