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立花みどり
セルフメディケーションの定義は「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」ですが、前回の背骨の柔軟性に続いて今回は股関節の柔軟性の低下が不調にどのように影響していくかについてお話しします。
コロナ禍の「歩かない」「積極的に脚を使わない」生活の中で、知らぬ間に低下しているのが股関節の柔軟性です。股関節を動かさないでいると骨格でつながっている骨盤から背骨の動きまでも硬くなるので、日常の動作一つ一つの動きが小さくなり、全身の活動量が低下して慢性的な運動不足を起こします。
運動不足で中性脂肪やコレステロールが増えれば動脈硬化や狭心症のリスクを高め、血流が悪くなれば冷え、肩こり腰痛、生理痛などの不調の原因になり、さらに頭痛、睡眠障害や心的不調にまで悪影響してしまう恐れがあります。どれにも股関節の柔軟性の低下を含む全身の「運動器機能不全」が原因となっています。ピルビスワークは背骨や股関節の柔軟性を高めて運動器機能の低下を予防する効果が高いストレッチなので、運動が苦手な方こそ日常習慣に取り入れる事をお勧めしています。
今や世界的にヨガ人口が増えて、ストレッチサロンが店舗を増やし、書店では「◯◯日で開脚ができる!」などの本がベストセラーになるなど、柔軟性の良し悪しが健康のバロメーターになっている良い傾向もあります。
柔軟性の良し悪しを測るのに最もポピュラーな動作は前屈のストレッチ、さらに開脚やY字バランスなど高度なストレッチもありますが、これは全て背骨と股関節の柔軟性を必要とする動きです。
股関節のストレッチ
股関節の基本の動作は①曲げる②伸ばす③開く④閉じるですが、さらに⑤内側にひねる⑥外側にひねる動きとこれらを組み合わせて行う⑥回す動きが重要です。そこで床に仰向けになって、体を床に支えてもらいながら股関節の6つの基本動作を行うのがピルビスワークのストレッチです。
ストレッチの方法
1 股関節屈曲(曲げる)
2 股関節伸展(伸ばす)
3 股関節の内転と内旋(閉じてひねる)
4 股関節の外転と外旋(開いてひねる)
5 股関節の回旋(回す)
この基本の動作からさらに柔軟性を高めるためには、曲げた関節の角度を維持したまま、筋肉に力を加えると、神経が刺激されて疲労や老化で働きが低下している筋肉の機能を回復しやすくなります。
これはPNFストレッチの手法で、筋肉を伸ばす時に神経を刺激して、凝り固まって反応が低い筋肉を回復させる効果が期待できるストレッチ方法です。アメリカでは70年以上の歴史があり、当初はリハビリなどを目的として編み出された、少し負荷をかけたながら行うストレッチです。
PNFストレッチのやり方については動画を参考に実践してください。
(動画は上記YouTubeチャンネルをぜひご覧ください)
今回ご紹介したストレッチを習慣的に繰り返し行う事で、徐々に前屈や開脚のストレッチを行えるようになり、背骨と股関節の柔軟性の向上は脚から上半身への力の伝達もスムーズになり、日常の生活習慣の中での全身の活動量が増えて行きます。毎日積極的に股関節のストレッチを行って前屈・開脚できる柔軟性を高めましょう!
(Up&Coming '22 新年号掲載)
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