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 サポートトピックス・FEM Engineer's Studio®

ヒステリシスやM-φ特性のグラフが表示されないとき

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問題

モデルを新規に作成していると、ヒステリシスのグラフが描画されない場合やM-φ特性のグラフが描画されない場合に遭遇することがあります(図1、図2)。


図1 サムネイル画面の呼び出し

図2 グラフのないヒステリシス(左)とM-φ特性(右)

原因

グラフが描画されない原因は、図3のように、ランが設定されていないためです。


図3 ランが設定されてない様子

対処

図4のように、新規にランを1個作成すると、図5のようにグラフが描画されます。このとき、シーケンス荷重が定義されていなくても問題ありません。最終的にはシーケンス荷重は必須な入力ですので、モデル作成のどこかのタイミングで行えばよいです。


図4 ランを1個追加した様子

図5 ヒステリシス(左)とM-φ特性(右)

ランが必要な理由

Engineer's Studio® Ver.10以降、ヒステリシスやM-φ特性は、ランに対する設定に変更されました(Ver.9までは、ランとは独立していました)。このため、モデルにランが少なくとも1個ないとヒステリシスやM-φ特性が定義できません。ばね特性も同様です。

ここで、もう一度図5のM-φ特性をみてください。赤矢印が指す黄色部分に、ランを選択するスイッチがあります。M-φ特性は、ラン毎に特性が変わる性質があります。たとえば、H14道路橋示方書V耐震設計編のコンクリートの応力ひずみ曲線は、レベル2地震動のタイプIとタイプIIとで異なります。各ランは、タイプI若しくはタイプIIという属性が断面照査用荷重定義を利用して定義されています。そのため、ランを切り替えると、M-φ特性のグラフの形も変わります。断面から連動して作成するばね特性についても同様です。

図5のヒステリシスにはランの選択がありません。これは、ファイバー要素に適用するコンクリートヒステリシスにはタイプIとタイプIIの区別がないからです。このため、ランの選択スイッチは画面からは隠されています。しかしながら、ヒステリシス内部ではランに依存しています。これがモデルにランが必要な理由です。

ランは最終的には必ず作成するデータですが、ヒステリシスやM-φ特性、ばね特性の各グラフを描画させるために、モデルの初期段階でランを用意するとスムーズにデータ作成ができます。



(Up&Coming '23 盛夏号掲載)

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