Arcbazar@MIT
チャールズ川を渡り、MITへ。まずは、MITのキャンパスを巡ろう。MITのシンボル・グレートドーム【図4】、メディアラボ、フランク・ゲーリーのスタータ・センターなどへ。キャンパスはケンブリッジの町と一体化している。建物内の教室やラボはガラス張りになっており、結構自由に眺めることができたのは意外であった。特に、グレートドーム内の廊下は、大学関係者と観光客が入り交じって混雑していた。
MIT 建築・計画学部 長倉威彦 准教授とArcbazar社 CEO Imdat As氏を訪問した【図5】。Arcbazarは、建築の市場という意味で、Webサイトを通じて、施主が世界中の専門家を対象としたコンペを開催できるシステムとサービスのことである。建築・インテリア・ランドスケープなど、空間デザインを主な対象としており、世界中で行われてきたArcbazarコンペは既に5,000を数える。例えば、あなたが自宅を建てる時に、普通ならば知り合いの建築家や近くの工務店に依頼して作ってもらうわけだが、このArcbazarに依頼すると、世界中から登録されている15,000人以上の建築家・デザイナー相手にコンペを開催して、デザインを募集してくれる。施主は新たなデザイン、アイデア、コスト減を得ることができるかもしれないし、デザイナーは新たな活躍の場を見出すことができるかもしれない。施主がデザインの審査に不安であれば友人や専門家を審査員として招くこともできる。すなわち、Arcbazarは施主と設計者とがコンペを通じて出会えるマッチング・サービスであり、閉鎖的で透明性がないと批判されがちなコンペの民主化を目指しているといえる。
その後、Arcbazarの日本での運営がスタートしている。日本版Arcbazarはこれまでの空間デザインコンペ機能に加えて、自主簡易アセスなど新たなメニューを加え、クラウド版3次元VRも扱おうとしている。1) |