2−4.せん断計算について |
Q2−4−1.
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せん断補強鉄筋「Asreq」とはなんですか? |
A2−4−1. |
Asreqは、せん断のための部材軸方向の必要鉄筋量です。
As≧(1/σsy)Σ[(Sh’/2)(sinθ-cotθ・cosθ)/(sinθ+cosθ)]
θ;斜引張鋼材が部材軸となす角度(本製品では90度固定)
詳しくは、Ver2.X[道路橋示方書V(平成8年)のP-135の解2.3.1]、Ver3.X[道路橋示方書V(平成14年)のP-149の解4.3.1]の項をご覧下さい。 |
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Q2−4−2. |
τmが、許容を超えているときに出てくる、せん断補強Aw100の値は、当照査断面の必要鉄筋量として、鉄筋径、及びスターラップピッチ等算出の根拠として使用できるか? |
A2−4−2. |
Aw100は、τmを越える際に求めておりますので、お考えのようご利用戴けます。
せん断補強鉄筋の算出方法については、製品helpの「せん断補強鉄筋量」に記載していますので、そちらをご確認下さい。
ただし、本製品で使用している斜引張鉄筋量の計算式は、道路橋示方書V(平成8年)P-138式(2.3.4)であり、この式中のaの値として100.0cmを用いています。実際の配置ピッチがp(cm)であるならば、鉄筋量Awは、
Aw=Aw100×p/100.0
となります。
Awは、1断面あたりの必要鉄筋量になるので、ウェブにピッチpで配置する鉄筋の本数がn本ならば、Aw/nが1本あたりの鉄筋量となり、使用すべき径が決まります。
本製品では、上記のAw100を出力しているので、その後の配筋はお客様ご自身でお考えいただく必要が御座います。
また、道路橋示方書V(平成14年)よりこのAw100の算出について標記されていませんが、道路橋示方書V(平成8年)と同式にて計算を行っています。なお、Ver3.01.00よりこの計算で使用する「斜引張鉄筋の部材軸方向の間隔」と「斜引張鉄筋が部材軸方向となす角度」については許容応力度法タグ(共通(断面力)タグ)の断面力表より入力指定できます(但し間隔a=0の場合は計算内部で100cmとする、角度θ=0の場合は計算内部で90度と設定されます)。
尚、結果の出力につきましては、以下の方法で対応しておりますので、必要に応じ適した方をご使用下さい。
1.テキスト出力形式(許容応力度法)
(テキスト出力印刷項目指定ボタン、及びメインメニューのファイル下メニューから呼び出せます)
斜引張鉄筋計算結果に関しては、以下の指定されたフォーマットで出力することが可能です。
・TYPEA 応力度(新書式)
・TYPEB 応力度(旧書式タイプ1)
公式のSh、Sh’も出力しておりますので、ご確認いただけると存じます。
2.許容新版出力
(新版出力許容出力印刷項目指定ボタン、及びメインメニューのファイル下メニューから呼び出せます)
斜引張鉄筋量に関しては、以下の指定されたフォーマットで出力することが可能です。
・TYPEC 新版出力タイプ1
・TYPED 応力度(新書式)
尚、何れの出力もプレビュー画面で確認できますので、お確かめ下さい。 |
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Q2−4−3. |
円形状の有効高さdの内部計算方法はどのように計算しているのか? |
A2−4−3. |
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Q2−4−4. |
せん断計算結果画面のSuc、Susとは? |
A2−4−4. |
Sucはウエブ圧壊に対する耐力の値、Susは部材の斜引張破壊に対する耐力の値です。
詳しくは、道路橋示方書 Vコンクリート橋編(平成14年3月)P-155及び、製品ヘルプIなどをご覧ください。
Sucにつきましては本製品ヘルプ[計算理論及び照査方法]-[計算理論及び照査方法]-[計算式及び算出の考え方]-[ウエブ圧壊に対する耐力]、Susにつきましては[計算理論及び照査方法]-[計算理論及び照査方法]-[計算式及び算出の考え方]-[部材の斜引張破壊に対する耐力]、に計算式を記載していますのでそちらをご覧下さい。
以下、ヘルプを抜粋したものにてご説明いたします。
Suc=τmax・bw・d+Sp
ここに
τmax: コンクリートの平均せん断応力度の最大値(入力値)
bw : 部材断面のウエブ厚
d : 部材断面の有効高さ
Sp : PC鋼材の引張力のせん断力作用方向の分力
本製品では0.0としています。
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Sus=Sc+Ss+Scf+Sp
ここに
Sc:コンクリートが負担できるせん断力
Sc=k・τc・bw・d
ただし、k=1+Mo/Md≦2
Mo=N/Ac・Ic/y
τc : コンクリートが負担できる平均せん断応力度(本製品では許容せん断応力度を使用)
bw : 部材断面のウエブ厚
d : 部材断面の有効高
Md : 部材断面に作用する曲げモーメント(入力値)
Mo : 軸方向力によるコンクリートの応力度が部材引張縁で0となる曲げモーメント
N : 部材断面に作用する軸方向圧縮力(入力値)
Ic : 部材断面の図心軸に関する断面二次モーメント
Ac : 部材断面積
y : 部材断面の図心より引張縁までの距離
Ss : 主方向の設計におけるせん断力に対して配置したとみなせる斜引張鉄筋が負担できるせん断力の合計
Ss=Σ{Aw・σsy・d(sinθ+cosθ)/1.15・a}
Aw : 間隔a及び角度θで配筋される斜引張鉄筋の断面積(入力値)
σsy : 斜引張鉄筋の降伏点(入力値)
a : 斜引張鉄筋の部材軸方向の間隔(入力値)
本製品では入力値が0.0(cm)の場合は、100.0(cm)にて計算しています。
θ : 斜引張鉄筋が部材軸方向となす角度(入力値)
本製品では入力値が0(度)の場合は、90(度)にて計算しています。
Scf:炭素繊維シートの負担するせん断耐力
Scf=Acf・σcf・d(sinθcf+cosθcf)/1.15・a
Acf : CFRPシートの断面積(入力値)
σcf : CFRPシートの引張応力度(入力値)
設計荷重作用時・・・σcf=σsa・Ecf/Es
終局荷重作用時・・・σcf=0.8・εcf・Ecf
ここに、
σsa : 斜引張補強鉄筋の許容引張応力度
Es : 斜引張補強鉄筋のヤング係数
Ecf : CFRPシートのヤング係数
εcf : CFRPシートの保証ひずみ
acf : CFRPシートの貼付け間隔(入力値)、一般に100cm
θcf : CFRPシートの炭素繊維方向が部材軸となす角度(入力値)
Sp : PC鋼材の引張力のせん断力作用方向の分力
本製品では0.0としています。 |
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Q2−4−5. |
有効高さdの算出方法は?(予想した最引張縁の鉄筋図心位置までの距離と異なっている) |
A2−4−5. |
有効高さdは、入力データ(有効高さd、有効高dの内部計算方法スイッチ、d算出時の引張鉄筋範囲スイッチ)に従い、以下のように設定します。
許容応力度法-せん断関係タグの表入力「有効高d」には、せん断の計算に使用する有効高さを入力します。この入力値が0.0の場合dを内部計算します。内部計算方法は、円形、小判形は矩形換算して計算し、その他の形状は有効高dの内部計算方法に従います。
■有効高dの内部計算方法 :
円形、小判形以外の断面形の有効高さdの内部計算方法を以下の2つから選択します。
・d=(ΣAs・σ・d)/(ΣAs・σ)・・・・曲げ応力度を計算し、その応力勾配を加味して決定
・断面図心より下の鉄筋図心位置・・・・圧縮縁から引張鋼材図心までの距離
なお、円形、小判形は道示に準拠して矩形換算しb、dを算出します(平均せん断応力度参照)。
■d算出時の引張鉄筋範囲 :
円形、小判形以外の断面形の有効高さdの内部計算方法を以下の3つから選択します。
・断面内全鉄筋・・入力されている鉄筋のみの図心を算出する。
・全鋼材・・・・・・・・鋼材として鉄筋以外が使用されているとき、すべての鋼材を含めて図心を算出する。
・断面内鉄筋(側方無視)・・・断面内の側方鉄筋以外の鉄筋のみの図心を算出する。 |
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Q2−4−6. |
せん断照査結果の「σI」とは? |
A2−4−6. |
プレストレスコンクリート構造におけるコンクリートの斜引張応力度σIです。
道路橋示方書V(平成14年)P-152に詳細が記述されております。
あわせて製品オンラインヘルプ 計算理論及び照査方法-計算式及び算出の考え方-斜引張応力度 をご覧ください。
上記の計算結果が不要と思われる場合は、各出力設定の詳細設定ボタンより出力の有無を指定することができます。 |
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Q2−4−7. |
せん断照査結果の「σs」とは? |
A2−4−7. |
斜引張鉄筋の応力度σsの値です。
計算上不必要な場合は未表示となります。
道路橋示方書V(平成14年)P-152に詳細が記述されております。
あわせて製品オンラインヘルプ 計算理論及び照査方法-計算式及び算出の考え方-斜引張鉄筋の応力度 をご覧ください。
上記の計算結果が不要と思われる場合は、各出力設定の詳細設定ボタンより出力の有無を指定することができます。 |
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Q2−4−8. |
最大せん断応力度で照査する方法及び結果確認の方法は? |
A2−4−8. |
■入力方法
本製品の「最大せん断応力度τmax」は、本製品の入力画面「許容応力度法タグ−せん断関係タグ」の「τmax算出方法」スイッチにて以下の3種類の計算に対応しております。
(1)全断面有効
(2)引張無視
(3)τ=S/(b・j・d)
上記の計算の考え方及び計算式に付いては、本製品オンラインヘルプ−「計算理論及び照査方法−計算式及び算出の考え方−最大せん断応力度」をご覧ください。
■結果確認方法
本製品の照査結果(許容)−せん断照査「全体表示/個別表示」画面の「τmax」の計算結果をご確認下さい。
出力で確認するには、テキスト出力(応力度(新書式)、応力度(旧書式タイプ1)出力フォーマット)及びPPF出力(PPF出力タイプ゜1、応力度(新書式)出力フォーマット)にて、同様に「τmax」の計算結果をご確認下さい。
■出力時の注意
両出力とも「詳細設定」画面にて「最大せん断応力度 τmax」出力スイッチがON(チェック)されているかを確認して下さい。 |
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Q2−4−9. |
「許容応力度法」−「せん断関係」の「有効高の内部計算方法」で、『d=(ΣAs・σ・d)/(ΣAs・σ)』はどういう場合に選択するのか |
A2−4−9. |
「せん断計算時の有効高さdの内部計算方法(d=(ΣAs・σ・d)/(ΣAs・σ))」は、曲げ応力度を計算し、その応力勾配を加味して有効高さdを決定しています。
本製品にて「d=(ΣAs・σ・d)/(ΣAs・σ)」にて有効高さを算出する理由を以下にご説明致します。
有効高さをどのように決めるか難しい問題ですが、引張鋼材の図心とする考えがあります。 この場合、断面積のみに着目して図心を求めると有効高さが極端に低く算定される場合があります。 例えば、高さ100cmの矩形断面の上縁から30cmおよび90cmのところに同じ量の鋼材が配置されておりこの時の中立軸が29cmだとした場合、30cmの位置の鋼材には殆ど応力度が発生していないにもかかわらず、有効高さは60cmとなります。 一方、30cmの位置の鋼材をはずしたとしても応力状態は殆ど変化しませんが、この時の有効高さは90cmとなります。 これではあまりにも不合理なのでご指摘され
た式を提案しました。 30cmの位置の鋼材のAs・σsは極めて小さいので、有効高さは90cmに近い値となります。 以上がサポートした理由で、基準類等に記述されている訳ではございません。 |