平成14年までの道路橋示方書の終局曲げモーメントは、改定された平成24年道路橋示方書において、耐震性能2または3の限界状態に相当する曲げモーメント(Mls2またはMls3)に変更されました。名称が変更されただけでなく、定義も新しくなっています。つまり、従来はコンクリートの終局ひずみだけで決定されていましたが、変更後はコンクリートか鉄筋のいずれかで決定されます。どちらで決定されたかという情報は、M-φ特性の画面では確認できません。ここでは、それを確認する操作手順を説明いたします。
最初に固有値解析を行い、その結果得られた各モードの固有周期と各モードのモード減衰定数を求めておきます。次に、2つのモードを選びます。その際に、なるべく卓越するモードを選びます。卓越するかどうかは、刺激係数や有効質量比が大きいかどうかを指標とします。ただし、選び方によっては、負減衰となる(具体的にはRayleigh減衰の係数α、βが負となる)場合がありますので、負減衰とならないようにモードを選択する必要があります。
最初に、ナビゲーション「照査設定|断面照査用詳細入力」の表内で「終局強度法-曲げ」の行をダブルクリックします(図1)。
次に、呼び出された「断面照査用詳細入力プロパティ」画面にある「簡易照査」ボタンを押します(図2)。
呼びだされた「簡易照査結果」画面で図3の黄色部分のように指定します。特に、A部の「My/Mz入力角度」は、3次元M-N相互作用図を縦の平面で切り取った2次元M-N相互作用図が表示する指定です。
次に、軸力と曲げモーメントを入力します。たとえば、図4の黄色部分のように軸力が20000kNの場合は、鉄筋の許容ひずみで限界状態曲げモーメントが決定されることが鉄筋の材料色を見てわかります(図中に赤の星印も表示されます)。なお、Mypにゼロ、Mzpに90000を入力することでzp軸回りの限界状態曲げモーメントを計算する方向指定になります。実は、方向が決定すればよいので、Mzpに与える数値は、1でも10でも100でも構いません。
また、M-N相互作用図では圧縮軸力が大きくなるとコンクリート材料の色で限界状態曲げモーメントが決定されることがわかります。 この他の簡易照査画面については、ヘルプ「Engineer’s Studio Help|ナビ|照査設定|簡易照査」をご参照ください。
(Up&Coming '21 春の号掲載)