近年、平成30年7月豪雨や、令和元年東日本台風(台風第19号)など、全国各地で豪雨による水害や土砂災害が発生しており、人命や社会経済への甚大な被害が生じています。これらを踏まえ、国土交通大臣から社会資本整備審議会会長に対して、「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について」が諮問され、2020(令和2)年7月に答申がとりまとめられました。
気候変動による水災害リスクの増大に備えるためには、河川管理者だけでなく、流域に関わるものすべてが主体的に治水に取り組む社会を構築する必要があります。河川・下水道管理者等による治水に加えて、あらゆる関係者(国・都道府県・市町村・企業・住民等)により流域全体で行う治水は「流域治水」と呼ばれています。流域治水はこれからの水災害対策にとって重要な考え方となります。
令和元年東日本台風により甚大な被害の発生した7水系(阿武隈川、鳴瀬川水系吉田川、久慈川、那珂川、荒川水系入間川、多摩川、千曲川を含む信濃川)においては、再度災害を防止するため緊急的に実施すべき対策の全体像を明らかにした「緊急治水対策プロジェクト」に基づいて、国、都県、市区町村のみならず流域の様々な関係者が連携し、「流域治水」の考え方を取り入れた対策を先行的・集中的に実施しています。
同様に、全国の一級水系においても、流域全体で早急に実施すべき対策の全体像を「流域治水プロジェクト」として示し、ハード・ソフト一体の事前防災対策を加速しています。那賀川においても、2020年8月7日に那賀川流域治水協議会が設立されており、2021年3月には「那賀川水系流域治水プロジェクト」が発表されました。この取組の進捗状況は「見える化」され、さらなる推進が図られています。
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