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 サポートトピックス・CAD/UC-1シリーズ

震度算出(支承設計)のなぜ?解決フォーラム

複数下部構造計算における分担重量について

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 複数の下部構造と上部構造からなる設計振動単位の計算における分担重量は、図1のようなモデルのFrame解析により算定されます。具体的には、構造物の重量を格点の集中荷重として水平方向に作用させた場合に下部構造天端部材に生じるせん断力を分担重量とします。その結果の傾向についてご説明いたします。
 図中の●は質量がある格点、○質量がない格点、2重格点(支承)を示します。


図1 固有周期算定モデル

橋軸方向

 橋軸方向については、面内解析を行います。
 図1のように剛性の異なる下部構造が配置されている場合、分担重量は剛性比の影響を大きく受けます。
 下記の条件を仮定した場合、上部構造の重量はほぼ剛性比により分配されます。


(1)上部構造が剛体とし、上部構造の変形を考慮しない
(2)下部構造の自重による水平荷重は考慮しない


 荷重の作用位置には、影響を受けません。つまり、図2のように上部構造の重量を1点に集約して載荷させた場合も、剛性の大きい下部構造により大きなせん断力が生じます(Wu1<Wu2)。


図2 1点載荷モデル


 実際のモデルにおいては、上部構造の変形も考慮されますし、下部構造重量の水平荷重による影響も受けるので剛性比と分担重量比が一致する訳ではありませんが、橋軸方向の分担重量は、剛性比に近似する傾向を示します。

橋軸直角方向

 橋軸直角方向については、面外解析を行います。
 橋軸直角方向の分担重量については、橋軸方向とは傾向が異なるため、このようなお問い合わせをいただくことがあります。
 「単純桁で剛性が異なる下部構造が配置されているのに両方に全く同じ分担重量が算定されます。」
 このお問い合わせの通り、下記の条件においては、分担重量は下部構造の剛性によらず左右対称に算定されます。


(1)鉛直軸回り(θy)の支承条件が『自由』
(2)上部工の荷重状態が上部工の中心を基準に完全な左右対称


 この面外モデルを分かりやすく向きを変えた面内モデルに置き換えると図3のようになります。
 下部構造をばねに置き換えた支点として、鉛直荷重が作用している状態です。この時、支点に生じる鉛直反力が、分担重量に該当します。剛性の差は、支点の変位には影響しますが、反力には影響しません。


図3 面内置き換えモデル1


 橋軸直角方向の解析においては、剛性比よりも荷重の作用位置が大きく影響します。
 中心荷重P2の作用位置を左に移動した場合(図4)、作用位置に近い支点の反力が大きくなります。


図4 面内置き換えモデル2


 上記は、単純桁で説明していますが、2径間で中間橋脚がある場合も橋脚の支承条件:鉛直軸回り(θy)が『自由』の場合は、「橋脚」を支点に荷重がシーソーの様に釣り合った状態となり、両端の分担重量は、同様に左右対称に算定されます。

 鉛直軸回り(θy)の支承条件を『固定』にすると、下部工のねじりが影響してくることになりますので、橋軸直角方向の分担重量も変化します。道路橋示方書(平成29年11月)Ⅴ耐震設計編のP91⑥では、「固定支承や可動支承の鉛直軸周りの拘束条件は支承部を複数の支承部による1つの支承線として考えると一般には固定であると考えられるが、計算の簡便さを考慮して一般には自由とすることができる」と記載されていますので、鉛直軸回り(θy)を『自由』とするモデルに問題があるわけではありません。平成29年以前の道路橋示方書では、単純桁の橋軸直角方向については、1基とそれが支持している上部構造分からなる設計振動単位として、死荷重反力に相当する上部構造重量を考慮する記述がありました。これは、橋軸直角方向の分担重量の特性を考慮したものであると考えます。
 ※上記の傾向は、モデルの条件によりますので全てのケースに該当するものではありません。



(Up&Coming '24 新年号掲載)

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