New Products & Service 水工

開水路の設計・3D配筋 Ver.10

土地改良「水路工」に特化したU型開水路計算・図面作成プログラム

3DA対応
計算・CAD機能
3D配筋対応
電子納品
SXF3.1
IFC
3D PDF

●新規価格

159,500円(税抜 145,000円)

 


●リリース2024年6月28日

Ver.10の改訂内容

Ver.10では、主に次の機能追加や拡張を行いました。


• 側壁任意形状時の多点折れ土圧計算に対応
• 試行くさび法による受働土圧の有効率に対応


以下に、これらの機能の概要を紹介します。

側壁任意形状時の多点折れ土圧計算に対応

側壁の外側が断面変化している場合の多点折れ土圧の算定に対応しました。これにより、複雑な形状の側壁に対しても、より正確な土圧計算が可能となりました。


土地改良「水路工」を含め、従来の一般的な基準や計算例では、土圧作用面が直線のみの計算手法が用いられています。これらの方法は簡便で理解しやすく、通常の条件下では必要十分なものですが、側壁形状が単純な直線ではなく複雑な場合、直線のみの土圧計算では壁全体に作用する土圧を正確に算出できないことがあります。


特に、開水路の形状においては、側壁幅が途中で変化する場合や、側壁傾斜が一定でない場合が考えられます。「開水路の設計・3D配筋」では側壁任意形状の入力に対応しており、これらの複雑な形状の検討も可能です。しかし、これまでの土圧算定は直線の土圧作用面を前提としていました。そのため、側壁外側面が変化している場合でも、直線としての計算しか行えませんでした。

 

図1 側壁任意形状の入力画面

図2 側壁外側の形状変化と直線の土圧作用面


Ver.10では、このような変化した外側面に対しても、多点折れの作用面を考慮した土圧算定が可能となりました。多点折れを使用することで、開水路に作用する土圧の分布をより現実的に反映し、より正確で信頼性の高い設計が実現できます。これにより、複雑な側壁形状を有する開水路の設計において、土圧の評価精度が大幅に向上します。


多点折れ土圧時の土圧作用面形状は、躯体形状の入力条件より自動的に設定されます。仮想背面の入力画面では、「形状に合わせる」ボタンが表示され、通常の場合はこのボタンをクリックすることで躯体外形にあわせた土圧作用面を再設定することも可能です。

 

図3 多点折れ土圧計算モデル

 


また、土圧作用面形状は座標を直接指定することも可能です。これにより、設計者の判断でより最適化したモデルでの計算を行いたいといった場合や、特殊な入力条件等により土圧作用面を自動的に設定することができない場合でも適切な条件での検討が可能です。

 

図4 土圧作用面形状の座標指定

試行くさび法による受働土圧の有効率に対応

試行くさび法による受働土圧の算定において、有効率や仮想地表面高を考慮できるようになりました。


道路土工における通常の擁壁の設計では、前面地盤による滑動抵抗力を無視することがあります。これは、前面地盤が埋め戻された部分であることから、変位が小さい場合には受働土圧が完全に発揮されない可能性があるためです。また、豪雨や人為的な掘り返しにより前面地盤が取り除かれるリスクもあります。このため、受働土圧を考慮する場合には、これらのリスクを踏まえた上で有効率を設定する必要があります。


特に、受働土圧が発揮される地盤変位は主働土圧に比べて大きいため、擁壁工指針では有効率としておおむね0.5を乗じた値を前面地盤の抵抗力として採用する方法が記載されています。「開水路の設計・3D配筋」では、クーロン土圧公式を用いる際に、有効率や仮想地表面高を設定して受働土圧を考慮することが可能です。

 

Ver.10ではこれらの考慮範囲を拡張し、受働土圧の算定式として「試行くさび法」を選択した場合でも適用可能となりました。試行くさび法は、壁下端から発生するすべり面の方向を変化させ、それぞれのすべり面と壁背面に挟まれる土くさびに作用する力の釣り合いから土圧の極大値を求める方法であり、地表面形状や載荷荷重の位置や幅を厳密に評価できるというメリットがあります。

 

図5 受働土圧の仮想地表面


(Up&Coming '24 盛夏号掲載)

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