デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
デザイン・クリエイティブセンター神戸は、旧神戸生糸検査所をリノベーションした施設。1927年に旧館が、1932年に新館がそれぞれ完成し、ここで検査を終えた生糸が神戸港から輸出されていった。その後、役割を終え、上で紹介した「4. 景観形成重要建築物等指定制度」で、歴史的な建築物や地域のシンボルとなっている建築物など景観上重要な建築物等として「景観形成重要建築物等」の指定を行い、保全・活用した。
一部のクリエイターやデザイナーだけでなく、様々な人や世代が交流し、そこから生まれるアイデアや工夫で新しい神戸をつくっていこう、そして、神戸のまち自体をクリエイティブなものにしていこうと、日々、実践している【図3】。リノベーションされた施設にはかつての検査所で使われていた物品が改修され、什器や装飾として蘇っている【図4】。
尚、KIITOの前面道路である、国道174号線は日本一短い国道。全線がわずか187.1m。
向かいにある神戸税関は2代目で1927年竣工。中に入ると、シンガポールのラッフルズホテルのような雰囲気を感じる。建物のすぐ北側には阪神高速道路が走っているが、中庭からは見えないし騒音も感じない。都心なのに、切り取られた空だけが見える贅沢な空間。この中庭からはいつまでも「空だけ」が見えますように。
KOBE パークレット
旧居留地の北側、三宮中央通りにパークレットが設置されている【図5】。これは、サンフランシスコが発祥の、憩いや賑わいの場を創出するための装置である。車道の一部を利用したパークレットはわが国では神戸が初めての取り組み。
パークレットの構造は、シンプルであり、まず、停車帯などに傾きや段差が生じないように床材(ユニットデッキ)を張る。次に、車と歩行者を分離するための囲い(ガードパイプ)を作る。最後に、人々が休憩したり、会話をするための施設(ベンチ、テーブル等)を設置する。
ショッピングや街あるきで疲れたら休めるし、近くのお店で買ったものを飲食することもできる。人々がふと腰を下ろして憩える公共空間があまりに少ないと日々感じているが、パークレットはこの問題の改善を目指した道路空間での試みだといえよう。
駅として再建されたレンガビル
市営地下鉄海岸線みなと元町駅【図6】。このレンガビルは、日本の草分け的建築家で日銀や東京駅も手がけた辰野金吾氏が設計。1908年に第一銀行神戸支店として建設され、1966年からは大林組が神戸支店として使用。しかし阪神・淡路大震災で大きく損傷した。
修復は不可能に思われたが、内部を更地にした上で南西の角に面した壁が再建され、みなと元町駅の1番出入口として使われている。みなと元町駅から一本南の筋は、近年「オシャレな街」として注目を集める乙仲通り。
|