Vol.6
赤川
NPO法人 シビルまちづくりステーション
http://www.itstation.jp/
流域及び河川の概要
赤川は、その源を山形・新潟県境の朝日山系以東岳(標高1,771m)に発し、大鳥池を経て渓谷を流れ、鶴岡市落合において右支川梵字川を合わせて庄内平野を北流し、河口近くで大山川を合わせ、庄内砂丘を切り開いた赤川放水路を通じて日本海に注ぐ、幹川流路延長70km、流域面積857km2の一級河川です。流域の源流部は磐梯朝日国立公園に指定され、山岳信仰で知られる霊峰月山を含む出羽三山(月山、湯殿山、羽黒山)を擁し、豊かな自然環境に恵まれています。
なお「赤川」という河川は全国で約30河川(内 北海道・東北に約10河川)あります。 名前の由来は(1)アイヌ語で「川」を意味する「ワッカ」から、(2)濁った水の色から(3)仏前に備える「閼伽水から等の説がありますがこの河川の水は極めてきれいで、(2)ではなく、出羽三山や支川・梵字川もあることから、その語源は(3)がふさわしいと思います。
治水等の概要
"五月雨を あつめて早し 最上川"
赤川は本来最上川の支川で、 河口部の酒田市で合流していましたが、明治42年4月の融雪洪水を契機に、赤川も大正6年に直轄事業に採択されました。庄内砂丘に延長2.7kmの放水路を設置して、直接日本海へ放流する計画とし、 大正10年6月に着手し、 昭和8年に通水し、戦後昭和28年に旧川を締切って独立水系となりました。
その後の洪水発生のため荒沢ダム(山形県施行)が昭和30年に完成し、昭和41年には一級水系に指定されました。44年8月洪水を契機として計画が見直され、51年度に月山ダムが採択され平成13年に竣工しました。砂防事業は昭和29年から県施行で実施されてきましたが、昭和62年から赤川本川上流は直轄事業となりました。
見どころ寄りどころ
前節冒頭の芭蕉の句につづき、以下「おくのほそ道」の記述によって出羽三山について紹介します。
『六月三日、羽黒山に登る。図司佐吉と云う者を尋ねて、 別当代会覚阿闍梨に謁す、南谷の別院に舎して、憐愍の情こまやかにあるじせらる。 有難や 雪をかほらす 南谷 五日、権現に詣づ。当山開闢能除大師はいずれの代の人と云ふ事をしらず。延喜式に羽州里山の神社と有り。書写黒の字を里山となせるにや、羽州黒山を中略して羽黒山と云ふにや。 出といへるは、鳥の毛羽を此国の貢に献る風土記に侍るとやらん。 涼しさや ほの三日月の 羽黒山 羽黒を立ちて鶴が岡の城下。 長山氏重行と云ふもののふの家にむかへられて、俳諧一巻有り。佐吉も共に送りぬ。川舟に乗りて酒田の湊に下る。渕庵不玉と云う医師の許を宿とす。』 |
国宝 羽黒山 五重塔(左)、湯殿山神社本宮(右)
月山神社
三山合祭殿
今年は丑年ですが、出羽三山の12年に一回の御縁年です。
コロナ等の疫病が退散し、皆様にとって健康で良い年でありますよう祈念します。
<参考文献>
1) 赤川水系河川整備基本計画(平成20年9月)https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/pdf/akagawa25-1.pdf
2) 赤川水系河川整備計画(平成24年8月)http://www.thr.mlit.go.jp/sakata/office/works/river/pdf/aka_seibikeikaku.pdf
3) 月山ダムHPhttp://www.thr.mlit.go.jp/gassan/index.html
4) 「奥の細道ノート」 萩原 井泉水著(新潮文庫 昭和45年1月改版)
5) 出羽三山神社HPhttp://www.dewasanzan.jp/
(Up&Coming '21 新年号掲載)