Support Topics
 サポートトピックス・ UC-win/Road

交通量の計測方法

保守・サポートサービス関連情報

今回は、UC-win/Roadでの交通量計測について紹介します。車両台数の計測について、ログを分析することで可能ですが、ここではログの分析ではなく、シナリオのユーザ変数を利用して取得する方法を紹介します。また、歩行者の流動について、こちらはログを使用して、流動密度や流率を測定する方法を紹介します。

シナリオのユーザ変数について

ユーザ変数は、シナリオの「イベント」を使用して、任意のタイミングで値を書き換えることができます。シナリオで使用できるユーザ変数配列は、0~511まで512個用意されています。

ユーザ変数の設定は、「イベント」の編集画面から「ユーザ変数」タブを開き、コマンドを選択します。コマンドはデフォルトの「何もしない」のほか、「割当て」または「クリア」を指定できます。


図1 「シナリオ」-「イベントの編集」-「ユーザ変数」タブ

・「割当て」では、チェックを入れた配列に、指定した値を代入します。

※指定値のセットのほか、指定値を加算、乗算、乱数を設定する操作が可能です

・「クリア」は、そのイベントの実行時に配列のすべての値を「0」とします。

なお、ユーザ変数は出力したログデータで確認します。


ユーザ変数を使用した計数

1. (準備)通過位置の路面下に判定用のモデルを配置

2. (準備)ログ出力オプションを設定

3. シナリオ開始

4. 1のモデル上を車両が通過すると、モデルに衝突と判定

5. 3の衝突の終了(通過終了)を判定

6. ユーザ変数に1を加算

7. 4~6を繰り返し

8. シナリオ「停止」で終了し、ログを確認

では、設定の詳細を見ていきます。


>>1.(準備)通過位置の路面下に判定用のモデルを配置

・測定位置に判定用モデルを配置します。場所がわかる名称にして複数配置できます。モデルを見せたくない場合は、地下に配置します。

・判定用モデルは「制御対象」にチェックを付けます。


図2 停止線の地下に配置した判定用モデルの例

通過判定用には、薄い板状のモデルを配置します。停車時の車間距離より薄くすることが必要です。既存のモデルを配置してもよいですが、UC-win/Road の新規建物モデル作成機能により、車線幅等に適合したサイズのモデルを作成することができます。


図3 新規追加-建物モデル 図4 判定用モデルの作成例

>>2.(準備)ログ出力オプションを設定

・メニュー「運転シミュレーション」-(ログ出力)「オプション」で、ログ内容オプションの「運転車両」にチェックを付けます。出力項目の選択や、ログ出力間隔、必要に応じて、周囲の移動オブジェクトを出力する場合は、カメラ位置を中心とした半径を指定します。


図5 ログ出力オプションの設定

>>シナリオ設定

シナリオの追加で、新しくシナリオを作成します


No

イベント

編集

遷移

1

init

・「歩行を開始する」
起点:オフロードポイント
・拡張機能「Log」:
「Start Logs」
・ユーザ変数:var0 に
割当て:「0」

・waitへ
・時間>0s
・イベントの終了

2

wait

・なし

・overへ
・衝突:判定用モデルと
全交通モデルが2Dで衝突したら
・イベントの終了

3

over

・なし

・countへ
・衝突:判定用モデルと
全交通モデルが2Dで非衝突になったら
・イベントの終了

4

count

・ユーザ変数:var0に
割当て:「1」を加算

・waitへ
・時間>0.2s
・イベントの終了


図6 シナリオの衝突モデルの設定

ユーザ変数は、出力項目の「type」が「uv」(自車)の時に出力されるため、何らかの形で運転または歩行する設定が必要となります。運転する必要が無い場合は、計測地点の近くに「オフロード」の開始位置を設置しておき、シナリオではそのポイントから「歩行を開始する」形にすると、ユーザ変数がファイルに出力されます(歩行はせずに、その場で見るだけにします)。


図7 ログファイル内のユーザ変数の出力例

図8 「シナリオ」-「ユーザシミュレーション」-「歩行を開始する」

図9 シナリオの設定のイメージ

歩行者の流動シミュレーション

歩行者の流動については、ログ出力機能を使用して測定することが可能です。歩行者ネットワークのパス上に歩行者がどのくらいいるかの流動密度、また、どれくらい通過するかの流率を測定することができます。

歩行者ネットワークの設定については、過去のサポートトピックス・VR(Up&Coming 133号)をご参照ください。


●流動密度と流率の測定

以下の手順で、歩行者の流動密度と流率を、シナリオなしで取得できます。


<測定の準備>

1. メニュー「運転シミュレーション」-(ログ出力)「オプション」で「歩行者密度」「歩行者流量」にチェックを付けます。

2. 「出力項目を選択する」で、pedestriansNumber、density、surface、averageFluxが出力されることを確認します。


<流動密度の測定準備>

1. メニュー「編集」-「ライブラリ」のモデルパネルから「新規作成」-「流動密度測定範囲」を選択します。


図10 モデルパネル「新規作成」-「流動密度測定範囲」

2. モデルパネルに測定用のオブジェクトが追加されます。

3. オブジェクトを選択した状態で、シーン上の測定を行う目的の位置にクリック、配置します。流動密度測定範囲はクリックすると幅、奥行きを変更できます。


図11 流動密度測定範囲の設定

<流率の測定準備>

1. モデルパネルから「新規作成」-「流率測定範囲」を選択します。

2. モデルパネルに測定用のオブジェクトが追加されます。

3. オブジェクトを選択した状態で、シーン上の測定を行う目的の位置にクリック、配置します。


<測定実行>

1. メニュー「運転シミュレーション」-(ログ出力)「開始」でログ出力を開始します。

2. メニュー「ホーム」-「交通流の開始」で交通シミュレーションを開始します。

3. ログ出力「終了」ボタンにて、流動密度のログ出力が終了し、下記フォルダにcsvファイルとして結果が出力されます。

・出力先:[ユーザデータフォルダ]\ L o g(デフォルトC : \UCwinRoad Data 15.n\Log)

・出力ファイル名:LOG_yyyymmddhhmmss_.....csv


出力

単位

内容

time

シミュレーション開始からの時刻

type

md:歩行者密度
mf:歩行者流量

pedestrians
Number

Typeがmd(密度)の時、配置した流動密度を測定
する面内にいる歩行者数
Typeがmf(流量)の時、測定面を通過した歩行者数

density

人/㎡

Typeがmd(密度)のときの流動密度

surface

歩行者密度の測定面の面積

averageFlux

人/秒

Typeがmf(流量)のときの単位時間当たりに通過
する歩行者数(流率)


*シナリオプラグインは、Advanced、Driving Sim、Ultimate に含まれています。

*ログ出力プラグインは、Driving Sim、Ultimate に含まれています。

*各プラグインは別途追加でご購入可能です。


(Up&Coming '22 春の号掲載)

FORUM8
<br class="sp_br">

LOADING