|
||||||||||
|
||||||||||
建設ITジャーナリスト家入龍太氏が参加するFORUM8体験セミナーのレポート。新製品をはじめ、各種UC-1技術セミナーについてご紹介します。 |
||||||||||
製品概要・特長 デジタル田園都市構想のプラットフォームとしての活用が期待されるソリューションの筆頭格となるのが、3DリアルタイムVRシステム「UC-win/Road」です。 地形や道路、街並みなどの土木・建築インフラをスピーディーに3DのVRとして表現できるだけでなく、車や人など街中を動くもの、さらには雨や雪などの気象現象や土石流や洪水といった自然災害まで、現実のまちを丸ごと再現できるプラットフォームだからです。
さらには実際にハンドルや座席を備えた様々なドライブシミュレーター装置や、自動運転システム、ヘッドマウントディスプレーやAR(拡張現実)システムと連携することで、運転者や歩行者の視点で、事故などの危険を安全に繰り返し体験することもできます。
API(Application Programming Interface)や、プログラミング言語「C++」によるカスタマイズ機能が充実しているため、他のソフトやシステムと連携できます。また都市モデル自体も4Dシミュレーションによって施工手順を表現したり、工程表と連携したりできます。 データ交換の点ではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)でのデータ交換に使われる「IFC形式」のほか、「CityGML」にも対応しているため、国土交通省が開発・公開している3D都市モデル「PLATEAU」などの都市モデルを取り込むこともできます。 UC-win/Roadで作成したデジタルツインを、WEB上で多くの人が利用できるようにしたシステムが「F8VPS」(WebVRプラットフォーム)です。オフィスや学校、工場、ショールームなどを3Dでバーチャル化し、パソコンやスマートフォンなどのブラウザー上で使えます。 茨城県つくば市にある国土交通省の国土技術政策総合研究所(国総研)をVR化した「VR国総研」は、F8VPSによって作られ、WEB上で一般公開されています。研究所内の研究棟やi-Construction関係の実証実験などを行う建設DXフィールド、そして研究所全体にまたがるテストコースなどが、忠実にVR化されているので、現地に行かなくても研究所見学を行った気分になります。
高性能のパソコンやソフトウェアがなくても、本格的なVRが体験できるので、まちづくりの計画や施設を多くの人々に公開し、PRや合意形成に使えます。また、同じVR空間に複数の人が「アバター」として入り込み、リアルタイムで会話やコミュニケーションを図れる「メタバース」としての機能もあります。建築学科などのオンライン授業にも活用できます。 デジタル田園都市をVRで再現するためには、様々な建物や機器、車両などの3Dモデルを用意する必要があります。UC-win/Roadには、数千点もの3Dモデルが付属していますが、時にはオリジナルで作成する必要が出てくる場合もあります。
そんなときに強力なツールとなるのが統合型3DCGソフト「Shade3D」です。建物から車両、人物まで、自由自在に3Dモデリングができます。最近のバージョンアップで3次元CADのような作図機能や、BIM/CIMと連携できる「IFC」形式やPLATEAUの都市モデルにも使われている「FBX2020」形式の入出力機能も備えています。 写真のような高画質のCGを短時間で作成できる「GPUレイトレーシング」機能も使えます。建造物やインテリア、人物などの3Dモデルを収録した「Shade3D 実用データ集」も21シリーズ、計8000点が発売されているので、高品質な3Dモデルを活用できます。
デジタル田園都市の構想を3Dゲームのようなストーリーでプレゼンしたい場合には、「スイート千鳥エンジン」というシステムが用意されています。ARにも対応できるので、建物やインフラの建設予定地で、完成予想図などを現地プレゼンするのにも使えます。
体験内容 9月13日の午後1時半から4時半まで、Zoomによるオンラインセミナー形式で「デジタル田園都市実現支援セミナー」が開催されました。講師を務めたのは、フォーラムエイト執行役員システム営業マネージャの松田克巳さん、同・執行役員 営業サポート管理マネージャの新田純子さんです。 前半の部ではデジタル田園都市構想の政策や取り組み状況による解説や、同社のソリューションと活用例についての解説がありました。そして後半の部では、実際にUC-win/Roadを使って、実在する都市のデジタルツインを作り、新たな建物や構造物を設置してプレゼンする実践的なハンズオントレーニングが行われました。 後半の部の課題となったのは、東京・新木場駅周辺の街並みです。まずはUC-win/Roadに、国交省のPLATEAUからダウンロードしてきたデータを読み込みます。すると地形の起伏や実在するビルの3Dモデルが配置されたデジタルツインができました。 続いて、この街並みの中に、十字形の道路や交差点をUC-win/Roadの機能を使って作成していきます。地図上に道路が通過する位置を数点、クリックしていくだけで道路の3Dモデルが即、出来上がっていきます。地盤は3Dの起伏がついていますので、高さも調整します。 そして今度は新たに建設する建物をイメージして、新たな建物の3Dモデルを配置していきます。VRによって既存の街並みの中に、新しい建物や施設を造る検討は、PLATEAUのようなオープンデータを使うと、ほんの十数分ほどでできてしまうことが実感できました。 この後は、街並みを走る車や人間を配置して、実際に動かしていきます。交差点で渋滞が起こる様子や、時刻・天気が変わる様子を、ドローンや歩行者、ドライバーの視点などに切り替えて見られることを体験しました。新木場駅前の街路樹の本数を変えて、景観の比較検討も行いました。 最後にサンプルデータで、様々なシミュレーションのプレゼンを体験しました。橋の完成予想図と耐震解析ムービー、4Dによる橋脚の施工手順シミュレーションを使うと、設計や工事をわかりやすくプレゼンできることがわかりました。 このほか、2021年に静岡県熱海市で発生した土石流や、東日本大震災での岩手県釜石市の津波による浸水過程のシミュレーションも紹介されました。VRを活用することで、だれもが自然災害の発生状況や全体像を理解できることがわかりました。 同時に、現場でどのような避難状況になっているのかも、避難解析ソフトやVRによってリアルに想像できました。都市で起こっていることを、マクロな視点やミクロな視点の両方で理解できるのも、VRの利点です。
LOADING |