|
||||||||||||||||
|
|
VDWCコンテスト参加の背景と学習環境の構築 VDWCに参加するきっかけについて、陳教授は、次のように振り返ります。 「高雄大学の学生が、建築分野において高い潜在能力を持ちながらも十分な自信を得ていないことに気付き、彼らの力を引き出すため、学生を日本の企業であるフォーラムエイト主催のVDWCコンテストに参加させるという、ある意味大胆な計画を提案しました。これには当初なかなか賛同を得られませんでしたが、継続的な働きかけの結果、実現に至りました。」 VDWC参加に際して学校側からの大きな支援を獲得したことで、学生のVR開発ニーズをサポートする専用の高性能コンピュータ教室が設立されました。この教室は学生がVRテクノロジーを学ぶ中核的な場所となり、最大30名の学生がAVRプログラムの制作を同時に行うことができるものです。 この投資は、単にハードウェアというだけでなく、学生の将来を約束するものでもあります。先進的なハードウェア機器の存在以上に、学生にとって重要なのは、良好な学習環境と、積極的な学習を促すキャンパスの雰囲気を作り出すことだと、陳教授は考えています。 高雄大学建築学部がVDWCに参加する際には、教師たちの熱意と校長の全面的な協力が差し出されます。校長はコンテストの進展に注意を払い、参加学生のグループとプロジェクトの進捗に大きな関心を寄せています。 このようなサポートと関心が、学生が熱心に取り組むことのできる環境の醸成に役立っています。
過去のVDWCでのエピソード 陳教授は、これまでで印象に残ったVDWCの年度として2019年を挙げます。 この年は優勝はできなかったものの、非常に特別なチームでした。メンバーの中には地方から参加した者もおり、中でもある一人の学生のエピソードが印象的でした。彼は大学1年次にコンテストに参加することを決意しましたが、彼の母親はそれに対して消極的でした。しかし、学校による説得と、その全面的なサポートがあることを知り、最終的には参加に同意してくれました。彼はトレーニングにも積極的に参加し、一連の試練を経て、チームは決勝へと進出することができました。 「彼のエピソードは、夢を持っている限りそれは実現する可能性があることを示しています。私たち教育者の使命は学生が夢を実現するのを手助けすることです」と教授は語ります。 また、コンテストは技術競争だけでなく、チームワークの大切さを学んだり、問題解決能力の向上も含むものであると述べ、こういった経験が、学生の成長に不可欠であると指摘しました。 陳教授は、台湾が2〜3年前に設立した台湾デジタルツイン学会に言及し、これが台湾の産業界と学界の先進的なプラットフォームであり、産学協力を促進することを目的としていることに触れました。同氏は学会の理事長として、テクノロジーと高等教育を結びつけ、台湾のテクノロジー発展に新たな力を提供することを目指しています。彼らはXR SCHOOLと協力し、デジタルツイン技術の応用を推進するために様々な活動を推進しており、これにはXR School、セミナー、および教育視察イベントも含まれています。 台湾のデジタルツイン、AI、およびメタバース技術の展望 また、陳教授は最近、AppleがVision Proというデバイスを発表したことに触れました。同氏はこのデバイスへの投資がハードウェアだけでなく、コンテンツの制作にも多くの機会をもたらすであろうと考えています。台湾デジタルツイン学会は、産業界と政府を結びつける共通の基盤を築いており、コミュニケーションおよび相互の協力・利益を促進しています。 さらに、台湾市場の課題について言及する際、台湾が優れた技術研究者と政府の多大な支援を有していることを指摘し、台湾が世界のテクノロジー分野で競争力を保持している理由を強調しました。迅速なリアクション能力と世界のトレンドへの感受性が、台湾がデジタルツインやAIなどの新興技術にいちはやく適応できる理由だと述べ、台湾は革新と発展の潜在能力を十分に持っていると述べます。 校長も、技術の価値は必ず実現できるものでなければならないとし、AIの画像認識を活用してサッカー選手のパフォーマンスを向上させるプロジェクトを紹介しました。AIとデジタルツイン技術を組み合わせたアプリケーションが台湾にビジネスチャンスをもたらし、世界中で普及することを期待しています。さらに、同氏は他の国や学校にこのモデルを拡張しようとしているプロジェクトについても触れました。 「台湾はデジタルツイン、AI、メタバース技術の応用を積極的に探求し、これらの技術を異なる分野に効果的に活用しようとしており、国際的な協力関係を築くために努力しています。これらのことから、台湾は科学技術革命の鍵となる時期にあることが示され、持続的な成長と発展をとげるでしょう」(陳校長) 最後に、校長は学校の将来の展望について強調し、学校がXRプログラムの発展を続け、学生に学びを実践する機会を提供するために産業界と積極的に協力し続けるという意向を表明しました。 また、学生の職業的な発展にとって産業界との連携が不可欠であり、この分野での学校の未来へのコミットメントを示しました。
|
執筆:池野隆 (Up&Coming '23 秋の号掲載) |
|
||||||
|
LOADING