最新デバイス LiDARセンサー HARDWARE INFORMATION
2021-No.1

昨年11月に、iPhone12シリーズがリリースされました。大きな特徴としては5G対応や素材強化などが紹介されていますが、iPhone12 Pro/iPhone12 Pro MaxではLiDARスキャナの搭載があります。

 
▲iPhone12 Pro。
Proシリーズはカメラが3個と各種センサーが並ぶ
▲iPhone 12 Pro のカメラ部。
右下の黒丸部分がLiDARスキャナ

LiDARスキャナは、自動運転時でも使用される測距センサーで、周辺の物体の位置が把握できます。iPhone12 ProではこれをARコンテンツの表示処理に使用しています。今までのiPhoneではARコンテンツを表示するには、事前にカメラで周囲を映すなどする必要がありましたが、これは画像から空間を推測計算するためです。ところがLiDARを使用することで極短時間で深度マップを作成できARコンテンツの表示がずれることが無くなります。


 ■メリットとデメリット
                 
特徴点による空間認識 LiDARによる空間認識
メリット ・カメラのみで処理できる
・複数の写真からでも立体を再現できる
・深度マップを一瞬で作成できる
・精度が高い
・暗い場所でも正確に測定できる
デメリット ・LiDARに比べ計算に時間がかかる
・極端な明暗所では使えない
・外部にセンサーと同じ種類の光源があると認識できない

 ■LiDARの仕組み

LiDARは、Light Detection and Ranging の頭文字から作られた造語で、光で物体までの距離を測定するセンサーのことを指します。似たようなセンサーに、ソナー(音波)やレーダー(電波)がありますが、原理はそれと同じで、それぞれ物体から反射してもどってくる時間に波の速さを乗じて距離を計算しています。

対象物までの距離が正確にわかるので、オートフォーカスにも利用されていて、暗所での動作が6倍になるなど、カメラの性能アップにも寄与しています。

さて、このLiDAR スキャナは建設現場での点群計測にも利用されています。既に点群計測ができるアプリがリリースされているので、こちらで点群データを取得してみました(pronoPointsScan:LiDARスキャナを搭載しているiPhone Pro、iPad Pro に対応)

取得した点群は、iCloudやGoogle Drive経由でPCにコピーすることが出来ます。弊社のUC-win/Roadでは数億個の点群データをインポートして表示することができますので、試しに弊社社内ショールームを点群計測し、データをUC-win/Roadに取り込んでみました。

▲UC-win/Roadにて点群を取り込んだ画面(約50万点)

▲社内の写真

非常に簡単に、10ショット程度の撮影をすることで、VRデータまでコンバートすることができました。写真の画像と比較すると、細かい形状や突起などは粗さが目立ちますが、平面的な形状は比較的きれいに取得できています。写真に比べると粗く感じますが、VRデータを最初から作成することに比べると、ほぼ一瞬で完成します。

VRデータに変換すると寸法情報も取得できるので、配置決めの検討や、干渉チェックなど作業がはかどりそうですね。


※ 社名・製品名は一般的に各社の登録商標または商標です。


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(UpComing '21 新年号掲載)
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