AUTOSAR(オートザー)
AUTOSAR(オートザー)とは?
皆様はAUTOSAR(オートザー)という言葉をご存知でしょうか。自動車開発分野ではかなりよく知られている用語ですが、現在、それ以外の分野で耳にすることはほとんどないのではないかと思います。
AUTOSARは、AUTomotive Open System ARchitectureの頭文字を取って省略したもので、2003年に発足した自動車業界のグローバル開発パートナーシップを指しています。
車載ソフトウエアの標準規格を策定
AUTOSARは、インフォテインメントを除く領域で、車載電子制御ユニット用の共通標準ソフトウェアアーキテクチャを策定・確立することを主な目的として活動しています。自動車メーカ、サプライヤー、サービスプロバイダ、エレクトロニクス、半導体およびソフトウェア業界の企業により構成されており、内訳は、9社のコア・パートナー(BMW、ボッシュ、コンチネンタル、フォード、ダイムラー、PSA(プジョーシトロエン)、セネラルモータース、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン)と53のプレミアム・パートナー、38のデベロップメント・パートナー、127のアソシエイト・パートナー、21のアテンディーとなっています(2018年7月時点)。
また、仕様そのものの名称としても使用されており、「AUTOSARを導入する」という表現も見られます。
電子制御ユニット(ECU)用のハードおよび基本ソフト(通信、ライブラリ等)の標準化を進めることで、制御ソフト開発スピードを上げることが主要な目的ですが、最近では自動運転用の道路データをネットからダウンロードする必要があるため、通信部分へのセキュリティ対応も必要とされているようです。通信仕様の5Gなども関連してくることから、自動車開発における動向はますます目が離せないといえます。
2つのPlatform
Platform architectureは、Classic PlatformとAdaptive Platformの2種類が作成されています。
Classic PlatformはエンジンECU等の共通化を目指して作成された「車載電子機器用の公開インタフェース及びシステム(OSEK:Open system together with interfaces for automotive electronics)」をベースとしたもので、ハードウェアに依存しないアプリケーションの開発ができるようになっています。
Adaptive Platformは、クラウド連携や動運転などの高度な「V2X(車とモノの通信)」を使用した高度自動運転用のアーキテクチャです。クラウドとの接続や、セキュリティ対応(通信部分や、なりすまし対策)などの仕様の標準化を進めています。また、ソフトウェアの自動更新についての想定や、スマートフォンとの連携等も考慮されています。
このように、車両開発にも、IoTとクラウド化の時代が来ています。
フォーラムエイトの取り組み
フォーラムエイトでは、AUTOSARに対応した自動車ECU向けソリューションの提供に加えて、インフラ構造物・設備の維持管理を想定したモニタリング、IoTデバイス関連の組込み開発など、土木建設分野についても同様の対応を進めています。
(Up&Coming '20 新年号掲載)