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WELCOME “EUROPA” BIENVENUE [Photo1]。 1991年5月22日、欧州大陸とイギリス本島を結ぶ英仏海峡海底鉄道トンネルの1本が貫通した瞬間である。賢らに歓喜することなく坑内業務に勤しむエンジニアの姿が心を打つ。一転して[Photo2]は、偉業を成し遂げたエンジニアたちの誇らしげな記念写真である。
トンネルボーリングマシン(TBM: Tunneling Boring Machine)とは、地盤/岩盤中を巨大なカッターヘッドで掘削し、支保するマシンである([Photo3]は、現地搬入前の国内での仮組立と試運転)。このプロジェクトでは、海面下100m、海底下40m、10気圧のもとで敢行され、最大月進1,200m(おそらく世界新記録であろう)を樹立したことも強調したい。
EU統合の象徴として1994年(平成6年)に開業した高速鉄道ユーロスターの運用は、既に四半世紀が経過。2016年(平成28年)アムステルダムへの新路線開通を機に、家族旅行でロンドン-ブリュッセル間に乗車した。ロンドンを始発してやがて英仏海峡海底トンネル通過のお知らせが車内に掲示された[Photo4]。日本人として何とも誇らしい気分で、廻りの西欧人(??)に伝えようかと辺りを見渡したが、思いとどまり同行の家族に説明した次第である。
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吊り橋は、高く堅牢な主塔が主ケーブルを通じて橋全体を保持していると見ることもでき、主ケーブルには引張力、主塔には圧縮力が作用する。地盤と繋がるのは、通例、両側のアンカレイジと主塔基礎の4カ所であることも重要なポイントとなる。主塔~橋台間および主塔~主塔間に張り渡された主ケーブルは、直下に多数のハンガーロープ(吊索)を吊り下げ、今度は、ハンガーロープが橋桁を吊り下げることになる。[Photo3]は主塔~橋台間の写真であり、遥か遠方には橋台(アンカレイジ)[Photo4]が鎮座している。
吊り下げられた橋桁とその床版は通行荷重を支え、鉄道橋や道路橋として機能する([Photo5]は補剛トラスを内部から見たもので、通行路ともなっている)。橋桁自体は、通行路として橋の形状を保つ剛性・強度があれば十分なので、補剛桁とも呼ばれる。
主塔間の距離は中央支間(Center Span)と呼ばれ、世界の長大橋梁は中央支間の距離を競っている。多くの橋梁形式の中で、吊り橋は最も長い中央支間を採ることができ、例示した明石海峡大橋は,世界最長1991mを誇る。一方では、このような巨大構造物は複雑多岐にわたる構造設計が必要になる。柔構造があるが故、特に耐風安定性に対する入念な検討が必要である。 さて、締め括りとして、吊り橋の全体像を見て頂きたいが、紙面の容量もあり、下記サイトを閲覧されたい(敢えて、上記とは別の長大吊橋を例示している)。 本来なら、橋梁そのものの自重(死荷重Dead Load)をどのように支えているのか、車両や列車などの交通荷重(活荷重Live Load)をどのように受け止めるのか、大地震が襲来した場合(耐震設計Seismic Design)、台風が襲った場合(耐風設計Wind Resistant Design)などについて、それぞれの耐荷メカニズムを説明する必要がある。機会を改めて紹介/解説したい。 |
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東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設が主導する一連の研究は、カミオカンデからスーパーカミオカンデ[Photo4]と受継がれ、それぞれノーベル物理学賞に繋がったことは日本人の誇りでもある。その後継として、国際協力科学事業ハイパーカミオカンデの計画が報じられている。ここでは、更なる大容量の地下水槽(容量26万トンとも伝えられている)を必要とし、先進の大空洞構築技術が再登場することになる。
そして、このEpisode23を閲覧している若手エンジニア、学生/院生諸君が、この国際プロジェクトに参画することも、あながち夢物語ではない。わが国の誇るノーベル物理学賞の栄光の方程式を担う、鉱山エンジニアや建設エンジニア達を鼓舞激励したい。 ■ 東京大学宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設HP |
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以下に4空港の概要を列挙したが、空港名称には英字による空港コード(IATA 3-Letter codes)を併記している(身近な例として、預入れ荷物のバゲージクレームタグに大きく印字されている)。加えて、空港施設の心臓部である滑走路の基本仕様(長さ×幅、指示指標)を記している。指示指標とは滑走路の方向を表す2桁の数字。例えば、中部国際空港[Photo3]では、手前左に36、遠方18が見えるが、それぞれ360°(北)、180°(南)を表している(当然のことながら、両数字の差は18となる)。また、成田国際空港[Photo2]のように2本の平行滑走路が運用される場合、A滑走路16R/34L、B滑走路16L/34Rと表示され、R=右側、L=左側を表す。
[Photo1]新千歳空港CTS:国内/国際航空ネットワークを担う北の拠点空港。 [Photo2] 成田国際空港NRT:国際線に限れば国内最大の発着規模であるが、羽田シフトが進んでいる。 [Photo3] 中部国際空港NGO:伊勢湾内に建設された海上空港。愛称はセントレア。 [Photo4] 関西国際空港 KIX:大阪湾泉州沖に建設された海上空港。24時間運用可能な西のゲートウェイ。
【参考:基礎からわかる空港大百科 イカロスMOOK】 |
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(Up&Coming '21 秋の号掲載) |
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