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「めまい」もいろいろ
急に朝起きたら天井が回るようなめまいを経験したことはありませんか。突然のことでびっくりして、どうしたらいいのか不安になります。「めまい」は症状であり、疾患名ではありません。めまいといってもいろいろなめまいがあり、脳血管障害と関係して命にかかわるものから、内科を受診しても原因がわからず不定愁訴として診断されることもよくあります。めまいは約25%の人が一生のうちで1度は経験する症状です。今回はめまいをとりあげてみます。
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めまいの分類
めまいを引き起こす原因疾患は、中枢性から末梢性、循環器疾患など多岐にわたります。めまいの症状は変動し、診察時にはすでに客観的な病的所見が消失しているなど、正確な診断が困難な場合もよくみられます。めまいは症状から簡単に分類すると、回転性めまい、動揺性めまい、失神前めまいの3つになります。
vertigo(回転性めまい)はぐるぐるまわる、「景色が流れる」などのめまいです。
dizziness(動揺性めまい)はふらふら、ふわふわ、体がふらつく(dysequilibrium)、頭がふらつく(light-headedness)めまいです。失神前めまい(presyncope)は気が遠くなる、意識を失いそうになる、風呂あがりに気が遠くなる感じ、血の気が引くめまいです。
このようなめまいの分類から可能性のある疾患として、vertigo(回転性めまい)では中枢性(脳血管障害、脳腫瘍など)や末梢性(良性発作性頭位めまい症、メニエル病など)があります。またdizziness(動揺性めまい)は中枢性も末梢性もあり、血管系とどれも可能性があります。そして失神前めまい(presyncope)では出血、心血管系、血管迷走神経系が考えられます。下図にめまいをきたす疾患をあげています。最も多い良性発作性頭位めまい症は全体の約40%になります。60歳以上ではめまいの約70%にあたります。そのほか、耳の内リンパ水腫が原因のメニエール病、前庭神経炎、耳の循環障害やウイルス感染による突発性難聴などもあります。
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内科外来マニュアルより引用 |
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良性発作性頭位めまい症
(benign paroxysmal positional vertigo: BPPV)
特定の頭位をとると、回転性(時にに動揺性)めまいが起こります。起床・就寝時、棚の上の物を取る上向き、または洗髪のような下向き頭位、寝返りなどで誘発されます。耳鳴りや難聴はありません。「朝ベットから起き上がるときのめまい」「寝返りでもめまいがする」「じっとしているとめまいは1分ぐらいでおさまるが、頭を動かすとめまいが再発する」など、日常の動作によってめまいがおこり、症状が週単位で持続することから不安をともないます。BPPVの病因は半規管内(またはクプラ)の耳石(デブリ)であるとの考えから、頭部の運動により耳石を半規管内から卵形嚢へ移動させることを想定した頭位治療が行われています。またBPPV
は自然治癒例が少なくなく、抗めまい薬、抗不安薬、血管拡張薬などめまいに対する対処療法と頭位治療が主な治療で、予後は良好です。
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中枢性を疑うとき
生命に関わるめまいとして中枢性を疑うときのポイントです。脳血管の障害と脳腫瘍によるめまいです。このようなときには脳神経内科や神経内科を受診して脳の画像検査(CT/MRI)が必要です。
- 突然発症
- 脳血管障害の危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙)
- 頭痛、頸部・後頭部痛
- 構音障害、嚥下障害、複視、半身のしびれ、脱力
- 顔、口の周りのしびれ
- (片側にだけに)倒れそうになる
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dizziness(動揺性のめまい)にも注意
ふらふら、ふわふわ、体がふらつくなどの症状は感染症や全身状態が悪いことから起こっていることもあります。血圧の変動、起立性低血圧や不整脈、例えば房室ブロックや心房細動でもおこります。さらに低血糖や鉄欠乏性貧血なども考える必要があります。女性では更年期障害や月経前症候群、月経困難症に伴うめまいが増えています。また飲んでいる薬、特に降圧剤によって血圧が下がりすぎていたり、抗不安薬や抗うつ薬などの精神科から出されている薬の作用も見逃せません。
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不定愁訴としてのめまい
不定愁訴に多い症状としてはめまいがあります。めまいの原因となる疾患はわからないときに不定愁訴としてなります。過度なストレスと筋肉の緊張からだといわれています。ふらふら、ふわふわ、体がふらつくなどのめまいの他に、不眠や頭痛、動悸、肩こりなど自律神経が乱れた症状を伴うことが多く、自律神経失調症と診断されることもあります。
いろいろなめまいがあり、その背後にどんな疾患があるのか知っていること、早めの対応が大切ではないでしょうか。日ごろからストレス低減させる生活も心がけましょう。
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