専門学校東京テクニカルカレッジ(TTC)の授業でShade3Dが採用されたのは20年以上前に遡ります。「実は私自身もこの学校の卒業生」という村田先生。10年ほど前、担当教員が「国産のソフトで、かつモデリングからライティング、レンダリングなどすべて一体でこなせる統合型の3DCGソフト」と紹介。2DのCADソフトで描いた図面を基に、Shade3Dを使って材質、色味、照明、自然光など基礎的な設定を考えながら3D(立体)のオブジェまで作成できるメリットが説明された、と自身の学び始めた当時を振り返ります。
「インテリアや家具の図面に近い4面構成の画面であり、ソフト自体が直感的に操作しやすく、習得もしやすい」。しかも、インテリア科の1年生が約8ヵ月という限られた期間で、統合型ソフトの基礎的な操作方法を全て学び終え、さらに学生らがそれを応用・発展していくというカリキュラム構成の面からも非常に使いやすい、と位置づけ。自らTTCで授業を受け持つにようになってからも、Shade3Dが継続して使用されている背景について、村田さんはこう解説します。
インテリア科の1年生は、4月入学後にまず、CADソフトやプレゼンテーションのための各種ソフトの基本的な使い方を中心に学びます。 |
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▲東京テクニカルカレッジ(TTC) |
次いで、6月からはShade3Dを用いた授業がスタート。学生は椅子などの家具を3DCGで様々に表現しつつ、ソフトの基礎的な操作方法を覚えていきます。
夏休み明けの9~10月には、何もない状態の(全員同じ条件の)展開図の部屋に対し、学生はそれぞれテーマやコンセプトを決めてインテリアをコーディネート。壁紙や床材の設定、家具の種類や置き方などにより、一定のクオリティを保持しつつ、各々が異なる空間を表現するCG作品として作成します。
さらに11~12月には、学生がそれまで並行して受講してきた設計の授業で描いた設計図面を活用。そのうちの一部屋をShade3DでCG化。それにより学生が自ら設計し、決めたテーマやコンセプトに基づくインテリアコーディネートの成果を表現する初めての作品が出来上がります。
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▲インテリア科の生徒がデザインし実際に制作した椅子 |
1年生最後の1~2月は、前期に続き学生が設計の授業で描いた設計図面を基に、今度は平屋住宅の全部屋のインテリアをトータルコーディネート。Shade3Dでまず住宅の空間すべてをモデリングし、住宅の設計条件に加え各部屋のテーマやコンセプトを反映してCG化。1年生の最終的な作品として、プレゼン用の俯瞰パースなどを含むトータルコーディネートボードの完成に至ります。
同科では、1年生の間にShade3Dの基本的な操作方法は概ねマスターされているものとし、2年生向けには村田先生が担当する設計の一部授業でその応用編をカバー。二世帯住宅や2階建て・3階建ての住宅にしてボリュームを増し、建物の外観や周辺環境も含めた形での3DCGを作成します。
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▲インテリア科の学生がShade3Dで制作したパース |
また、同科2年生の後期授業(11~2月)では卒業制作に向け、学生は前述した2通りのクラスのうちいずれかを選択することになります。村田さんはそのうち、3DCGでデジタルプレゼンテーションを行うクラスを担当。Shade3Dを使い、基本的には学生がそれまでに設計してきた住宅のウォークスルー・アニメーションを作成。それにより当該住宅のインテリアコーディネートを効果的に紹介しようというものです。
「統合型3DCGソフトとして、(現行のカリキュラムに沿った基本操作)習得までの期間なども考えると、ぴったりなものだと考えています」
村田さんは、Shade3Dの直感的な操作性や教え易さとともに、そのメリットに改めて言及。さらに、「突き詰めていけば、どこまでもクオリティを上げられるようなポテンシャル」も窺われる、と説きます。
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▲TTCの1Fロビーのカフェの前で、左から、インテリア科の村田涼氏、 同科科長の髙山寿一郎氏 |
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