Vol.13

株式会社KAMITOPEN
一級建築士事務所

代表取締役 吉田昌弘さん

URLhttp://kamitopen.com/

所在地 東京都港区

京都工芸繊維大学工芸学部で建築を専攻し、卒業後に入社したタカラスペースデザイン株式会社で、理美容サロン、エステサロン、医療クリニック、化粧品店舗などの空間デザインに携わりました。その後2007年に独立して、2008年には株式会社KAMITOPEN一級建築士事務所を設立。現在は麻布十番に事務所を構え、7名のスタッフと共に国内外の飲食店やオフィスなど商業建築の外観・内観デザインを多数手がけており、CGパースの作成にShade3Dを活用しています。実際に顧客に見せるパース以外でも全体を3Dで作り込み、空間のイメージを確認してデザインのコンセプトを正確に表現することにこだわっています。

商業建築を中心に多彩な案件を手掛け顧客の思いをデザインで解決
CGパース作成にShade3Dを活用し生き生きした光のある空間を表現

「顧客の要望を聞いてそれをお医者さんのようにデザインで解決すること、ブランドイメージをデザインで明確に伝えることを大切にしています」という吉田さん。建築を専攻していた学生時代からCGパース作成を始め、卒業後に入社したタカラスペースデザイン株式会社で「美と健康」に関わる様々な空間デザインに関わる中で、初めてShade3Dに触れました。以来20年以上に渡って、独立して現在の事務所を立ち上げてからも利用し続けています。現在13期目を迎えている株式会社KAMITOPENの社名は、吉田さんの師匠の「この仕事は紙とペンだけでできるんだよ」という言葉に因んでつけたもの。新築からリデザインまで店舗を中心とした多数の建築空間デザインを手掛ける中で、Shade3Dがその大きな手助けとなっているといいます。

KAMITOPENが扱うジャンルは、カフェ、ホテル、和菓子店、カラオケボックスなど多岐に渡り、海外では現在シアトル、シドニー、香港などの案件が進行中です。「多店舗展開で、長く付き合っていくうちに大きく成長していく企業が多いことが、私達のお客さんの特長です」というように、例えば、抹茶・日本茶をメインにしたメニューで人気を集めているカフェチェーン店nana's green teaは日本国内で80店舗、海外で20店舗を構え、同社は国内だけでなく上海、ハワイ、シアトルなどの店舗でも、空間デザインを担当し出店を支援しています。

同社のデザイン業務では、まずミーティングでコンセプトを決定し、手書きのスケッチでラフを作成して自由な意見交換を行った上で、ある程度の方向性が定まったところでパース作成に着手。若いスタッフがShade3Dでモデリングし、経験のあるスタッフがそれを使ってデータを入れ込むといったように、データ共有しながら作業が進んでいきます。「Shade3Dのいいところは、NURBS形状機能によって粘土を触っているような感覚で、自由に形を作って直感的なモデリングで表現できる点。入社して初めてShade3Dに触れるスタッフも、1カ月程度ですっかり使いこなせるようになります」(吉田さん)

パース作成では、画像を見た時と実際にその空間に行った時の差を埋めるため、人間の目に合わせて現実の想定よりやや明るめにしてディテールを正確に伝えることを意識しており、そのための微妙な調整をShade3Dで表現しています。「パースは雰囲気が非常に大切です。顧客の要望に応じた目的、意図をデザインで表現するためには、生き生きした光がある状態で形を検討し、空間イメージを把握する必要があります」。実際に顧客に見せるパース以外の部分も全体を3Dで作り込むことで、自分達自身でイメージをしっかり確認し、美しい空間を作るためのツールとして役立っているといいます。

最近デザインを手掛けた「ソロサウナ」は、従来のサウナとは異なってひとりでゆっくりと寛ぐための施設。沐浴をイメージした日中の自然な光や、室内でゆらぐ蝋燭の光などの照明効果のデザインもパースでリアルに表現されており、Shade3Dを使って顧客の思いを形にすることができたといいます。パンデミック以降、人々が求める空間のあり方は大きく変化しています。こうした要望を繊細に汲み取ってデザインで柔軟に表現していくためのツールとして、今後もShade3Dの活躍が期待されます。

▲nana’s green tea ハワイ店

▲グッドマン アメニティスペース(千葉)

▲株式会社KAMITOPEN一級建築士事務所 オフィスの様子


(Up&Coming '22 春の号掲載)