WRC 世界一を決める国際的イベントの迫力を観た!
ラリーポルトガルは、国内外からの多くのファンを集める、ポルトガルで最高のモータースポーツイベント。“国”をPRする活動にとっても不可欠で、重要なイベントの一つとして考えられており、今回のラリーポルトガルでは、兵士3,000人、運営を行うスタッフであるマーシャル550人、市民、消防士、PSP(警察官)、ヘリコプター3機など、たくさんの力が動員され、世界に冠たる選手たちと、地元ポルトガル選手が集まり熱戦を繰り広げた。
5月11日(木)本番前、最後の調整が行われるシェイクダウンが、ポルトのパレデス市バルタルではじまった。
スタート地点は粛々と進行
ゴール地点のサーキット場には大勢の観客が待ち構えている。
これってシェイクダウン?
5月13日(土)2台の車両が並んでスタート。同時にスタートするがレーンが分かれているので、スレスレで並走することはない。内回り、外回りのように分かれ、途中は違う場所をそれぞれ走行。ゴール地点では再び並走する形に戻るので、僅差でのフィニッシュの様子がみられる。エッシャーのだまし絵のような、摩訶不思議な仕組み。珍しい直接対決が観戦できるおもしろいステージ。
夕方19時スタートといっても西日が眩しいぐらいの明るさ。
海岸側のマトジニョシュ(Matosinhos)にあるイベント会場EXPONORに設けられたサービスパークは、朝早くから、夜遅くまで賑わっていた。エンジン音の方へ人が流れて行く様子は万国共通。ただただ黙ってメカニックの動きを目で追う。
至福の時を過ごす大人たちの横で、抽選で配布されていたビニールボールでサッカーをはじめた。
お待ちかね。ラリーポルトガルといえばFAFE のジャンプ!
疲労感が否めない最終日。その疲れを忘れさせるのが名物ビックジャンプのFAFE。” The Cathedral of the Rallies in Portugal”「ポルトガルのラリー大聖堂」とも言われており、ファフェに来る観客を「巡礼」と呼ぶこともあるという。はるか遠くの丘から、舞い上がる砂煙がその距離を縮め、音が大きくなる。近づいてくる! “FAFE” と書かれたアーチをくぐった瞬間ラリーカーが思っていた2 倍ぐらいの高さで舞い上がる。一瞬の出来事がスローモーションのように感じられる。“荘厳” だと言っても過言ではない。
ポディウムで伊藤社長が2位HYUNDAI ダニ・ソルド、カンディード・カレラ組にトロフィーを授与
ケータリングサービス付きの観覧席
外の皮はパリッと、中はふっくらしたパンに、シンプルな味付けの煮込み豚肉をはさんだサンド「ビファーナ」。ポルトガル版さつま揚げこと干し鱈の「パタニスカ」や「コロッケ」もサイズを小さくしてくれているので、おつまみにちょうどいい。
優勝選手へのプレゼンターは、憧れのミシェル・ムートン氏。ラリージャパン2022では、安全な運営と管理を確実にするためのサポートをするセーフティデリゲートとして来日。1981 年WRC で優勝した現在唯一の女性ドライバー。今年のジャパンにもきて欲しい‼
シャンパンファイトの合図で紙吹雪が打ち上げられた。選手どこ…。
フライングしてコルクを飛ばしてしまった。ドンマイ
翌朝のラリー記事チェック
帰国の朝、空港の売店にあった新聞8紙を購入。そのうち6紙にラリーの記事を確認。スポーツ紙だけでなく、一般紙にも掲載されていた。地元ポルトガル人選手についての記事あり、全体的なラリー人気の高さがわかる。
ポルトガルの人口は、外務省のデータによると約1,029万人(2021年)で、東京都の人口1,396万人にやや近い。面積は日本の約4分の1。カトリック教徒が圧倒的多数を占める。共和制。主な産業は製造業(機械、衣類、コルク)、観光業などである。ポルトは第2の商業都市。
エンリケ航海王子 大航海時代の始まりを告げる重要人物。15世紀前半のポルトガル国王の王子。
ポルトガルグルメに舌鼓
ポルトガル料理は、地中海料理として、イタリア、モロッコ、スペイン、ポルトガル、ギリシア、キプロス、クロアチアと共同でユネスコ無形文化遺産に登録されている。一つの料理名を指すのではなく、伝統的な料理や食習慣に対して登録されている。
Pastel de Nata
パステル・デ・ナタ
エッグタルト。パイ生地がさっくりした焼きたて派と、しっとり冷めた派で意見が分かれる。
このレストランのデザートは、チーズケーキ、チョコムースなど、6つの瓶の中から選ぶスタイル。ちょっとずつ全部食べたい。
カメノテ初挑戦
カメノテをご存じですか?岩の上にびっしりはりついているアレです。人によってはゾワッとするアレ。実は、知る人ぞ知る珍味で、ポルトガルにきたら是非とも食べてみるようにアドバイスされていた。硬い爪のような部分と、皺々にしたストローの紙袋みたいな部分をねじって皮をはぐと、ひょろっとした身が登場。ぷりっとした食感で、貝柱のような、エビような味。カメノテはフジツボの仲間で、無柄目ミョウガガイ科。日本では北海道西南部以南に生息。お味噌汁や塩ゆでがおすすめ。驚いたことに貝類ではなく、エビやカニと同じ甲殻類。確かに、みんなが無言で次々バラして食べるスタイルは甲殻類っぽい。
参考:倉谷うらら『岩波科学ライブラリー159<生きもの> フジツボ魅惑の足まねき』, 岩波書店,2009.6.24
Dom Luis I Bridge ドン・ルイス1世橋 ポルト中心部と旧市街を結ぶ。1881年に着工、1886年に完成。設計は、エッフェル塔を設計したグスタフ・エッフェルの弟子テオフィロ・セイリグ。下層は車と人、上層はメトロと人が通行できる二層構造。
ポルトから約10キロ南に位置するミラマービーチ。近くにはゴルフコースや、豪華な別荘、邸宅がある静かな町。海岸の岩場にたたずむペドラ礼拝堂(Capela do Senhor da Pedra)。
Igreja do Carmo カルモ教会
ポルトガル最大級のアズレージョの壁
美しい装飾タイル。教会や駅だけでなく、一般家庭の外壁、室内装飾にも用いられている。青い線のタイルが象徴的だが、黄色や緑色を使ったもの、同じ模様のパターンを繰り返し貼るものや、仕上がると大きな一枚の絵になるようなアズレージョもある。
Livraria Lello リブラリア・レリョ
イギリスの新聞「ガーディアン紙」が発表した「世界で最も美しい書店10選」に選ばれた。ハリーポッターの小説の中に登場する“天井まで本がぎっしり積み上げられていた。” 教科書を買う「フローリシュ・アンド・ブロッツ書店」にそっくりだと話題になり、ハリーポッターの聖地としても大人気である。店内に入るためにはバウチャーを購入する必要があり、その金券で書籍が購入できる。ポピュラーな「不思議の国のアリス」や「ロミオとジュリエット」の書籍とセットになったバウチャーもあり、すぐに本を選べなくても大丈夫という、商魂たくましい仕組み。並ばなくても入れる優先入場パスもある。本屋さんでギュウギュウになるというめったにない体験もできる。
引用:J・K ローリング, 松岡佑子訳,『ハリーポッターと賢者の石』静山社 (1999/12/1) ebook
開店前から長蛇の列
(執筆:エンピツ舎 武井佳代)
(Up&Coming '23 盛夏号掲載)
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