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【参照サイト】 ☆追伸:江戸時代の難所薩埵峠は、現代にあってはハイキングコースに様変わりする。陸海山の長閑な景色と東西交通のダイナミズムを堪能することができる。 |
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日本最北端の地、北海道稚内。そこには、当地の繁栄を支えた稚内-樺太大泊間稚泊航路(ちはくこうろ)の歴史を語る巨大な建造物北防波堤ドームが現存する。稚内港の築港計画は大正期に始まるが、このドームは、昭和11年(1936年)航路の港湾施設として誕生した。 現在、コンクリート製の半アーチ式ドームは80余年の星霜を重ねたが、原型保存と補修/補強により、防波堤として現役を貫いている[Photo1], [Photo2]。平成期に入り、北海道遺産および土木学会選奨土木遺産に選定されている。 当時26歳の北海道庁の技師土谷実が設計した堅牢瀟洒なドームは、古代ローマの柱回廊、重厚なゴシック建築など様々な麗句にて紹介されている。70本のエンタシス柱に支えられた427mに及ぶ直線回廊は当初乗降客用の通路であったが、[Photo2]を見て頂きたい、極寒の地に静謐な内空間を創出していることも付記したい。 なぜこのような設計を敢行したのか。俊英土谷技師の設計意図が、いくつかのWEB サイトにて紐解かれている。
戦前の誕生から、昭和・平成・令和にわたる港湾建造物のクロニクル(年代譜)として、次世代に伝えたい土木の物語である。そして、原型保存に携わった多くの方々にも感謝したい。 |
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それは、2014年3月16日の出来事であった。世界を周遊する豪華客船クイーン・エリザベス号が横浜ベイブリッジの中央支間直下を通過して[Photo1]、初めて横浜港に入港した。
次の掲載写真[Photo2]をよく見ていただきたい。豪華客船が干潮時を狙い、ベイブリッジの直下をぎりぎりでくぐり抜けている。横浜港周辺には多くの人たちが集まり、この歴史的瞬間に固唾をのんで見守った。当時のThe PAGE (Yahoo!ニュース)の記事によれば、クイーン・エリザベス号の高さは56.6m。これに対して横浜ベイブリッジの高さが55mで、潮位が下がる時間に合わせ、橋梁すれすれで通過したとのこと。 多くのメディアの関心は、主役としてのクイーン・エリザベス号に向けられていたが、土木技術者としては、横浜港に四半世紀鎮座するベイブリッジが、数千人のお客様を丁重に出迎え、そして安全に見送ったと考えたい。
もう一度この写真をよく見ていただきたい。傑出したエンジニアリングの両雄が、“動と静に分かれて邂逅”した瞬間であり、何か言葉を交わしているようにも見える[Photo3]。造船工学と橋梁工学の異なるエンジニアリングの傑作が、堅牢瀟洒な建造物を称え合い、そして長きにわたる安全な運用を誓っているのではないか。 豪華客船を見送った横浜ベイブリッジは、いつもと同じように夥しい交通量をさばき、港湾物流を担う“日常業務”におさおさ怠りない。 【参考資料】 Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/f6e35864be797213ce759d675d66e86a5329169f |
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(Up&Coming '21 新年号掲載) |
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