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本誌135号(2021年秋の号)では、軸力変動を考慮したM-φ要素の特徴を静的解析に対して比較考察しました。今号では、正負交番載荷を受ける動的解析に対して考察します。 解析モデルは、図1に示す一層式の鉄筋コンクリートラーメン橋脚です。高さは12m、柱間隔は9m、上部構造を表す節点に3000tの質量、柱断面寸法は2m四方です。面内方向に図2に示す加速度波形を入力します。 右側柱基部(図の赤丸)の結果に着目します。図3は柱基部が軸力変動する様子です。 M-φ要素を左右の柱上下に設定し、図4のように5個のM-φ特 性を断面から自動設定しています。事前解析によって各柱に生じる 軸力変動の範囲を把握し、それを包容するように圧縮軸力5000kN から圧縮軸力26000kNまでを等分割で5個設定しています。 図5と図6は、右側柱下端のM-φ要素の履歴応答です。グラフの横軸は曲率、縦軸は曲げモーメントです。軸力変動を考慮した履歴応答は赤線です。 図5には、死荷重時の軸力で一定のM-φ特性とした場合の履歴を青線で示しています。青線と赤線は大きくずれていることがわかります。つまり、軸力変動を考慮しないM-φ要素の応答は不正確と言えます。また、青線は単なる直線の集まりですが、赤線には曲線を含みます。これは、5個のM-φ特性を線形補間しながら切り替えて計算しているからです。このように、曲線を含む形になることが軸力変動を考慮したM-φ要素の特徴です。 図6は、軸力変動を自然に考慮できるファイバー要素の応答(黒線)と比較しています。赤線の領域と黒線の領域とがほぼ重なっていることから、軸力変動を考慮したM-φ要素がファイバー要素と同等レベルであることがわかります。 |
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