迷宮の中身
街なかを探検してみると、どこを歩いても絵になる風景であり、店舗に入るとつい欲しくなる素敵な品々がたっぷり。まずはサン・マルコ広場にそびえる鐘楼(高さ96.8m)に上ろう。張り切って開門前から並ぶと何と一番乗り。鐘楼の上からは、サン・マルコ広場と建物が良く見え、運河や街路はほとんど見えない【図3】。細かく組み立てられた迷宮だからか。良く見ると、アルターナ(屋上)が沢山見える。気持ちの良いプライベート空間だ。茶色のパラボラアンテナもあって景観への配慮が伺える。
運河【図4】。最も大きいものは、ヴェネツィア本島の真ん中に逆S字形をした長さ3,800m、幅100mほどのカナル・グランデ。リアルト橋の脇には潮位計があり、ここは海の上だと実感する。ヴェネツィアの建物には大量の松杭が地中の硬い層まで打ち込んであるが、水上バス・ヴァポレットは建物へ与える振動を抑えるため、速度を落として走っている。ヴェネツィアでは、水上バス、水上タクシー、観光用ゴンドラ、産業用の船など様々な種類が行き交っており正に水都。船は、眺めてもよし、乗ってもよし。個人的なお勧めは、渡し舟トラゲットに乗ってみること【図5】。実際に乗せてもらうと、の~んびりと対岸まで渡してくれる。それなのに乗船料金は1ユーロ(約130円)。ゴンドラのへりにはユーロの山ができあがっていた。
路地。建物の上層階では人が生活している様子が垣間見える。ヒューマンスケールな路地を挟んで、向かいの住人とおしゃべりしている風景や【図6】、洗濯ロープを架けて洗濯物の大きさ順に干している風景など、正にイタリアらしい。幅40cmほどしかない狭い路地もあるそうだ。空を見上げても楽しいぞ。
観光客の波から逃れようと、高級ブティックが建ち並ぶ通りから脇の路地へ入ると袋小路状の閑静な広場に出会った【図7】。この時、なんだかホッとした。それは、人込みから避けたこともあるが、広場で人々が談笑していたからだろう。もしこの広場に誰もいなかったら、それ以上進むのはちょっとためらった気がする。広場にいる人が、通りを歩く他の人々を呼び寄せる。こうやって屋外空間に人々の賑わいが魅力的に醸し出されていく。
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