地中構造物の耐震設計手法とWCOMDの適用性について
2001/01/29
■コンクリート標準示方書、土木学会(平成8年制定)より抜粋

p.9 3章 解析モデル 3.2 構造モデル
構造物を適切にモデル化しなければならない。一般に以下の1つを選んでモデル化してよい。
 (1) 多質点または1質点の線材モデル
 (2) 三次元または二次元有限要素モデル
【解説】
-----------途中省略-----------
 線材モデルは、従来からコンクリート構造物の応答解析に用いられてきたモデルで、非線形あるいは線形力学特性を有する線材によって構造物をモデル化するものである。
-----------途中省略-----------
 有限要素モデルは、従来、構造物の地震応答解析にはあまり用いられなかったモデルであるが、近年、塑性域を含んで地震応答を解析することができる材料モデルが開発され、鉄筋コンクリート構造物の地震応答を解析することが可能となった。このモデルの特徴は、構造物の任意の部位の応答状況を解析できること、複雑な多自由度系であっても、振動モデルを介さずに直接応答解析ができることなどである。
-----------途中省略-----------
注:下線部は明らかにWCOMDやCOM3のことを指していると思われる。

■鉄道構造物等設計標準・同解説---耐震設計(H11.10)より
1. 地盤条件
  解析手法 WCOMDで解析可能か?
普通地盤 逐次積分法(全応力解析)または等価線形化法など
軟弱地盤
液状化地盤 逐次積分法(有効応力解析)※ ×
不整形地盤 基盤面や地表面が大きく変化している地盤
※過剰間隙水圧の上昇に伴う地盤の剛性低下を考慮する解析
2. 地盤の動的解析法
  地盤の非線形性の考慮 WCOMDで解析可能か?
周波数領域における動的解析 等価線形化法※1による。 ×
時間領域における動的解析 土の非線形応力−ひずみ関係を忠実に追跡しながら解く逐次積分法。※2
※1 等価線形化法とは、地震応答解析を行う全時間の間の平均的な材料特性を用い、線形系の応答を求めようとする近似解法。
等価線形化法には以下のような問題点がある。
  • ひずみレベルが10-2を超える範囲では、地盤の実挙動との適合性が悪くなることが多い。軟弱地盤に適用する場合には注意が必要。
  • ひずみが同じであればせん断力が大きくなり、せん断力が同じであればひずみは小さくなる。変位と加速度を同時に満足することは難しい。
  • 高振動数側で応答値を過小評価する場合が多い。
※2 逐次積分法では、比較的大きなひずみ領域まで地盤の地震時挙動を精度よく評価することが可能。
3. 開削トンネルの構造解析
  解析モデル、地震の影響等 WCOMDで解析可能か?
簡易応答変位法 骨組みモデルによる静的非線形解析
(地盤の変位を別途算定する必要がある)
応答変位法
動的解析 地盤と構造物を一体化して同時に解析
(地震の影響は自動的に取込まれる)
簡易応答変位法は、地盤の構成および構造形式が比較的単純な1層1,2径間程度の構造物に用いる。
応答変位法は、構造が複雑でない一般的な地価構造物に適用する。
動的解析は、詳細な検討を行う場合や、構造条件・地盤条件が複雑な場合に適用する。
開削トンネルに用いる解析手法の比較表
  静的解析 動的解析
簡易応答変位法 応答変位法
解析手法 骨組モデルによる静的非線形解析 等 有限要素、ばね要素による動的非線形解析 等
応答値の算定方法 構造物と地盤の剛性比等に応じた応答係数を,自然地盤の地盤変位量に乗じることにより、構造物の応答変位量を推定する。 地盤ばねで支持された骨組み解析モデルに、自然地盤の地盤変位および周面せん断力を地盤バネを介して載荷することによる。 地盤と構造物を一体でモデル化し、基盤面に地震波を入力することによる。




地盤変位 右に同じ 別途実施する地盤の動的解析結果、または地盤種別ごとの地表面変位量等より算定。 一体解析において自動的に考慮
周面せん断力 応答係数にその影響が考慮されている。
慣性力
簡便性 簡便 比較的簡便 比較的煩雑
解析の特徴 荷重と変位の関係の調査が容易。 地震時の瞬間の状態を再現できる。 構造物・地盤の相互作用を考慮でき、静的解析よりも精度よく応答値を算定可能。
全時刻歴に対して、構造物の応答が詳細に調査できる。
適用性 側方地盤が一様に見なせる1層1,2径間程度の開削トンネル 地盤および構造が複雑でない一般的な規模の開削トンネル 一般的な条件のほか、以下のような場合にも有効。
  • 構造物側方の地層構成が複雑な場合
  • 構造が複雑または規模が大きい場合
  • トンネルの上に橋脚や建物が載る等の特殊構造の場合
  • 近接構造物があり、その影響を考慮する必要がある場合
備 考 構造物の変形量が小さい場合は、簡略的な部材の損傷レベルの照査も可能。
詳細には、静的非線形解析を併用する。
  • 広の構造、複雑な形状の場合には適用性に注意が必要である。
  • 地盤ばねをFEMでモデル化した応答変位法も提案されており、これによると地盤ばねの評価が正確である。
永久荷重の取扱いに注意する必要がある。一般に、FEMで施工過程を考慮せずに自重解析を行うと、設計計算で用いる永久荷重状態とは異なる断面力分布となるため、設計用の永久荷重を考慮するのが望ましい。
WCOMDの適用性
※ △…適用が困難である ○…適用性がある ◎…適用性が高い
■開削トンネルの耐震設計、土木学会(H10.10)より
1. 地震の影響
  WCOMDの適用
地盤が安定 地盤振動 慣性力
地盤変位による影響
地震時動水圧 ×
地盤が不安定化 地盤の液状化 浮き上がり・沈下 ×
土質定数の低下 ×
地盤変位の増大 ×
主働土圧の増大と受働土圧の低下 ×
地盤の固有周期の長周期化 ×
流動化 ×
斜面崩壊 ×
活断層によるずれ ×
2. 設計地震動
  最大加速度の目安※
レベル1地震動 構造物の耐用期間内に数回発生する大きさの地震動 地表面:319gal
基盤面:230gal
レベル2地震動 構造物の耐用期間内に発生する確率の極めて小さい強い地震動 地表面:523〜696gal
基盤面:390〜620gal
※LNG地下タンク躯体の構造性能照査指針、土木学会(H11.12)p.165より
3. 地下構造物の設計基準
鉄道構造物等設計標準・同解説 耐震設計(平成11年10月) 鉄道総合技術研究所 1999.10
新設構造物の当面の耐震設計に関する参考資料 鉄道総合技術研究所 1996.3
水道施設耐震工法指針・解説(平成9年度版) 日本水道協会 1997年版
下水道施設の耐震対策指針と解説(1997年版) 日本下水道協会 1997年版
※ 共同溝設計指針(昭和61年3月) 日本道路協会 1986.3
※ 駐車場設計・施工指針同解説 日本道路協会 1992.11
※ これらの基準は兵庫県南部地震(1995.1.17)以前に制定されたものであり、レベル2地震動を想定していない。
4. 耐震解析の手順
↓WCOMDでは、どちらにも対応している解析ソフトと言える。
地上構造物 地震荷重は慣性力が主体。慣性力の大きさを算定することが設計震度の値と直結。
地下構造物 地震荷重は周辺地盤の揺れが主体。地盤の揺れから地震荷重を算定する必要がある。
地盤の解析と地下構造物の解析を分離して行う解析の手順
(1)設計地震動の設定  設計地震動の表現形式として、震度、最大加速度値、速度応答スペクトル、加速度応答スペクトル、加速度の時刻歴波形が使用されている。
(2)地盤の地震応答解析
(=地盤のみの地震応答解析)
(=自由地盤の地震応答解析)
(=自然地盤の地震応答解析)
 地盤の応答解析には、構造物の周辺地盤の精密な数学モデルを作成して設計地震動に対する動的解析を行うものから、簡単な公式によって地盤変位の振幅や波長について耐震設計上の割り切った値を求めるものまで含まれる。
 この解析ステップで求めておくものは、構造物の構築位置廻りの地盤の変位、ひずみ、加速度、せん断応力度など。
 動的解析法では、構造物・周辺地盤の全体系の動力学モデルを作成して、そのまま地震応答解析を行うので、このステップは必要ない。
(3)地震荷重の算定  構造物への地震荷重は、(4)で採用する解析手法によって、表現形式や作用のさせ方が異なる。
 たとえば、トンネル横断面の耐震計算を応答変位法で行う場合、(2)で求めた地盤の応答変位・せん断応力度から地盤変位に起因する土圧や周面せん断力などを算定する。
(4)構造物・地盤系の構造解析  構造物・地盤系の構造解析モデルを作成し、これに(3)で求めた地震荷重を作用させ、地下構造物に生じる応力・変位・変形を求める。
 構造解析モデルとしては、静力学モデル(静的つりあい方程式)や動力学モデル(運動方程式)がある。
※ 地下構造物と周辺地盤を一体化したモデルで動的解析を行う場合には、上記(2)〜(4)が同時に行われて1つの工程となる。→WCOMDが該当する。
5. 解析手法の種類
トンネル縦断方向 線状・棒状
トンネル横断方向 箱状
5.1 (1)設計地震動の表現形式の種類
震度または最大加速度値(k) 現在では震度法で地下構造物の耐震計算をする例はほとんど見られない。
応答スペクトル(Sv) 耐震設計上の基盤面における速度応答スペクトルで設計地震動を規定している設計基準が多い。(トンネル標準示方書1996、共同溝指針1986、水道施設耐震指針1997)
設計速度応答スペクトルは、設計地震動に対する1質点振動系の最大応答速度値を、任意の固有周期をもつ振動系について規定したもの。
これが与えられると、応答スペクトル法によって、基盤面上から上の表層地盤の変位振幅を簡便に算定することができる。
加速度の時刻歴波形(a(t)) 動的解析法を採用する場合に、地震動の加速度波形が必要。
過去の強震記録波形、その波形加工、活断層による地震動波形の算出etc
5.2 (2)地盤の地震応答解析手法の種類
 『地盤の応答解析』というときの地盤とは、対象とする構造物が存在せずに元の土砂で詰まっているものと仮定した場合の『原地盤』のこと。
『原地盤』=『Free field』=『自由地盤』=『自然地盤』
 すなわち、地盤の地震応答解析では、自由地盤が設計地震動に対してどのように揺れるのかを解析する。
 現実のトンネル廻りの地盤の地震応答解析を解析するのではなく、仮想の自由地盤の地震応答を求めるというのは、一見妥当でないように思えるが、以下の理由によりその妥当性・利点があることが確かめられている。
  • 地盤・構造物の動的相互作用の理論によれば、後の解析ステップで地震荷重を適切に評価する限りにおいては、理論的な整合性が保たれる。
  • 自由地盤はトンネルの存在の影響(相互作用)を受けないから、その地震応答解析が簡単になる。
  • 特に、地盤が水平成層構造である場合は、1次元の土柱モデルの解析をすればよい。
トンネル縦断方向 1次元地盤の動力学モデル(多層地盤モデル、均質表層地盤モデル)
トンネル横断方向 1次元地盤の動力学モデル(多層地盤モデル、均質表層地盤モデル)
2次元・3次元地盤の動力学モデル(FEM、質点系、ばね系モデル)
地盤の地震応答解析の種類
応答スペクトル法
(1D-Gsp)
 速度応答スペクトルから地盤の変位振幅の設計値を求める方法。
 対象地盤の1次固有周期がわかれば、その地盤の最大応答速度が直ちにわかる。この値から固有周期と刺激係数をもちいた変換式により、地表面における変位振幅が算定される。
 表層地盤が多層構造で均質とみなすことができない場合は、地盤の土柱モデルを作成し、このモデルの固有値解析を行って1次モードの周期、モード形、および刺激係数を求めれば、上記要領で多層構造地盤の変位振幅の深さ方向分布を算定できる。
1次元
地盤の時刻歴応答解析法
(1D-Gd)
 地盤の土柱モデルを作成して動的解析を行い、地盤の任意深さにおける変位や加速度やひずみなどの地震応答を時刻歴として求める。
 地盤の非線形性を考慮する方法には2種類ある。土の剛性および減衰定数はせん断ひずみの大きさによって変化する。

等価線形化法※
 線形応答計算の繰返しによって、せん断ひずみの大きさとそれに対応する剛性・減衰定数とを整合させる計算手法。これまで最も多く用いられてきた手法。SHAKEが有名。

逐次非線形応答解析法
 地盤振動の運動方程式の中に土の非線形の応力・ひずみ関係の数学モデルを組込み、地震動(土のせん断ひずみ)の変化にともなう時々刻々の剛性変化を追いながら運動方程式を解く計算手法。 土の応力・ひずみ関係のモデルとしては以下の2つが代表的。
Ramberg-Osgood(ランベルグ・オズグッド)モデル
Hardin-Drnevich(ハーディン・ドルネヴィッチ)モデル
2次元、3次元
地盤の時刻歴応答解析法
(2/3 D-Gd)
FEM
 代表的なプログラムにFLUSHがある。このプログラムも等価線形化法により、地盤物性の非線形性を考慮することができる。また、解析領域の境界での波動の反射の影響をなくす解析技術的な工夫がなされたものなど、バージョンがいくつかある。

質点・ばね系
 2次元、3次元のものがあるが、いずれも基本的には、1次元土柱の1次の固有振動を模擬した1質点・ばね系を振動要素としている。
 2次元地盤モデルでは、トンネル軸線に沿う各地点の振動特性をそれぞれ模擬した振動要素が、一直線に並べられ、かつ、相互にばねで連結されている。
 3次元地盤モデルでは、そのような振動要素が平面的に格子状に並べられ、前後左右の相互作用を表すために板状の要素で連結されている。

※土木技術者のための振動便覧、土木学会、S60の説明:
○等価線形化法とは
まず各部の剛性、減衰を仮定して解析を行い、得られたひずみレベルの時間歴と等価な正弦両振ひずみレベルに応じた等価なせん断剛性、減衰を求め、各部の剛性、減衰を修正する。そして得られるひずみレベルと使用した剛性、減衰の関係が実験値と一致するまで計算を繰り返す。
○等価線形化法による解析結果と非線形解析結果の比較
1次元地盤モデルのせん断入力に対する結果では、せん断応力の誤差は小さいが、せん断ひずみの誤差はやや大きいこと等が報告されている。等価線形化法の精度は等価剛性、等価減衰の算定法にも依存する。従来は直感的に行われてきた。

5.3 (3)地震荷重の種類
横断方向の解析 地震時土圧(PE) 震度法用。物部・岡部の公式を用い、設計震度に基づいて算定される。構造物横断面の変位には関係なく決まる。震度法では、ほかに上載土の慣性力を考慮することもある。
躯体慣性力(Fα) 震度法および応答変位法で用いる。設計震度または自由地盤の応答加速度に基づいて算定される。
自由地盤の応答値
(α-δ-τ)
応答変位法では、躯体慣性力も考慮するが、支配的な地震荷重は地盤変位周面せん断力である。これらは、自由地盤の変位δと自由地盤の内部応力であるせん断応力τに基づいて算出される。FEM系の各種静的解析手法においては、地震荷重は、FEMでモデル化される地盤領域に対応する自由地盤の、応答震度(または応答加速度α)、応答変位δ、または地盤内部応力τの、それぞれ深さ方向の分布に基づいて算定される。
縦断方向の解析
(構造物軸線に沿った各点での地盤変位を地盤ばねを介して構造物に作用させる)
地盤変位の振幅(δ) 地震時地盤変位の構造物軸線深さにおける振幅である。1次元地盤モデルの設計地震動に対する応答を、応答スペクトル法や時刻歴応答解析法で解析して算定する。
地盤変位の波長(λ) 地盤条件が構造物縦断方向に変化しない場合は、代表的な1地点の地盤条件のみから縦断方向の解析を行うことができる。そのような場合は、地盤変位の構造物軸線に沿う"うねり"の形状が決まらない。応答変位法を採用している設計基準類では、"うねり"の形状を正弦関数として規定し、そのために地盤変位の波長を決めている。地盤変位の波長は、地盤振動の周期と、表層地盤および基盤層のせん断波速度から簡単に算定される。
地盤変位の分布の時刻歴(δ-δ) "うねった"地盤変位分布が時間的に変化するような形式のデータセットとして蓄えておく。
5.4 (4)構造物・地盤系の構造解析モデルの種類…WCOMDはいずれにも該当しない。
トンネル横断面の
骨組みモデル
(FRAME static)
トンネル横断面を、はり要素などを用いて骨組み(フレーム)構造にモデル化したもの。
  • 震度法ではこれに直接、地震荷重を載荷する。
  • 応答変位法では、フレームの周囲にばね要素を取り付けて地盤ばねとし、そのばね端を地震時地盤変位に合わせて強制変位させる。周面せん断力と躯体慣性力はフレームに直接載荷する。
  • トンネル躯体の剛性や地盤ばねの非線形性を考慮するには、非線形はり要素や非線形ばね要素を用いる。
2次元静的FEMモデル
(2D-FEM static)
トンネル横断面を骨組構造モデルとし、周辺地盤をソリッド要素でモデル化したもの。トンネル部分については、FRAME staticモデルと変わらない。
  • 2次元動的FEMモデルによる動的解析法と同等の解析精度を比較的簡便に得ようとする解析に用いられる。
  • FRAME staticの改良型として、構造物・地盤間の相互作用を、単純なばね要素よりも、より合理的なFEMでモデル化したものとも言える。
2次元動的FEMモデル
(2D-FEM dynamic)
上と同じく、トンネル横断面と周辺地盤を、はり要素とソリッド要素を用いてモデル化したものであるが、質量と減衰の効果の入った動力学モデルである。
  • 解析モデルとしては“FLUSH”などが代表的。
トンネル縦断方向の
静力学モデル
(BEAM static)
トンネルをはり要素でモデル化し、周辺地盤との相互作用の影響をばね要素(これを地盤ばねと称する)で表現した、“弾性床に支持されたはり”モデルである。
  • 震荷重は、地盤ばねの固定端を地盤変位に合わせて変位させることにより、トンネルに作用させる。
トンネル縦断方向の
動力学モデル
(2/3D-MSB dynamic)
上述の“弾性床に支持された”モデルと※2次元・3次元地盤モデルとを組合わせたモデルである。
  • 沈埋トンネルの地震応答解析モデルとして用いられている。ただし、トンネル部分も棒要素に質量および減衰効果が付与された動力学モデルとなっており、トンネル事態の道徳性も考慮される。
  • 田村らによって最初に開発された解析モデルでは、トンネルの質量・減衰の影響が小さいことからトンネル部分が静力学モデルとなっている。このため、ここでは田村らの解析手法を、静力学モデルを用いた広義の応答変位法、広義の動的解析法に分類している。
※質点・ばね系…2次元、3次元のものがあるが、いずれも基本的には、1次元土柱の1次の固有振動を模擬した1質点・ばね系を振動要素としている。
 2次元地盤モデルでは、トンネル軸線に沿う各地点の振動特性をそれぞれ模擬した振動要素が、一直線に並べられ、かつ、相互にばねで連結されている。
 3次元地盤モデルでは、そのような振動要素が平面的に格子状に並べられ、前後左右の相互作用を表すために板状の要素で連結されている。
6. 各種解析手法の概要と特徴
■震度法:横断方向の解析手法
設計震度(設計最大加速度値)(k)
地震時土圧(PE)・躯体慣性力(Fα)
骨組みモデル(FRAME static)
  • 地震力としては、躯体の自重に起因する慣性力のほか、上載土の慣性力の影響、地震時土圧、内容液による動液圧なども適宜考慮する。
  • 地震時土圧の算定には物部・岡部の土圧公式が使われるが、これによる土圧は地下構造物における地震時挙動観測で計測される土圧の特性とは大きく異なることが知られており、地下構造物の耐震計算に震度法を適用する場合の大きな問題点となっている。
  • また、地中の設計震度をどう設定するかについても、設計上の問題点の1つである。震度法は、少なくとも最近の開削トンネルの耐震設計には、ほとんど採用されていない。
■応答変位法:横断方向の解析手法
  • 応答変位法は、地下構造物の地震時挙動のメカニズムに基づいた比較的簡便な計算手法であり、各種の地下構造物の耐震設計指針類に採用されている。元々は埋設管や線状地下構造物の縦断方向の耐震解析法として用いられていたが、近年では、大型の地下構造物の横断方向の解析にも適用されるようになってきた。以下の2通りがある。
フロー(1) フロー(2)
速度応答スペクトル(速度応答スペクトル)(Sv) 加速度の時刻歴波形(a(t))
固有値解析・応答スペクトル法
(1次モード考慮)(1D-Gsp)
1次元地盤の時刻歴応答解析法
(1D-Gd)
自由地盤の応答値(α-δ-τ) 自由地盤の応答値(α-δ-τ)
(躯体慣性力(Fα)) (躯体慣性力(Fα))
骨組みモデル(FRAME static) 骨組みモデル(FRAME static)
  • (1)のフローが基準類に採用されているものであり、設計速度応答スペクトルが規定され、それに対して地盤の地震応答を算定する。(2)は地震動波形が設定されている場合のフローで、地盤の地震応答解析を動的解析によって行う。その後の解析手順は共通で、トンネル横断面を骨組とし、その周囲に地盤バネを取り付けた構造解析モデルに、地盤の地震応答解析から算定した地盤変位、周面せん断力、および躯体慣性力を静的に載荷する。
  • 従来、地震荷重として地盤変位のみが考慮されていたが、周面せん断力の影響もそれと同等であることが明らかになっている。躯体慣性力の影響は一般に小さい。
  • 問題点 :応答変位法では、実際には非常に複雑なトンネル・地盤間の相互作用を、地盤バネという簡易な力学モデルで表現しようとする。さらに、その地盤ばねの合理的なモデル化の方法が未だ確立していないという問題点がある。ここに応答変位法の解析精度の限界があることを承知しておかねばならない。
■FEM系静的解析手法:横断方向の解析手法
基本フロー 応用フロー
加速度の時刻歴波形(a(t)) 応答スペクトル(Sv)
1次元地盤の時刻歴応答解析法(1D-Gd) 応答スペクトル法(1D-Gsp)
自由地盤の応答値(α-δ-τ) 自由地盤の応答値(α-δ-τ)
2次元静的FEMモデル(2D-FEM static) 2次元静的FEMモデル(2D-FEM static)
  • 地中ダクトや地下鉄の駅舎・トンネルなど、線状構造物の横断方向の耐震計算に最近用いられるようになった手法である。
  • 地震力の作用のさせ方の違いによりいくつかの手法があるが、いずれも構造物・周辺地盤系を2次元FEMモデルでモデル化する。
  • 動的解析法との違いは、この2次元FEMモデルに作用させる地震荷重である。FEM系静的解析手法では、2次元FEMモデルに対する解析に先立って、
    (1)まず、1次元地盤モデルをつくり、その地震応答解析を行って、設計地震動に対する自由地盤の応答を求める。上記基本フローの場合は、応答結果の時刻歴の中で、トンネルの応力が最大となると考えられる瞬間(通常は、トンネルの上端・下端間の地盤相対変位が最大となる瞬間)をとらえ、このときの自由地盤の状態を取り出す。
    (2)次にこの地盤の状態が再現されるような等価な荷重を算定する。
    (3)最後にトンネルの構造モデルを含む2次元FEMモデルにその地震荷重を静的に作用させて、トンネルに生じる断面力などを求めるのである。
  • 自由地盤の地震時の状態を再現する力として、応答加速度や応答変位の深さ方向分布などが考えられており、その考え方によって解析手法に、「応答震度法」、「地盤応答法」、「FEM応答変位法」などの呼称が付けられている。
  • こうした解析手法は、地震力の考え方を理論的に明確にする必要あるものの、応答変位法が抱える「地盤ばね」という厄介な問題を避けると同時に、地震力を静的に扱って静的解析とすることにより動的解析法ほどの解析費用がかからないという点で、非常に有力な耐震計算手法であるといえる。
■動的解析法:横断方向の解析手法
加速度の時刻歴波形(a(t)) → 2次元動的FEMモデル(2D-FEM dynamic)
  • トンネルおよび周辺地盤を一体として2次元FEMにより動力学モデルに置換え、設計地震動に対する動的挙動を解析する手法である。
  • 他の解析手法では、構造解析のステップとそれに用いる地震荷重の算定のステップとが分離していて、そこに各種の仮定や簡略化が持ち込まれるのに対し、動的解析手法では、トンネル・周辺地盤一体の動力学モデルを直接振動させるため、トンネル・周辺地盤系の動的挙動特性が各種解析手法の中では最も合理的に考慮されると言える。
  • ただし、トンネルおよび周辺地盤の動力学モデルの作成には、他の解析手法よりも高度な解析技術知識と多くのデータを必要とする。また、地震荷重に相当する物は、一般に数1000ステップの時刻歴データである地震動加速度波形で、これに対する応答計算に要する演算量は膨大である。
  • 土やトンネル躯体材料の非線形性を考慮する場合は、さらにその数倍から数十倍の演算量となる。このため、計算に要する労力と計算費用も、各種解析手法の中で最も高い。
トンネル横断方向の動的解析(躯体と地盤を一体として動力学モデル)
トンネル躯体
のモデル化
フレーム
(骨組み構造)
非線形はり要素 非線形曲げ剛性(非線形な曲げモーメント〜曲率関係)を与えた要素。非線形曲げ剛性として、骨格曲線だけでなく除荷時・再載荷時の挙動も含む、いわゆる履歴ループの法則性を規定しておかなければならない。
線形はり要素 予め部材の地震時の変形量を推定しておき、それに見合う線形の曲げ剛性を仮定した線形なはり要素。地震応答解析を実施して部材の変形量が仮定値と異なるときには、両者が整合するまで繰返し計算を行うことも考えられる。
2次元平面的に
メッシュ分割
躯体をはり要素を用いてモデル化した場合、RC部材のせん断剛性の非線形特性や、ひび割れの発生位置・進展方向などの詳細については評価ができない。これを解決するために、2次元平面的にメッシュ分割し、それらにRC要素をあてはめてモデル化する方法がある。未だ解析プログラムが普及していないこともあって、一般的な解析ツールにはなっていないが、躯体の詳細な挙動を調べるには、有力な解析手法である。
(注:この部分の記述はWCOMDを指す)
周辺地盤
のモデル化
逐次非線形解析手法 地盤を平面ひずみ条件の四角形または三角系のソリッド要素を用いて連続体としてモデル化。地盤(土)の剛性や減衰のひずみ依存性をモデル化する方法。
ソリッド要素に与える非線形のせん断応力〜ひずみ関係にRamberg-OsgoodモデルやHardin-Drnevihモデルなどが適用される。
(注:WCOMDはこちらに該当し、大崎モデルを適用している)
等価線形化法  地盤を平面ひずみ条件の四角形または三角系のソリッド要素を用いて連続体としてモデル化。地盤(土)の剛性や減衰のひずみ依存性をモデル化する方法。
 “FLUSH”のようにソリッド要素の初期せん断剛性を与えておいて、2次元動的解析を繰返し行う手法がある。
 また、便宜的に自由地盤(1次元地盤)について“SHAKE”などにより予め地震応答解析を行って地盤の地震時ひずみやそれに対応する剛性を求めておき、2次元FEMソリッド要素にこの地震時剛性をあてはめて、動的解析は1回だけ線形で行うというやり方もある。
 この便宜的方法による場合は、トンネルとの動的相互作用の影響が及ぶ近傍地盤について、自由地盤で解析したときのひずみ量や剛性との不整合が生じる。
■(狭義の)応答変位法:縦断方向の解析法
フロー(A)
応答スペクトル(Sv)
応答スペクトル法(1D-Gsp)
地盤変位の振幅(δ)+地盤変位の波長(λ)
トンネル縦断方向の静力学モデル(BEAM static)
  • 埋設管や沈埋トンネルなどをはじめ、古くから線状地下構造物の縦断方向の耐震計算法として各規準類に採用されてきた。計算手法としては明快で、トンネル軸線に沿った地盤の地震時変位の"うねり"を、耐震設計上、正弦関数で表される分布形状と考え、これを地盤ばねに支持された棒に置き換えたトンネルに静的に作用させて、トンネルに生じる断面力や変位を求める。
  • 正弦関数分布の地盤変位は、振幅と波長とによって表される。
  • 基準類では、設計速度応答スペクトルが規定されており、応答スペクトル法によって地盤変位の振幅を求める。
  • 地盤変位の振幅を地震動波形と時刻歴応答解析によって求めることも可能であり、次のようなフローも考えられる。
フロー(B)
加速度の時刻歴波形(a(t))
1次元地盤の時刻歴応答解析法(1D-Gd)
地盤変位の振幅(δ)+地盤変位の波長(λ)
トンネル縦断方向の静力学モデル(BEAM static)
  • 対象とするトンネルの周辺地盤の条件が軸線方向に大きく変化し、トンネルの地震時の挙動にその影響が無視できない場合、この応答変位法ではそれを考慮することが出来ないため、他の解析手法によらざるを得ない。
■(狭義の)動的解析法:縦断方向の解析手法
加速度の時刻歴波形(a(t))
2次元、3次元地盤の時刻歴応答解析法(2/3 D-Gd)
  • トンネルと周辺地盤の動力学モデルを用いて、地震動加速度波形に対し時刻歴で地震応答解析を行う手法である。
  • 解析プログラムの内部では、まず地盤のみの地震応答解析を行って地盤変位を算出し、次にこの変位を地盤ばねの固定端からトンネルの動力学モデルに動的に入力する、という2ステップで行われる。
  • この解析手法は、河川や航路の底を横断して両岸の地盤を結ぶ沈埋トンネルの、地震時の安全性を検討することを目的として開発された。その開発上の要点は、地震時の震動性状が大きく異なる地盤間を通過することの影響を、トンネルの地震応答解析に適切に取り入れることであった。この解析手法の意図するところが沈埋トンネル以外の線状地下構造物でも必要とされ、多くの地下構造物の地震応答解析に適用されている。
  • なお、上述の解析手法は最初、田村らにより提案されたものであるが、そこでは、地盤の地震応答解析から算出された地盤変位をトンネル・地盤ばね系の静的モデルに作用させていた。このため、田村らのオリジナルの解析手法は、この(狭義の)動的解析法ではなく、後述する広義の動的解析法に分類することにする。
■(広義の)応答変位法、または広義の動的解析法:縦断方向の解析手法
フロー(1) フロー(2)
加速度の時刻歴波形(a(t)) 加速度の時刻歴波形(a(t))
2次元、3次元地盤の時刻歴応答解析法(2/3 D-Gd) 1次元地盤の時刻歴応答解析法(1D-Gd)
---------多地点について計算
地盤変位の分布の時刻歴(δ-δ) 地盤変位の分布の時刻歴(δ-δ)
トンネル縦断方向の静力学モデル(BEAM static) トンネル縦断方向の静力学モデル(BEAM static)
  • 上記の2つのフローは、(狭義の)応答変位法と同じ静的構造解析モデルを用いるが、そこに作用させる地盤変位を、正弦関数分布ではなく、実際のトンネル軸方向の地盤条件を反映させた変位分布としようとするものである。そもそも応答変位法とは、自由地盤の地震応答変位を算定し、これを地下構造物・地盤ばね系の構造モデルに強制変位として静的に作用させる解析方法の総称であるとの捉え方があり、その観点からは、これらの解析手法は広義の応答変位法といえる。
  • 他方、これらの解析手法では、地盤変位を算定するのに動的解析(時刻歴応答解析)によっている。特にフロー(1)では、トンネル周辺地盤の2次元または3次元動力学モデルを作成して動的に地震応答解析を行うのであり、その部分については、(狭義の)動的解析法と変わらない。
  • また、地盤変位は時刻歴の形となっているから、解析結果としてのトンネルの断面力なども時刻歴の形で出てくる。(狭義の)動的解析法との違いは、地盤変位の時刻歴をあくまでも静的にトンネル・地盤ばねモデルに作用させるところである。こうしたことから、これらの解析方法は広義の動的解析法であるとも言える。
  • いずれにしても、(1)(2)の解析手法では、トンネル軸線に沿う各地点の地震時地盤変位を地震応答解析により求めて、それらをトンネルへの地震荷重とする。
  • (1)においては、FEMまたは質点・ばね系モデルにより地盤全体系の地震応答解析を行う。前述のように、(狭義の)動的解析法との違いは、トンネル・地盤ばねモデルが動力学モデルとなっていないところだけである。
  • (2)では、地盤全体系の地震応答解析を行うのに代え、代表的地盤条件である複数地点について1次元地盤モデルによる地震応答解析を行って地盤変位を計算し、これらから他地点の地盤変位を補間して、トンネル軸線に沿う変位分布を算定する。(1)にくらべ、地盤変位の算定がかなり簡単になるが、選定地点が相互に独立して震動するものとみなしているから、トンネル周辺地盤の震動性状を正確に反映できない可能性が高い。
7. 解析手法の選定に際しての要点
開削トンネルの耐震解析手法にはいくつもの種類がある。それは、
(1)設計地震動の設定→(2)地盤の地震応答解析→(3)地震荷重の算定→(4)トンネル・地盤系の構造解析
 という耐震解析のそれぞれのステップごとにいくつかの設定条件や要素解析手法の選択肢があって、それらの組合せとして様々な種類の手法ができあがっているためである。したがって、解析手法の選定に際しては、トンネルの構造特性、周辺地盤の特性、設計地震動などの各種条件をよく把握し、それらの条件を適切に反映させることができ、トンネルの応答値が必要な精度で得られる解析手法を選ぶようにするのが肝要である。
 特に、地下構造物の地震時挙動には周辺地盤の地震応答性状が支配的な影響を持つことに留意する必要がある。
■トンネルの横断方向の解析
震度法  震度法は現在、ほとんど用いらていないが、トンネルの一部が露出する場合やトンネル上に地上構造物の基礎が載る場合など、慣性力の影響が大きい場合に適用することが考えられる。
応答変位法  現行の多くの基準類では、応答変位法が採用されている。これは、解析手法が明確であることと、計算が比較的簡易にできコストが低いことによるものと考えられる。応答変位法による場合は、解析の中で、対象とする地盤の地震時の震動性状を正確に捉えることと、地盤ばねを適切に評価することが、特に重要である。これらが適切であれば、他のより複雑な手法による解析結果と同等の結果を得ることも可能である。基準類の多くでは、一様な表層地盤を例にとった、応答スペクトル法による簡易な地震応答計算の手順が示されている。
 しかし、対象とする地盤が多層地盤であるような場合は、それを強引に一様地盤に置換えるなどして計算の簡略化を図るのではなく、多層地盤の固有値解析を行って精度の高い固有周期や振動モードを求めるなどの配慮が必要である。また、これを1次元地盤の時刻歴応答解析によることも検討すべきである。
 地盤ばねについては未だ合理的な評価法が確立されておらず、その設定によっては解析精度を左右することがあることに注意しなければならない。
動的解析法  動的解析法は、トンネル・地盤系の適切な解析モデルを作成することができれば、最も解析精度の高い手法であるが、解析コストも最も高い。トンネルおよび地盤の条件が比較的単純である場合は、他の解析手法でも必要な精度で解析できるので、動的解析法によることは少ない。しかし、近接構造物があり、その影響を詳細に調べる必要がある場合などは、他に適当な解析手法がないため、動的解析法を適用することになる。 動的解析法による場合は、動力学モデルの出来が解析精度を大きく左右するので、各種データをよく吟味しなければならない。
FEM系静的解析手法  FEM系静的解析手法は、応答変位法と動的解析法との中間に位置する解析手法であると言える。応答変位法における地盤ばねの問題は、この解析手法では問題にならない。また、動的解析法に比べ、数値計算量がはるかに少なくて済む。ただし、この系統の解析手法にも、地震荷重の種類と作用のさせ方によって、応答震度法、地盤応答法、FEM応答変位法など、すでにいくつかの種類があるので、その選定が必要である。いずれの手法も力学的にはほぼ等価な計算をしており、ほぼ同じ解析結果が得られるので、地震荷重の種類および作用のさせ方と使用する解析プログラムの機能とを見比べ、適当なものを選ぶことになる。
■トンネル縦断方向の解析
 多くの基準類では、(狭義の)応答変位法を原則としている。ただしこれによる場合も、上述したように、地盤の地震応答解析の部分には十分な配慮をすべきである。

 地盤の条件がトンネル軸に沿って大きく変化しており、それがトンネルの地震時挙動に与える影響を詳細に調べる必要がある場合、地盤変位を正弦関数と仮定している(狭義の)応答変位法ではこれを検討することはできない。この場合は、広義の応答変位法または動的解析法によらなければならない。地盤の地震応答解析の部分では、対象地盤の条件がトンネル軸方向のみに変化するとみなせる場合は2次元地盤モデル、トンネル軸方向と横断方向の両方向に変化する場合は3次元地盤モデルとする。
 
質点・ばね系モデルとFEMモデルとでは、質点・ばね系モデルのほうが解析モデルの自由度数が少なく地震応答計算の数値計算量が少ないが、逆に地盤モデル化にはより多くの労力がかかり、また、自由度数が少ないために地盤の細かい動きを表現できない。

トンネルの縦断方向の解析においても、地盤ばねのモデル化の問題がある。(狭義の)応答変位法などでは、周辺地盤の剛性値に各種の係数を乗じて簡易にバネ定数を決めることが多い。この他に動的解析法などで、地盤・トンネル系の静的FEM解析を行って、トンネルの形状や地盤内での埋設位置などをばね定数に詳細に反映させる方法が採られることもある。トンネルの変形のしやすさと地盤の硬軟との組合せによっては、地震応答解析結果に及ぼす地盤ばねの設定の影響が大きい場合があるので、地盤ばねのモデル化手法に関しても注意して選定する必要がある。

以下、次のようなさらに詳しい内容が記述されている。
 □力学特性モデル
 □地盤応答解析
 □骨組モデルによる応答変位法
 □FEM系静的解析手法 …応答震度法の説明
 □動的解析法 …フレームモデルが一般的。
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