機能性頭痛と症候性頭痛
頭痛(headache、cephalalgia)は頭部の一部あるいは全体の痛みの総称です。後頭部と首(後頸部)の境界、眼の奥の痛みも頭痛です。頭痛は症状のことで、慢性的に頭痛発作を繰り返す場合は病名である「頭痛症」を用います。
頭痛はおもに機能性頭痛(一次性頭痛)と症候性頭痛(二次性頭痛)に分類されます。図1に頭痛の分類を示しています。 締めつけるような痛み、鈍い痛み、拍動するような痛みなど、痛みの性状や強さ、こめかみ、眼の奥、首の近く、片側などの部位、朝起きてから寝るまで痛みが続く、月経前に起こる、週末に定期的に起こるなどの頻度や持続時などの特徴があります。また原因なども違ってきます。機能性頭痛は、慢性的な頭痛や習慣的に繰り返す頭痛ですが、片頭痛:一側性の拍動性の頭痛、悪心、嘔吐、羞明、音響恐怖伴う。群発頭痛:一側性の側頭部痛、自律神経症状(夜同側の鼻閉と充血など)をともなう。緊張型頭痛:ストレスと関係、強弱のある両側性の頭部鈍痛があります。頻度的に多いのは片頭痛や緊張型頭痛で、たいていの場合同じような症状を繰り返しています。図2に機能性頭痛の特徴をあげています。
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図1 |
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図2 |
一方、症候性頭痛は脳腫瘍、頭蓋内出血、髄膜炎、側頭動脈炎、うつ病や副鼻腔炎、薬剤性による頭痛です。これらの頭痛は生命にかかわることもあり、頭痛の診察で最初に行うのは二次性頭痛の中で生命にかかわる頭痛であるかを見分けることが大切となります。「吐き気」や「おう吐」などがひどかったり、ろれつが回らない、茶碗を落とすなどいつもと違っている。またけいれんなどが起こると二次性頭痛が考えられます。突然にいままで経験したことのない人生最悪の頭痛も要注意です。血圧が高い人が強い頭痛を感じた場合、血圧が極度に上がっている可能性があります。頭痛のレッドフラッグサインを図3に示します。このようなサインがみられたらすぐに受診して画像検査や髄液検査が必要となります。精神症状のなかでもうつ病の身体化として頭痛は見逃されやすい特徴があります。その他貧血や低酸素血症、睡眠時無呼吸症候群、低血糖などでも頭痛がおこります。
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図3 |
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