痛みとつきあう手助け
1)マインドフルネス
今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること(日本マインドフルネス学会定義)」をマインドフルネスといいます。今、ここに意識を集中する練習をします。痛みと、痛みによってもたらされたネガティブな考えや不安や恐怖などは無意識のうちに一体化し、そこから痛みが増幅され、悪循環となっていきます。マインドフルネスの練習では痛みを、意識的に、ありのままの現象として観察します。この練習を通じて、痛みが考えや感情、私自身とは、別個のものであることを理解していきます。具体的にはマインドフルネス低減法という8週間のプログラムを行うなかで、身体各部を観察するボディスキャンや座る瞑想などが役に立ちます。
2)森田療法
森田療法はフロイトと同じ時代から行われている日本の精神療法です。痛みと苦悩の悪循環からぬけ出る方法として役に立ちます。慢性の痛みでは痛みに「とらわれ」ていきます。痛みのある場所にその原因を求め、その原因を取り除こうと努力します。痛みや痛みから生じる不安や恐怖をコントロールあるいは打ち消そうとすると、かえって痛みに意識や注意が集中することになり、痛みが増強し苦悩となり、悪循環に陥ります。森田療法の考え方では、痛みへの「とらわれ」からなる悪循環を断ち切るには、痛みがあっても目の前のできること、日常の活動に目を向け生活を楽しむように行動することからはじめます。具体的には人との楽しい食事や、自然を近くに感じる行動や、ワーキングやハイキングなど痛みがあってもできる経験を通して、日常生活の中でも痛みにとらわれない生活の習慣ができるようになることを目指します。
3)運動療法 痛みの軽減にはストレッチ、テレビ体操、ワーキング、水泳など負担が少なく、日常生活活動につながり、持続性の高いものがよいとされ、特にストレッチは有効性が報告されています。運動の強さで、今現在できる範囲ではじめ徐々に増加させ、特に痛みを訴える部位に執着することは避けることが大切です。
この痛みさえなければ仕事がもっとうまくやれる、生活がエンジョイできるのに、この痛みをコントロールしたい、取り除きたいという考えから意図的に離れてみましょう。今、痛みがあってもできること、体の負担のない範囲で動かすこと、行動することが痛みとつきあうことの第一歩です。
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