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 サポートトピックス・CAD/UC-1シリーズ

耐候性大型土のうの設計計算のなぜ?解決フォーラム

全体安定(円弧すべり)の検討について

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UC-1「耐候性大型土のうの設計計算」は、『「耐候性大型土のう積層工法」設計・施工マニュアル 令和5年5月』(以下、マニュアル)に準拠した設計計算を行うプログラムです。本製品では、簡便な操作で全体安定(円弧すべり)の照査を行える機能を備えており、今回はこの全体安定に関する設定や疑問点について説明いたします。

全体安定照査の設定方法

本製品で全体安定照査を実施するには、以下の設定をします。
(1)[初期入力]画面で「全体安定照査を行う」をONにする
(2)[全体安定]画面で基本条件や地形条件の設定を行う
一般的な円弧すべりの検討では、モデル化に全体形状や土質ブロック、荷重の定義などが必要ですが、本製品では簡易な入力条件から計算モデルを内部生成し、容易に全体安定の照査を行うことができます。また、全体安定計算にはUC-1「斜面の安定計算」の解析部を活用しており、同製品の入力データをエクスポートして「斜面の安定計算」でより詳細な検討を実施することが可能です。


図1 [全体安定の検討条件]画面

全体安定の照査はどのような場合に必要か

マニュアルには、「本マニュアルで規定する盛土高5m未満での適用に関しては、一般に安定は確保されているものとして、照査を省くことができる。ただし、5mを超える場合には、裏込め材、盛土材料の強度定数を適切に設定し背面盛土及び基礎地盤を含めた円弧すべりに対する安定性を照査しなければならない」との記載があります。マニュアルの記載に従い、5mを超える場合(耐候性大型土のう袋体の設計寸法は通常1.0m×1.0mのため、土のうが5段積み以上の場合)には安定性の照査が必要です。一方、5m未満の場合でも、前面側や背面側が傾斜していると基礎地盤を含む円弧すべりが生じる可能性が考えられます。本製品では高さによる制限を設けておりませんので、必要に応じて1段から検討可能です。


図2 土留め・護岸型(5段)

図3 円弧すべり検討結果(5段)

基礎後端を通る円弧すべりの検討について

マニュアルには、「斜面上に構造体を設ける場合は、基礎後端を通る支持力的な斜面破壊に加えて基礎を含む斜面破壊を生じることがあり、図4に示すように1.0m以上の水平根入れ長を確保するとともに、支持力的な斜面安定だけでなく基礎地盤全体を含めた総合的な検討を行わなければならない」との記載があります。
本製品では、図中の(1)と(2)を同時に検討可能です。(1)の基礎地盤全体の安定性の検討は必ず実施されます。(2)を実施する際は、[全体安定の検討条件]画面の「基礎後端を通る支持力的な安定性の検討を行う」にチェックを入れてください。


図4 斜面上のすべり面に対する安定性の照査例

図5 円弧すべり検討結果(基礎後端を通る安定性の検討)

(Up&Coming '25 秋の号掲載)

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