同社のデザイン業務では、まずミーティングでコンセプトを決定し、手書きのスケッチでラフを作成して自由な意見交換を行った上で、ある程度の方向性が定まったところでパース作成に着手。若いスタッフがShade3Dでモデリングし、経験のあるスタッフがそれを使ってデータを入れ込むといったように、データ共有しながら作業が進んでいきます。「Shade3Dのいいところは、NURBS形状機能によって粘土を触っているような感覚で、自由に形を作って直感的なモデリングで表現できる点。入社して初めてShade3Dに触れるスタッフも、1カ月程度ですっかり使いこなせるようになります」(吉田さん)
パース作成では、画像を見た時と実際にその空間に行った時の差を埋めるため、人間の目に合わせて現実の想定よりやや明るめにしてディテールを正確に伝えることを意識しており、そのための微妙な調整をShade3Dで表現しています。「パースは雰囲気が非常に大切です。顧客の要望に応じた目的、意図をデザインで表現するためには、生き生きした光がある状態で形を検討し、空間イメージを把握する必要があります」。実際に顧客に見せるパース以外の部分も全体を3Dで作り込むことで、自分達自身でイメージをしっかり確認し、美しい空間を作るためのツールとして役立っているといいます。
最近デザインを手掛けた「ソロサウナ」は、従来のサウナとは異なってひとりでゆっくりと寛ぐための施設。沐浴をイメージした日中の自然な光や、室内でゆらぐ蝋燭の光などの照明効果のデザインもパースでリアルに表現されており、Shade3Dを使って顧客の思いを形にすることができたといいます。パンデミック以降、人々が求める空間のあり方は大きく変化しています。こうした要望を繊細に汲み取ってデザインで柔軟に表現していくためのツールとして、今後もShade3Dの活躍が期待されます。
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