新たなフェーズの日米連携への期待、これからの交通やインフラ整備とDXの可能性(後編)
前自由民主党副総裁・高村正彦さんの特別顧問就任を機に、フォーラムエイトでは氏への連続インタビューを実施。「Up&Coming」2020年秋の号(131号)から「高村正彦の政治外交講座」を連載中です。一方、近年は連日のように当社CMに登場、毎年秋に開催するデザインフェスティバルではプレゼンターも務めるなど、すっかりフォーラムエイトの顔として浸透してきているパックン。今回この、当社と関わりが深く、かつ日米間の外交や両国社会の機微に通じたお二人が対談。そこから紡ぎ出されたお話を「Up&Coming」で前・後編2回に分けてご紹介します。
前回(「Up&Coming」134号)に続き本135号では対談の後編として、日本の外交力と世界への影響、主な外交課題と外交力の行使、海外インフラ整備支援に向けた日本のアプローチ、日本の「働く文化」と生産性の制約、バーチャルとリアルの関係性、これからの公共事業とDX(デジタル・トランスフォーメーション)の可能性などへの展開を再現します。
<対談・前編では、お二人のこれまでの互いに対する印象から意外な共通気質、ともに新体制となった日米両国の前・現政権への見方、両国の前政権時代を通じ紡がれてきた日米の特別な関係について言及しました。特にその終盤では、高村さんが安倍前首相のトランプ前大統領に対する「君子の外交」を評価。その際、外交関係を「万有引力」にたとえ、互いに引っ張り合いながら、大きいものの方が小さいものへの影響力が強いと位置づけ。そのような中、日米両国は単に首脳同士の仲が良かっただけでなく、日本は大きな米国に対しても過度に流されず、それなりに独自路線を歩んできた、― との観点からお二人の見解が交わされています>
知られざる日本の外交力
パックン 高村先生は「外交関係」を「万有引力」のようなものとおっしゃったのですが、日本の引力は米国以外の各国に対してはどれくらいのものだとお考えですか?
高村 例えば、これからの日米同盟をさらに堅固にしていかなければならないという時、日本にどういう武器があるのかというと、過去にASEAN(東南アジア諸国連合)の国々に対して陰徳を積んできているのです。だからASEANの国々は日本に良い感情を持っていますよ。
パックン はい、豪シンクタンクのローウィ―研究所(Lowy Institute)が最近発表したアジアパワー指数(Asia Power Index)によると、パワーランキングでは米国、中国、日本の順なのに、アジアにおける外交力(「外交面での影響力」)では日本が1位の中国と僅差の2位に挙がっていましたね。
高村 (前編の)冒頭でちょっと触れていただいた小渕内閣時代でもアジアでいろいろな問題があったのです。インドネシアやカンボジア、ミャンマーの話とか。で、大きな国際会議のある前には米国政府の人が日本に来て、米国だけ孤立するようなことは避けたいから日本と事前によく打合せをしたいんだと。だけど、そのような時代ですら日本国内では「日本が米国追随じゃないか」と思われがちでした。
パックン 日本の引力は、米国に合わせるだけでなくて独自の(路線も有し)、米国がそういうことを相談しに来るぐらい力を持っていると?
高村 ちゃんと力を持っているということをプロ(専門家)は分かっていた。アマチュアは知らないのです。
英BBCが以前、世界に対して良い影響を与えている国を問う大掛かりな国際世論調査を行っていて、日本がだいたい3番目か4番目。1番の時もありました。日本のテレビなどでは「日本には理念がないから世界中から嫌われている・馬鹿にされている」とよく言われるのですけれど。
パックン 日本のテレビでは、はい。僕もそれ、いつも異議を唱えているんです。
高村 だけどね、BBCが大掛かりな調査をやって、日本は(世界に良い影響を与えている国として)世界の1番~5番目に入るんですよ。
パックン うん、日本は好かれています。
高村 好かれている。で、日本は世界に貢献しているんですよ。
文明批評や編集者などとして知られた山本夏彦さんが50年ほど前、(羽田闘争での学生の死をめぐって)「『論より証拠』というけれど『証拠より論』だ」と述べています。BBCがいろいろな国の多くの人に対して行った調査は、「証拠」ですよね。だけど、多数の人が示し合わせて論陣を張れば、例えば、テレビのコメンテーターたちの論を見ると、証拠なんて吹っ飛ばされてしまうのです。
パックン その通りです。例えば、湾岸戦争(1990年にイラクのクウェート侵攻を機に始まり、国連安全保障理事会の決議を受けて組織された米国を中心とする多国籍軍とイラクが交戦。翌1991年に停戦)の時、「お金だけ出して血を流さなかった日本は世界各国から批判を浴びた」みたいなことがよく言われましたけれど、僕はそんなことないと思います。実際にはクウェートは日本にお礼を言っているし、「3.11(東日本大震災)」の時にはお返しもしています。
高村 そうですよ。それはね、日本のお金だけじゃない貢献を進めるために、私は「湾岸戦争のトラウマ」と言って、それを利用した面はあります。けれど、実態はおっしゃる通りなんです。プロはね、みんな分かっているんです。お金がどれだけ役に立つか、というのは。
パックン 利用されたのも覚えています。これは良いことを聞きました。というか、ドイツも湾岸戦争では日本と同じ立場だったんです。でも、だれもドイツが悪いとか言っていない。日本も悪くないんです。褒めて良いところか分からないですけれど、間違いなくうまく利用されていると思います。
外交課題と外交力の行使
パックン では、日本の外交力は舐めたもんじゃないと?
高村 舐めたもんじゃないですよ。例えば、一時的に中国が物量によってASEANの中の外交力で日本を追い越したように見えた時もあるけれど、今はそんなこともなくなっていますから。
パックン 間違いなく日本はその外交力を保っているし、安倍政権の時にあれだけ海外を歴訪して、さらに外交力をアップしていると思います。それをこの先、どう使うべきとお考えですか?
高村 それは、「日本の宝」は使わなきゃいけません。
パックン 「日本の宝」というのは?
高村 その外交力というか、陰徳です。昔、世界で貧しい国々と言えばアフリカとアジアでした。アフリカで新しい国がどんどん独立して光が当たると、「アジアはダメだ」といったアジア・ペシミズムのような議論がありました。それ、完全に変えましたよね。日本だけが(それを)変えたとは言わないけれど、日本の努力の部分はかなり(重要)になっているわけです。
パックン オバマ政権中にはアジアに軸足を置くという「ピボット政策(リバランス政策)」もありました。結局、向こう(中東や欧州などの課題対応)で忙しくなって(当初掲げた方針通りには)出来なかったようなんですけれど。
高村 ちょっと遅かったですよね、ピボット政策が。もう少し早く気づいてもらえれば良かった。けれど、トランプ大統領になって急にアジアに来たわけではなく、オバマ大統領の時に既にアジア回帰をしようとしていて、(トランプは)それを継承しているんですよね。
パックン 日本のメディアでこうした外交問題が取り上げられる時、中国をけん制する前提で話すことが多いです。先生は日中友好議員連盟の会長を長く務められた立場もあり、そのあたりどう思われますか?
高村 これからの世界の最大の外交課題は、米国と中国の覇権争いです。その中でハルマゲドンのような究極的な対立になった場合、日本がどちらに付くべきかと言えば、米国に決まっています。それは、形式的に同盟国だからというだけではなく、自由と民主主義、基本的人権、法の支配とか、トランプさんのやってきたことが皆それらに合致しているかどうかは別にして、日本と米国はそういう価値観が一致する国だからです。
ただし、そういう究極の対決にならないようにするのが日本をはじめ米国、中国、更には世界の利益なのです。
パックン そこですよね。ハルマゲドンは一番分かりやすい。そこまで行ったら米国に寄るしかないのですけれど、(そうならないための)日ごろの中国へのけん制というか。
高村 例えば、中国政府の人と話をする時も、「究極の時になったら日本は米国に付くしかない」ということを普段から言いつつ、「ではこの経済問題をどうしましょうか」とか、いうことをやっていくわけでしょう。
パックン 人権問題に関連して(様々な議論がある中)、われわれ人権保護主義側の国々はそこでどう接すれば良いですか?
高村 どうするかって、「国家主権は全部、無視しろ」とか「国家主権があるから、人権について何も言ってはいけない」とか、どっちも間違いです。
パックン どっちも極端過ぎますよね。
高村 以前、コソボ紛争(1998年にコソボ独立を求めるアルバニア系住民と旧ユーゴスラビアのセルビア共和国との間の戦闘が激化。1999年に北大西洋条約機構(NATO)軍が空爆など軍事介入)というのがありました。NATO軍が空爆を行った際、当時のオルブライト国務長官(クリントン政権)から私に電話がかかってきたんです。「マサ、支持してくれて有り難う」と。私は記者会見で「(空爆を)理解する」と言ったんです。電話でお互いに「支持してくれて有り難う」「理解します」と5回ぐらい繰り返しました。
パックン わぉ、「理解」=「支持」かどうかという微妙なニュアンスの違いですね。これが外交ですよね。
高村 あの頃も「ジェノサイド(集団殺害)的なこと・民族浄化的なことが行われている」と言われました。それで当時、(生命の危機に曝されている人々を)保護する責任とか、人道的介入とかというのは国際法上形成過程の概念で、国境を越えてそういうことをして良いのかどうか、という争いがありました。で、いまだに私は、それが確立したということは知りません。
パックン 確かに国連安保理の常任理事国が拒否権を持っている以上、それは成立しないですね。
高村 国際法上のそうした判断が確立しない段階で(欧米を中心とする人権問題などへ積極的に関与しようという動きがある中)どうすれば良いか。日本はそういった問題に対して直接介入することは出来ません。しかし、だからと言って黙っているわけにもいかない。
パックン 本当の武器以外の「武器」をどう行使するか、例えば、経済力を掛けるのか、国際世論に働き掛けるのか。
高村 「どういうふうに言うのか」「どの程度言うのか」ということはね、なかなか簡単な話ではないですよ。
海外インフラ整備支援に向けた日本のアプローチ
パックン 日本の外交力の一つは、世界の経済発展を支援することだと思います。例えば、アジア各国のインフラ整備などへの協力も外交上の意味は大きいですか?
高村 それは大きいです。ただ、かつて、インフラ整備に対する円借款(ODA(政府開発援助)の一環で、開発途上国への長期・低金利の資金貸し付けを通じた支援)は、国内では数を頼んで論陣を張る人たちに(その意義を論理的に示す)「証拠」が吹っ飛んでしまうような扱いを長く受けたのです。で、円借款でインフラ整備をすると、円借款を受けた側の国民からも最初はあまり理解されないんです。
パックン もっと分かりやすい形でやればと思われます。実は僕、東京工業大学で「外国から見た日本」といった国際関係理論などを教えているのです。そこで使う画像があって、東南アジアのある都市に川を跨ぐ2つの橋梁が並んで設置されており、片方は先に日本が、もう片方は後から中国が建設したものです。前者の欄干には「日本の援助によって造られた」旨を記した小さな銘板がはめられているのに対し、後者については中国によって建設されたことを記す大きな石碑が2つの橋梁のほぼ中央に建立されているのです。それは目立っているだけではなく、両方の橋があたかも中国によって建設されたようなイメージになっている。うまいなあ、と思いました。
高村 そういうのは一過性じゃないですからね。長年経つと「そうなんだ」となってくるかも知れない。
パックン やはり、それ、円借款とか、分かりづらい形でない方が外交力は上がるのでは、と思いました。
高村 それは、分かりやすくした方が良いに決まっています。特に相手の人々に分かって戴けるようにね。だけどよく言われたのは、欧米の援助はどちらかというと「困っている人たちにパン、あるいは魚をあげる」と。それに対し日本の円借款主体の援助は「釣り方を教える」と。要するに、釣り方を教えれば釣り方を覚え、一生懸命に釣る人が出てきて(その恩恵は)社会全体に回るようになる。だからそれは、アジアがアフリカや中南米よりも早く貧困から脱することが出来た一因にもなっていると思います。もちろん、それだけではありませんけれど。
パックン では、その「釣り方を教える」形のインフラ整備など、今までの外交政策の延長線上を今後も走っていけば良いと?
高村 必ずしもそうではないです。政府援助よりも民間の動かすお金の方が圧倒的に大きいこともあり、「ODAはもういいから、民間企業を連れてきて」という話が援助を受ける側から何年も前から出てきています。だけど日本の場合、ODAが先に出てそれを利用して企業が出ていくという楽な方程式が出来てしまっているため、そこ(ニーズ)にどう繋げていくかというところがあります。
パックン 巨大な市場が待っているのにもったいないですね。特に僕は地球温暖化による気象現象の激化が世界中のインフラの劣化を促し、道路をはじめ電気や水道、ガスなど一昔前のインフラはもう環境に適さなくなってきていると思うんです。日本はそうした分野で様々な優れた関連技術を有しているため、大きなビジネスチャンスになるはずです。
日本の「働く文化」と生産性の制約
高村 うーん、日本はなかなか生産性が上がらないんですよね。
パックン それは働き方の問題ですか?
高村 私がよく言っているんだけど、日本には「道の文化」というのがありまして、「三方よし」で知られる近江商人の商人道とか。それで日本がなぜ、キリスト教国以外のアジア諸国の中で一番先に資本主義が成功したのか、知っています?
パックン 分からないです。(「日本の資本主義の父」とも称された)渋沢栄一さんのお陰ですか?
高村 渋沢栄一さんのお陰もあるけれど、渋沢さんには(資本主義の内包する負の側面とそれを踏まえた氏の信念などを説く)「論語と算盤」という著作がありますよね。
一方、日本には昔から「働く文化」というのがあったのです。「働く」って「傍を楽にする」という考え方です。
パックン この話は、緊急事態宣言が解除されて次に会食に行ったら、絶対使います。面白いですね。
高村 江戸時代の初期にはそういう思想があったのです。「働くのは傍を楽にすることで、儲けは働きのカスに過ぎない」と。これが日本社会に良い影響と悪い影響を与えているんです。良い影響は、経済格差が近年は大きくなったと言われますが、アングロサクソンの国々、中国等に比べれば甚だ少ない。
パックン はい、日本は比較的、中間層の分厚い国です。
高村 なぜキリスト教国に資本主義が生まれたかというと、働くということが「勤倹貯蓄」に通じ、その考え方が「神の御旨」に適っていたからです。マックス・ウェーバーは100年以上前、キリスト教国の「神の御旨に適う」という部分がないまま資本主義をやろうとしたら市場は賭博場と化す、と。だから「キリスト教国以外では資本主義は発達しない」といった説もあったんです。
ではなぜ、日本に資本主義が発達したのかというと、江戸時代初期から(僧侶で作家の)鈴木正三のような学者がいて、彼らがキリスト教国の「神の御旨」の考え方に代替する「傍を楽にすることで、利潤は働きのカスに過ぎない」という考え方を説き、独自の「労働の文化」が醸成。それで日本に資本主義が根付いた半面、生産性がなかなか上がらないという面ももたらしている、と私は言っているんです。
バーチャルがリアルに奉仕
パックン 日本は生産性よりも社員を大事にしている、と思うんです。僕は1970年生まれですけれど、80年代以降の米国の経済社会を見ると、生産性アップに繋げるため新しい技術や組織スタイルが生まれてくると、不要になった人をすぐにリストラしてしまう。そうして生産性を徹底することにより利潤が生まれ、米国の一部の人だけが潤う。特に米共和党のフレーミング(モノの見方を誘導する)術で成功しているのは「お金持ち=雇用創出者」と考え、「お金を一部の人に集中させた方が結局は社会に回る」というものです。また、(減税を正当化するため用いられる)ラッファー・カーブという馬鹿げた経済学がレーガン時代から何故か浸透してくるようになり、「一部の人の金儲けはみんなのために良いことだ」という考え方に繋がっています。
僕は、金儲けは良いと思っているんですよ。ただ、集中し過ぎると経済の足を引っ張ることもあるし、そもそも削られた人たちが悪いわけではない。だから、リストラされた人たちが再び潤うようにすれば、さらに経済は回るし、分断・分裂が生じることもないでしょう。
日本のこの分厚い中間層を守りながら、もっと生産性を上げる方法はないんですかね?
高村 それを今、求めているんですよ。それは「バーチャルで学べば良いんだ」ということで。
パックン おぉ、フォーラムエイトに繋げましたね。先生、そんな切り札を持っていましたか? さすが、ただ者じゃないですね。でも、おっしゃる通りです。
高村 だからね、国民生活を豊かにするのはリアルなんですよ。要するに、生産性を高めるためにDXとかVRというのを使えば良いんだ、と私は思っているんです。
パックン そうなんですよね。それで潤えば、リアルが豊かになると。
高村 だからリアルを豊かにしないと、どんなにDXに力を入れてもお腹は膨れません。
パックン VRでおいしいものを食べても全然お腹膨れませんものね。でも、リモート中はリアル会食を避けていただきたいので、バーチャル会食で良いんですけれど。
僕はこのコロナ禍で、何から満足を得るのか、喜びを得るのかがはっきり見えてきたと思うんです。今日も直接お会いし、こういうお話が出来たのはどんなに幸せかって、コロナ禍だからこそ確認できました。「バーチャルがリアルの心を豊かにする」というのは、名言ですね。
高村 バーチャルはリアルに奉仕するものなんです。金融は産業に奉仕するべきものだったのが、産業を支配しちゃったのが間違いの元なんです。
パックン 済みません、米国金融界のことを言っているんでしょう。間違いないと思います。バーチャルが支配者になっちゃダメですね。
高村 だからDXとかバーチャルは、やはりリアルに奉仕して、そこの生産性を上げると。それが国民生活を豊かにすることだと思います。
これからの公共事業とDXの可能性
高村 公共事業の予算が益々厳しくなる中、産業基盤の拡充や国土強靭化のためにもやらなければいけないことはいくらでもある。だからこそ、そこでDXやバーチャルにより生産性をどう上げるかが勝負でしょうね。
10年以上前に公共事業を削れという議論がありました。欧米と比べても日本の公共事業費が多過ぎると。当たり前です、自然災害など国土を取り巻く条件が違うし、国土強靭化のためにも必要なんです。
パックン インフラ整備も、DXなどの開発もそうなんですけれど、これは掛け捨てではなく、投資なんですよね。投資した分、後に皆さんが社会的な支えが必要になる時、潤いが来る。だから先行投資なんです。
高村 そうそう。ただ問題は、前に投資した分が今、老朽化の時代に入っているんです。それを直す費用がべらぼうにかかるわけです。で、新しく造る分がものすごく削られる。これからはそういう世の中だからこそ、DXやバーチャルで生産性を上げなきゃいけない。
パックン その通りです。それこそ予算削減にはもってこいですよね。一回バーチャルで再現してからプロジェクトを進める、と。
高村 そうそう。バーチャルで学べば良いんですよ。テレビでそう言ってましたよ(笑)。
パックン はい、あ、僕が? ああ、言ってます。僕、何度も口にしています、「バーチャルで学べば良い」。
―お二人の、お互いに対する印象はどう変わりましたか?
高村 私は最初から好印象だから、実際に会って話すと悪い印象に変わることも多いんだけれど、変わらなかった(笑)。
パックン 今まで先生の会ってきた人がこれ読んで、どういう気持ちなんでしょうね、「あ、俺のこと言ってんだ」って絶対思いますよね。
いつもテレビで見て「政界の中心柱」と思っていた先生がすごく身近に感じられるようになり、振り子的な傾向やチャンネルサーフィングといった共通点が多いことも分かりました。今日の対談で一番嬉しかったのは、本音の話を伺えたことです。こんなに正直な「元政治家」もいらっしゃるんだと。有り難うございました。
(執筆:池野 隆)
3月1日 フォーラムエイト東京本社にて収録
*対談前編は、「Up&Coming」134号(7月1日号)に掲載されています。
高村正彦氏プロフィール
自由民主党副総裁/弁護士。1942年生まれ。山口県出身。中央大学法学部を卒業後、1968年に弁護士登録。1980年の衆議院選挙で初当選し、経済企画庁長官や外務大臣、法務大臣、防衛大臣などの要職を歴任。平和安全法制や憲法改正などの党内議論を主導した政策通としても知られる。2012年に自民党副総裁に就任し、2018年に退任するまでの通算在職日数は歴代1位を誇る。現在は自民党憲法改正推進本部最高顧問など。
パックン プロフィール
本名 パトリック・ハーラン : Patrick Harlan
タレント/東京工業大学非常勤講師。1970年生まれ。米国コロラド州出身。ハーバード大学比較宗教学部を卒業後、来日。福井県での英会話講師やアマチュア劇団の活動を経て上京。1997年に吉田眞(マックン)とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成し、芸能界デビュー。以来、漫才をはじめとする広範なエンターテインメントやジャーナリズム、アカデミアの分野で活躍中。
(Up&Coming '21 秋の号掲載)
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