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 サポートトピックス・CAD/UC-1シリーズ

土留め工の設計・3DCADのなぜ? 解決フォーラム

撤去時の検討について

保守・サポートサービス関連情報

本製品は、通常の掘削時の検討に加えて支保工撤去時の検討を行うことができます。この撤去時の検討については基準類などに記載が少ないせいか、本検討に関する多くのお問合せを頂いております。今回は撤去時の検討に関する設定方法や考え方などをご紹介します。

撤去時の検討を行う方法

本製品で撤去時の検討を行う場合は、[初期入力]画面(図1)の「撤去時の検討を行う」をONにします。この時、支保工の入力表に「本支保工を撤去する撤去次数」の項目が追加されますが、本入力は掘削時に架設した支保工を撤去する順番を示します(図2)。撤去時を検討する場合は、各撤去時ケースにおいて、必ず設置済みの支保工を下から順番に最低でも1段以上撤去する必要があります。同時に2段以上撤去する場合は、それぞれの支保工に同じ撤去次数を入力して下さい。なお、ある段まで撤去し、それより上段は撤去しないという設定にする場合は、撤去しない支保工の撤去次数を0として下さい。

上記の設定を行い、[初期入力]画面を確定しますと、入力した撤去次数に従って撤去時ケースが自動的に追加されます。この時、慣用法につきましては掘削時と同様に各ケースの照査を行うか否かを[検討ケース]の各撤去時ケースの編集画面で設定することができます。弾塑性法につきましては掘削時と同様にステージ解析となりますので、自動的に全ケースが計算されます。また、弾塑性法の場合には盛替え支保工を設定することができますが、[部材]-[盛替え支保工]画面で使用する盛替え支保工を入力し、各撤去時ケース画面で設置する盛替え支保工を設定して下さい。


図1 [初期入力]画面

図2 支保工を撤去する撤去次数と撤去ケース

均しコンクリート(底版コンクリート)を考慮する方法

最終掘削まで完了し、掘削底面に均しコンクリート(底版コンクリート)を打ち、支保工を撤去するという状況を想定した場合の設定方法について紹介いたします。

慣用法の場合は、均しコンクリート位置を[検討ケース]-[撤去時ケース]画面で下方支点位置として入力します。この時の位置としては、均しコンクリート厚(底版厚)の中心で良いと考えられます。

弾塑性法の場合は、均しコンクリートを盛替え支保工として考慮します。この時、盛替え支保工の位置としてはコンクリート厚の中心で良いと考えられますが、盛替え支保工は弾性バネとしての扱いになりますので、バネ値の入力が必要となります。本製品の弾塑性解析は、基本的に単位幅当たりの照査となりますので、入力される盛替え支保工のバネ値も単位幅当たりの値とする必要があります。この時、仮設構造物工指針(P.107)に示されているコンクリート切ばりのバネ定数式を参考にして、式中の切ばりの水平間隔sにコンクリート版の奥行き幅(施工延長Le)を代入すると、図3内に示した式となります。本式より、コンクリート版の奥行き幅(コンクリート断面の幅)を1.0mと仮定した場合は、水平間隔も1.0mという扱いになり、結果的にコンクリート版の厚さでバネ値を決定することができると考えられます。


図3 弾塑性法における均しコンクリートの考慮

弾塑性法で埋戻し土を考慮する方法

「土留め工の設計・3DCAD Ver.16」では、弾塑性法(解析法Ⅱ)において埋戻し土を考慮した撤去時の検討に対応しました。Ver.15以前は埋戻し土を直接考慮することができなかったため、過去のサポートトピックでも盛替え支保工(弾性バネ)でモデル化する方法をご紹介しましたが、今回はVer.16で対応した埋戻し土を直接考慮する方法を紹介いたします。

埋戻し土は弾塑性法(解析法Ⅱ)で撤去時の検討を行う場合に、[検討ケース]の各撤去ケースの編集画面(図4)で設定することができます。「弾塑性法で埋戻しを考慮する」をONとし、埋戻し面と埋戻し土のパラメータを入力して下さい。本検討に関する入力は以上となり、後は計算実行しますと埋戻し土を通常の地盤バネと同様に弾塑性バネ(非対称バイリニアモデル)で考慮した弾塑性解析が行われます(図5、図6)。なお、盛替え支保工と埋戻し土は同時に考慮することができ、また、埋戻し土のみ、盛替え支保工のみの考慮も可能となっておりますので、多様な条件に応じた撤去時の検討を行うことができます。


図4 [検討ケース]-[撤去時ケース]画面 図5 埋戻し土(弾塑性バネ) 図6 埋戻し土を考慮した弾塑性解析結果

慣用法の撤去自立時の土圧はなぜ断面計算用土圧ではなく根入れ長用土圧を使用しているのか

撤去自立時の計算方法については、各基準類や参考文献に詳細な説明が殆どありません。そのため、「慣用法の撤去自立時の土圧はなぜ断面計算用土圧ではなく根入れ長用土圧を使用しているのか」というお問合せを多くいただきます。本製品では、以下の理由により、根入れ長用土圧を使用しております。

  1. 断面計算用土圧は切ばり反力等から推定した土圧分布形であり、基本的に自立時には使用しない
  2. 撤去自立時の状態は、基本的に埋め戻されて掘削自立時の状態と酷似していると判断できる

図7 撤去自立時の考え方

弾塑性法における撤去時の荷重について

弾塑性法では、掘削時ケースは掘削による応力解放に伴う除荷荷重を載荷しますが、撤去時ケースについては支保工の撤去に伴う撤去荷重を載荷します。具体的には、図8に示したように撤去する支保工のバネ(弾性バネ)を外し、この支保工の反力と等価な値を撤去荷重として同じ位置に与えています。なお、この時の支保工反力(撤去荷重)は撤去する直前の検討ケースの値となりますので、1次撤去時の場合は最終掘削時、2次撤去時の場合は1次撤去時の支保工反力が用いられます。また、本製品では複数の支保工を同時に撤去することができますが、この場合は該当する撤去時ケースにおいて、撤去する全ての支保工位置に同時に撤去荷重が載荷されます。


図8 弾塑性法における支保工撤去時の荷重

(Up&Coming '21 春の号掲載)
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