人間が動物に変形する恐ろしい疫病が流行している設定のフランス・ベルギー映画。徐々に羽が生えたり爪が伸びたり、最後は言語さえも失い完全に動物になってしまう。デフォルメされた可愛らしい動物人間ではなく、リアルな動物と人間の「界」≒境界を描いています。
母が病により動物になってしまい、父と2人暮らしの息子が主人公。転校先の学校で楽しい学校生活を始めるも、徐々に自身も動物へと変形していく。一般に人間と動物が混じった存在は、神話のケンタロウスだったり狼男だったりと現実から浮世離れしたものになりがちです。しかし今作は、動物化した人間に対する人種差別や医療福祉など、現代に通じる社会問題を想起させます。そして、何よりも最後の着地点が素晴らしい。一見するとジャンル映画的にも思える内容を、深い家族愛と人間愛溢れるドラマに仕上げています。圧倒的でした。
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