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「情報のリソースを出来るだけ広く得られるようにしたいということで、特に最近は県外企業との情報交換にも力を入れています」(赤松会長)。そのような対外活動の一環として、フォーラムエイトとの関わりの契機ともなった一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)をはじめ、四国経済連合会、東京・愛媛クラブ、松山商工会議所などの取り組みにも参加。最近は地域へのお返しの意味を込め、同会長自ら、愛媛県ラグビーフットボール協会の会長も務めています。 ICT活用に独自のアプローチ ICT(情報通信技術)を含むオフィス環境を顧客に提供する立場にある半面、業界自体のICT活用はさほど進んでいないところもある、と赤松社長は明かします。 その一例として、数千台単位に及ぶコピー機などの管理にあたり、従来はそれらの使用状態に関してメーカー側が取得するデータを基に担当者が手作業で入力してきた、と言及。そこで同社は、当該データから必要な情報を直接取り込み、請求書などを作成する仕組みを開発。自社の業務効率の向上を実現するとともに、そのパッケージ化も図っています。 また、顧客から修理依頼を受ける都度、以前は無線機を介して対応できる担当者を調整していたのに対し、顧客の情報管理用アプリケーションの一部機能を拡張。そこに登録された修理に関する情報を関係者がリアルタイムで共有できる仕組みを構築しています。 「ICTには流行り廃りのようなところが結構あり、表に出ているものもあれば、埋もれているものもあります」「埋もれているものには価値がないとかということではなく、いろいろなものを用途に応じて使い分けることが大事だろうと思っています」 例えば今日、対話型生成AI(人工知能)が注目されていてそれに乗り遅れまいと、流行りのICTをただ追いかけているだけではなかなか成果に繋がらない。まず、どういうことを実現したいという目的を真剣に考え、そこに効果的なICTを活用することでそのもたらす可能性も広がるはず、と赤松社長は説きます。 F8VPSで2021年ハイブリッド展示会、2022年バーチャル展示会 「F8VPSの導入に関して、大きいのはコロナ禍だと思っています」 同社は元々、展示会への出展と併せ、顧客先でのデモンストレーション営業に注力。デモ用の車両に印刷機などを積んで客先へ行き、そこで実際に各種印刷物を出力してその印刷品質やスピードなどを顧客が体感し、納得して購入してもらうというスタイルが定着していました。それが、コロナ下で「非対面」での対応が求められ、徐々にその制約は緩やかになってきたとは言え、抵抗感のある顧客も存在。また以前から業務中に時間を割いて展示会場へ行くのは難しいとの声も聞かれた中で、バーチャルとリアルのハイブリッドのイベントが出来ないかという発想に繋がった、と赤松社長は振り返ります。 その頃、前述のSAJでの活動を通じフォーラムエイト製品の情報に触れていた赤松会長が社長に助言。社長自ら複数社に問い合わせた中で、短期間に期待し得る解決策が示されたことから、当社F8VPSを採用する流れに至ったといいます。 その最初の適用事例となったのが、香川支店高松営業所主催のハイブリッド展示会(2021年10月5・6日開催)。そこではリアルの展示内容とほぼ同じようなことをオンラインでも体験できるよう再現することに力点。現場の配置構成の再現はもちろん、各種OA機器やサブスクリプション製品を中心とする目玉商材の、取引先メーカーのカタログ・データ(静止画のPDF)の閲覧や動画コンテンツの再生をオンデマンドで可能になるよう意図。出展社によるセミナーのコーナー設置、抽選やアンケート実施にも同様に対応しています。 この四国初となったハイブリッド展示会を通じ、延べ1000人超と想定以上の参加を実現。コロナ下の制約や職場内の目を気にすることなく、リアルと同様に体感できたバーチャル展示会は特に顧客にとって新鮮で、概ね良い評価が得られました。 「この仕組み自体がそのまま色々使えるのでは」という話から翌2022年、松山本社で新規顧客の開発を担う「特販課」の若手社員が中心となり、前年のハイブリッド展示会の成果を流用。バーチャル単体でのイベント開催に繋げています。今回は特に新規顧客向けにフォーカス。商材に関する様々な情報を更新するとともに、動画配信型のセミナーなどと連携する仕組みが構築されました。
F8VPS適用ノウハウの顧客向け提供展開も視野 同社としてF8VPSを自社のエンドユーザー向けに売っていきたい、と赤松社長は一連の取り組みの次なるゴールを描きます。 その背景にはコロナ禍で揺れた近年、リモートワークなどを通じバーチャル空間の利用がそれまで馴染みのなかった層にまで受け入れられてくるとともに、関連するコンテンツも着実に高度化。学術や観光、エンターテインメントのみならず、純粋なビジネス領域への潜在的な用途の広がりも確信できたことがあります。それに対し、自身らの事業の中でその可能性を十分に伝えきれていなかったのでは、と内省。そのための仕掛けをいかにうまく作っていくかが自らの今後の課題、と位置づけます。 例えば、同社で扱う商材のように大きくて重いもの、あるいは顧客のニーズに即応して容易には見せられないようなものは、世の中に数多く存在。そのような際に同社では、遠方のショールームなどへ顧客を案内して実際に触れられる機会を設けたりしてきています。ただ、費用などの問題もあり、すべてのケースで同様に対応することは難しいのが実情。そこで、グループウェアとの連携や現実を反映したコミュニケーションが可能なF8VPSを活用。「ちょっと興味を持たれた人」にも補完的に、手軽に臨場感を持って体感してもらえるアプローチの、多分野にわたる適用可能性が想定されたといいます。 特に自社でF8VPSを用いハイブリッド展示会を実施した経験から、バーチャル展示会をリアルのそれに先行してオープン。参加者がVR上で予習した後に現地で実物に触れられるなどの工夫をすればより効果的になるはず、と同社長は観点を示します。 「リアルとバーチャルを連動させつつ、(両者の)役割をうまく使い分けることを出来ればやりたい。そういう発想は多分、(自ら経験していない)他社にはないと思うのです」
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執筆:池野隆 (Up&Coming '23 秋の号掲載) |
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