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建設ITジャーナリスト家入龍太氏が参加するFORUM8体験セミナーのレポート。 |
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はじめに
建設ITジャーナリストの家入です。土木インフラの代表格である橋長2m以上の道路橋は、全国に70万橋以上あり、老朽化が進んでいます。令和元年版の国土交通白書によると建設後50年以上を経過するものは、2018年には25%あり、23年には約39%。33年にはナント、63%にもなる見込みです。トンネルや下水道管などに比べても、橋梁は老朽化の割合が一段と高くなっています。 今回のセミナーは、橋梁の点検や修繕計画策定、そしてコンクリートの維持管理などを支援するフォーラムエイトのソリューションを活用する方法を具体的に学ぶものです。限りある人的、資金的リソースを有効に活用し、橋梁の長寿命化を図る戦略的な考え方も含まれています。
橋梁の部材のなかでも、鉄筋コンクリート構造物は劣化がじわじわと進行し、気がついたときには大規模な補修工事が必要になっていることも多々あります。逆に異常を早期に発見し、こまめに適切な補修を行えば、寿命を大幅に伸ばすことができます。そのため、コンクリート構造物の予定供用期間を通じて、性能を保持できるように維持管理計画を作り、実行していくことは非常に重要です。 具体的には、コンクリートの表面に発生するひび割れを調査して、その原因や補修・補強の要否を判定します。補修が必要と判断された場合は、工法を選定します。同時に補修後の耐久性や性能を考慮した生コンクリートの配合設計も行います。このほかコンクリートの劣化過程を判定したり、劣化の進行を予測したりといった管理も必要となります。
製品概要・特長 この日のセミナーで取り上げられたのは、フォーラムエイトの「橋梁点検支援システム」、「橋梁長寿命化修繕計画策定支援システム」、そして「コンクリートの維持管理支援ツール」です。 フォーラムエイトの「橋梁点検支援システム」は、国交省版と国総研版がありますが、この日は国総研版を使いました。点検要領に従って点検調書の作成や出力を行えるほか、汎用CADをベースに多様な図面作成が可能です。さらに損傷図に書き込んだ損傷情報を抽出して、損傷程度を評価したり、対策区分表を作成したりする作業を効率的に行えるようになっています。 特徴はさまざまな図面や作図をスピーディーに行えることです。例えば現地調査の元になる図面がなくても、主桁の本数や幅など主要部分の数や寸法を入力するだけで、パラメトリックに断面図や、現地調査用の「損傷展開図」など自動作成してくれます。現地で記録してきたひび割れや漏水、鉄筋露出などの損傷状況をソフトに入力するときも、損傷パターンを選ぶだけで素早く行えます。 こうして入力されたデータから、発注者の様式に従ってさまざまな点検調書を出力できます。
続いて「橋梁長寿命化修繕計画策定支援システム」は、道路保全技術センターの「道路アセットマネジメントハンドブック」や、国総研の「道路橋の計画的管理に関する調査研究」に基づき、橋梁ごとの情報管理や補修工事の内容、工費、時期の検討、補修順位の検討などを行い、それぞれの計算書を出力します。 部材が経年変化によって劣化していく程度を予測するためには、「劣化モデル」を使います。数多くの橋梁について、主要部材が経過年数による劣化データを数多く集め、回帰曲線によってモデル化したものです。例えば、劣化や変状が広範囲に進行しているレベルの「健全度IV」になるまでの経過年数は、塩害地域以外の場所だと21年ですが、塩害地域だと14年と予測されます。 補修工法は再塗装か架け替えかによって直接工事費を計算する式が定義されており、単価と数量で補修費用を算出します。 橋梁補修計画の中心になるソフトのため、他のシステムや橋梁台帳などとのデータ連携性も優れています。
最後の「コンクリートの維持管理支援ツール」は、土木学会の「コンクリート標準示方書」に基づき、コンクリート構造物の劣化度の判定や劣化進行の予測などを行うソフトです。 「維持管理編」と「ひび割れ調査編」の2種類があり、ひび割れ調査編には「ひび割れ調査」と「設計編」の2つのソフトを備えています。
体験内容 イエイリコメントと提案 日本の人口減少は今後も数十年にわたって続く見込みのため、維持管理の事業費にも限りがあります。しかし社会インフラの老朽化は進み、補修対象となる構造物の量は増える一方です。 こうした状況で、橋梁の損傷状態を的確に把握し、損傷や異常に適切に対応するためには、従来のように手作業で点検や管理を行うのはもはや限界が来ています。クラウドやBIM/CIMなどによって効率的にデータを管理することが欠かせません。 フォーラムエイトのソリューションは、日々、機能や他システムとの連携が着々と進んでいます。すでに開発済みのドローン(無人機)やロボット、クラウド、VRなどの技術に、開発中のAI(人工知能)損傷度判定支援システムなどの技術が加わると、インフラ分野でのDXが急速に実現していきそうです。 |
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(Up&Coming '21 盛夏号掲載) |
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