Vol. 34
このコーナーでは、ユーザーの皆様に役立つような税務、会計、労務、法務などの総務情報を中心に取り上げ、専門家の方にわかりやすく紹介いただきます。今回は、平成28年1月より本格的な運用がされているマイナンバーカードについて、利用のメリットや申請方法、FAQをまとめていますので、ぜひご参照ください。
 
 マイナンバーカードの現状とこれから

1.マイナンバーカードとは?

マイナンバーカードとは、マイナンバー(個人番号)が記載された顔写真、ICチップ付きのカードのことで、身分証明書としても利用できます。


マイナンバーとは、日本に住民票を有する全ての人(外国人を含む)が持つ12桁の番号で、原則として生涯同じ番号となります。社会保障や税、災害対策の分野で複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されます。

マイナンバーについては平成27年10月より「通知カード」により通知が始まり、新たに出生等で住民票登録をすると通知カードが届いていました。

この通知カードは、マイナンバーカードとは違い、顔写真付きの免許証やパスポートの写しを一緒に添付することでマイナンバーを証明する書類として取り扱われます。そのため、単体では証明書にはならず、身分証明書としても利用ができません。カード紛失のリスクや、マイナンバーカードを取得する手続きが面倒であること、マイナンバーカードを所持していることに利便性を感じられる場面が少ないことが、普及が進まない理由となっているようです。


2.マイナンバーカード取得のメリットと注意点

マイナンバーカードが注目されたのは、新型コロナウイルスの影響で自粛が始まり、特別定額給付金が決定され、マイナンバーカードによる申請の方が早く給付金が振り込まれることが判明したニュースではないでしょうか。それ以外にも、政府によりカード取得を促す施策が取られています。

(1)マイナポイント開始

昨年9月よりスタートした「マイナポイント」。これはマイナンバーカード所有者がキャシュレス決済(またはチャージ)した場合、購入額の25%(上限5,000円分)のマイナポイントが付与されるものです。マイナンバーカードに対応したNFC対応のスマホに「マイナポイント」アプリをインストールすることでご利用いただけます。今年3月までの実施予定でしたが、3月までにマイナンバーカードを申請した方は9月までの対象となり、サービスを受けることができます。

(2)健康保険証として使用可能に

令和3年3月より、マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになる予定です。

メリットとして、

  1. 就職、転職、引っ越しの際に保険証の発行を待たなくてよい
  2. マイナポータルで特定検診や薬の情報の一括管理が可能
  3. マイナポータルで確定申告の医療費控除が簡単に
  4. 窓口への書類の持参が不要に

といった点があげられます。

利用には初回登録(利用申し込み)や暗証番号が必要となります。また従来の健康保険証が使えなくなるわけではなく、社会保険の届け出は別途必要となります。

(3)電子化した年末調整に対応

税制改正により、令和3年1月1日以降については、法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであった当該法定調書の提出枚数が「100枚以上」(改正前は1,000枚以上)だった場合は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)又は光ディスク等での提出が義務となります。このため、年末調整自体の電子化が進んでいます。

年末調整を電子化するためには、保険会社等と各人のマイナポータルとの紐づけが必要となり、結果、社員一人一人についてもマイナンバーカードの取得する必要があります。電子化することで記入ミスが減り、年末調整のチェック等業務が大幅に効率化される期待もありますが、社員個人が個別にサイトへ入力することも増えるため、その問い合わせなど別の業務が増えることも考えられます。

このようなマイナンバーカードを利用したオンライン申請(電子申請)は今後も多くなっていくことが予想されています。

(4)通知カードの廃止

マイナンバーの通知カードが昨年5月に廃止となり、現在は「個人番号通知」が送付となっています。以前は、氏名や住所変更の際、通知カードの裏面に変更事項を記載していましたが、廃止に伴い変更となっても裏面記載はできなくなりました。よって、通知カードが現在の住所等と違う場合は「マイナンバーを証明する書類」としての利用ができません(通知カードに記載された氏名、住所等が住民票に記載されている事項と一致している場合に限り、引き続きマイナンバーを証明する書類として利用することができます)。

なお、通知カードに同封された交付申請書を持っている場合(住所等が違う場合でも)、パソコン等でのマイナンバーカードオンライン申請は引き続き可能となっています。

(5)マイナンバーカードの有効期限

実はマイナンバーカードにも有効期限があります。発行日時点の年齢が20歳以上の方は発行日から10回目の誕生日、発行日時点の年齢が19歳以下の方は発行日から5回目の誕生日までが有効期限となります。

電子証明書については年齢にかかわらず発行日から5回目の誕生日までで、電子証明書が無効になっている場合、オンライン申請などのサービス利用ができない場合があるので注意が必要です。


3.マイナンバーカードの申請方法

(1)交付申請をしよう

マイナンバーカードの申請は郵便・パソコン・スマートフォン・証明用写真機からできます。

撮影する顔写真についていくつかポイントがあります。

  1. 縦4.5cm×横3.5cm
  2. 最近6ヶ月以内に撮影されたもの
  3. 正面、無帽、無背景のもの
  4. 裏面に氏名、生年月日を記入
  5. 白黒の写真でも可

郵便
  • 個人番号カード交付申請書に署名または記名・押印し、顔写真を貼り付ける
  • 交付申請書の内容に間違いがないか確認し、送付用封筒に入れ、郵便ポストに投函
 PC
  • デジタルカメラで顔写真を撮影し、パソコンに保存
  • 交付申請用のWEBサイト(マイナンバーカード総合サイト)にアクセス
  • 画面にしたがって必要事項を入力し、顔写真を添付して送信
 スマホ
  • スマートフォンのカメラで顔写真を撮影
  • 交付申請書のQRコードを読み込み、申請用WEBサイトにアクセス
  • 画面にしたがって必要事項を入力し、顔写真を添付して送信
証明用
写真機
  • タッチパネルから「個人番号カード申請」を選択し、撮影用のお金を入れ、交付申請書のQRコードをバーコードリーダーにかざす
  • 画面の案内にしたがって、必要事項を入力し、顔写真を撮影して送信
※概ね1ヶ月で市区町村から交付通知書(はがき)が届きます。

(2)必要書類を揃えよう

  1. 交付通知書
  2. 通知カード(令和2年5月以前に交付を受けている方)
  3. 本人確認書類
  4. 住民基本台帳カード

(3)交付窓口でマイナンバーカードを受け取ろう

交付通知書に受け取りの期日と交付場所(市区町村の窓口等)が記載されていますので、他必要書類と一緒にお持ちください。交付窓口で本人確認の上、暗証番号を設定して頂くことにより、マイナンバーカードが交付されます。

また、通知カードを保有している方がマイナンバーカードの交付を受ける際には、通知カードを市町村に返納していただく必要がありますので、ご留意ください。


4.FAQ

Q.通知カードを無くしてしまった。
A.通知カードを紛失すると届出の必要があります。

自宅で紛失した方はお住いの市区町村窓口に紛失した旨を届出してください。自宅外で紛失された方は警察へ遺失の届出をしてください。

Q.マイナンバーカードを無くしてしまった。
A.マイナンバーカード機能停止のお手続きが必要となります。

マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)または、個人番号カードコールセンター(0570-783-578)へご連絡をお願いします。あわせて、警察に遺失届を出していただき、受理番号を控えてください。その後、お住まいの市区町村へ届出をし、再発行のお手続きをおとりください。

Q.マイナンバー通知書や一緒に送られてきていた交付申請書を無くしてしまった。
A.交付申請書と封筒をダウンロードして郵便で申請するか、お住まいの市区町村窓口で交付申請書を再発行できます。

お住まいの市区町村窓口へ行き、交付申請書を再発行しましょう。
申請時に窓口で本人確認を行えば、本人限定受取郵便等でマイナンバーカードの受取ができます。

Q.マイナンバーカード交付申請書(QRコード付き)が届かない。
A.QRコード付き交付申請書は2020年11月から順次送付しています。

令和3年1月~3月にかけて順次お手元に届きます。また以下に該当する方は、別の機会に交付申請書を送付している(または送付予定)ため、送付していません。

  1. 75歳以上の方(後期高齢者医療制度の保険証更新時に、郵送用の交 付申請書を送付します。)
  2. 令和2年1月1日以降に出生または国外から転入された方(出生時または 転入時に個人番号通知書等と一緒に交付申請書を送付しています。)
  3. 在留期間の定めのある外国人住民の方(地方出入国在留管理局でマ イナンバーカードの交付申請などについてお知らせをしています。)

また、すでにお手元にある通知カードまたは個人番号通知書と一緒に送付されている交付申請書をお使いいただき申請することもできます。


【参考】

[1]マイナポイント事務局ホームページ

[2]マイナンバーカード統合サイト

[3]マイナポータル

監修:社会保険労務士 小泉事務所




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