ピルビスワーク実践講座
連載 第5回
動けるからだを造るピルビスワーク
「エネルギーの流れが良くなる頭蓋骨ストレッチ」
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立花みどり
ピルビスワークは体の中心にある骨盤を動かす運動の組み合わせで即効的に体の動きが良くなり、体型の均整が取れる効果の高いボディワークです。※ボディワークとは、体からアプローチして、体・心(メンタル)魂(エネルギー)が三身一体となって上達する運動療法の総称で、おなじみのヨガやピラティスもボディワークの一つです。
魂と聞くとスピリチュアルを連想しやすいですが、ボディワークで魂はエネルギーの事で、エネルギーとは血液の流れ、東洋医学的には気の流れを整える事を指しています。
私たちの悪姿勢や運動不足は筋肉を覆っている筋膜の捻れを起こしやすくなり、同時に細胞を浸している体液の質が低下して血流が悪くなり、その影響で硬くなった筋肉で関節の動きは低下し、神経が圧迫されるようになると体の特定の部位や動作に痛みが伴うようになります。血流の悪さや神経の圧迫が私たちのエネルギーを低下させ、いわゆる元気が無い、機嫌が悪い状態になるのです。
このエネルギーの低下が引き起こす体と心の不調を、エネルギーを回復させる手技で改善できる民間療法に「頭蓋仙骨療法」があります。専門の技術を得た人による頭蓋骨から骨盤を軽く触れる手技によって脳脊髄液の流れを改善する民間療法です。
大人の頭蓋骨は23個の骨がパッチワークのように縫い合わされたように連なり、それぞれの縫合部分が1分間に6~12回のリズムでわずかに動いています。頭蓋骨の中には硬膜という膜があり、この中に脳脊髄液という透明な液体が入っています。頭蓋骨内の硬膜は、脳から背骨を通って脊髄神経全体を覆っており、脳脊髄液は脳から仙骨まで循環しています。
良く体を動かす人は、頭蓋骨、背骨、骨盤の動きがスムーズなので、硬膜も柔軟に動き、内部の脳脊髄液も正常なリズムで力強く末端まで循環しています。ところが、頭蓋骨や骨盤周りの動きが固かったり、ストレスや過労、緊張によって脊髄硬膜は異常に緊張して脳脊髄液の循環とリズムが悪くなります。
頭蓋骨の動きが鈍り脳脊髄液の循環が低下すると、自律神経失調による様々な症状が現れます。偏頭痛や耳鳴り、めまい、立ちくらみ、気力の低下、イライラなど他にもあらゆる心身の不調が現れます。さらに後頭骨から側頭骨、前頭骨が圧迫されると、内臓の不調の原因になるだけでなく、呼吸の度に収縮する頭蓋骨の縫合部の動きに偏りが出て、顔立ちが広がって見え、長くなり疲れて弱々しい印象になります。
今回は、それを予防し、エネルギーの流れを自らコントロールできる、簡単な頭蓋骨マッサージをご紹介します。
脳脊髄液の流れを整える頭蓋骨仙骨ストレッチ
呼吸を楽にしたい、情緒を安定させたい場合などに行って下さい。
1 頭蓋骨から仙骨をつなぐ中枢神経を活性化するストレッチ
ストレッチの方法
両腕両脚を閉じて仰向けになります。呼吸を繰り返しながら手足を広げて行く。
次に息を吐きながら体を丸めるように縮まりそのまま1分間静止。始めの姿勢に戻る。3~6回繰り返す。
2 脳脊髄液の流れを整える肩と首のストレッチ
片手を胸、片手を肩に置いて深呼吸をするように数回呼吸を繰り返します。
3 側頭骨と下顎のストレッチ
片手でこめかみ、片手でアゴ全体を包み込み、呼吸を数回繰り返します。息を吐いている時、手のひらで中心に向かって軽く圧迫します。
4 後頭骨と鎖骨下のストレッチ
後頭顆、側頭骨の場所に手のひらを当てて軽く圧迫しながら数回呼吸を繰り返します。
5 前頭骨と頭頂骨のストレッチ
額の眉毛の上に手首の位置があるように、額を手のひらで包み、反対の手は後頭部に手のひらを置きます。
手のひらを鼻筋の方向に圧迫しながら数回呼吸を繰り返します。
上記の頭蓋骨ストレッチは、行うたびに心身に溜まった緊張がとれてリラックスし、顔立ちが若々しい印象になり、呼吸を楽に感じるようになります。頭蓋骨ストレッチを日常に取り入れる事で、エネルギーの滞りや体の変化をその人自身が気づくことで「自己治癒力」にスイッチが入り、不必要なこわばりや感情、老廃物などの体毒を身体から排出する「流れ」が甦ります。
あらゆる痛み、心身の不調を改善するきっかけとして、頭蓋骨ストレッチを日常習慣にしてください。大切なのは、自らが体調の変化に気づき、自らが体と心を癒し、パフォーマンスとエネルギーをより上質に育てる事です。
(Up&Coming '22 秋の号掲載)
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