Ver.10 改訂内容
「地盤改良の設計計算 Ver.10」では、主に下記の機能追加、拡張を行いました。
建築基準: 深層混合処理工法
・建物下の独立基礎としての支点配置の入力に対応しました。
土木基準: 深層混合処理工法
・構造物基礎下の複合的設計手法の設計に対応しました。
以降に、対応内容の概要をご紹介いたします。
建築基準: 深層混合処理工法
建物下の独立基礎としての支点配置の入力対応
建築基準の深層混合処理工法の検討では、従来、複数の基礎スラブ(改良地盤)を入力して検討することができましたが、全体の配置状態を入力することはできませんでした。Ver.10 では、建物下に複数の独立基礎がある場合の全体配置の入力に対応しましたので、格子状の通りを設定し、通りの交点を基準にして改良体を配置することができます。
図1 支点配置のイメージ図
(1)通りの名称は、「X1,X2,…/A,B,C,…」など予め登録されているものから選択する以外に任意に設定することもできます。入力可能な支点数は、通りの列×行で決まりますが、実際の配置位置は任意で指定できるので格子状以外の配置も可能です。(図2)
図2 初期配置の入力画面
(2)従来の入力では、複数支点に配置される改良体については、一番厳しくなる荷重を抽出して入力いただく必要がありましたが、支点配置の入力では、支点ごとに荷重を設定することができます。また、荷重は表形式で一括して入力を行うので、改良体ごとに画面を切り替える必要がありません。
(3)水平力は、支点毎の指定の他、建物全体で入力し、鉛直荷重比により自動で分配することが可能です。また、エレベータや階段下など、水平力を負担しない支点の設定も可能です。
(4)照査は、全支点全荷重について実施しますが、結果については、「全支点の結果」/「改良体ごとの最も厳しい結果」を選択して、結果確認、出力を行うことができます。
(5)配置図は、計算書に出力されます。
土木基準: 深層混合処理工法
構造物基礎下の複合的設計手法の設計に対応
従来、土木基準の深層混合処理工法の検討では、盛土下の改良を選択すると複合地盤的設計手法、構造物基礎下の改良を選択すると構造物的設計手法としていました。この構造物基礎下の改良の検討は、擁壁のように偏土圧が発生するような状態を想定し、ラップされた改良体を一体とみなして地中構造物に準じた扱いで設計する方法ですが、構造物下の改良でも偏土圧は発生しない状況で杭式配置の改良を行う場合もあり、このような場合は複合地盤的設計手法による検討の方が適切と思われます。そこで、Ver.10では、構造物下の改良のときに複合地盤的設計手法として検討できるようにしました。
計算方法は盛土下の複合地盤的設計手法に準じますが、構造物基礎下のときには、構造物から改良体に作用する荷重を入力し、構造物の左右に土砂がある場合にはその影響も考慮した計算を行います。
図3 土木基準深層混合処理工法の設計手法の選択
その他の対応
その他の対応項目として、下記基準における直接基礎の支持力算定式に対応しました。
・土地改良事業計画設計基準・設計「ポンプ場」 平成30年
・建築基礎構造設計指針 2019年(日本建築学会)
それ以外にも、浅層混合処理工法における応力広がりの指定方法の拡張など、多くのご要望に対応しております。
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