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建設ITジャーナリスト家入龍太氏が参加するFORUM8体験セミナーのレポート。 |
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はじめに
建設ITジャーナリストの家入です。フォーラムエイトの製品ラインアップの中でも、統合型3Dコンテンツ制作ソフト「Shade3D」は、幅広いユーザーと用途を誇っています。その守備範囲は、小中学生のプログラミング教育からCGアニメのモデリングやレンダリング、さらには建築・土木のプロが使うBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)と連携した図面作成やモデルチェック、VR(バーチャルリアリティー)との連携までをカバーしています。 非常に魅力あふれるソフトのため、Shade3Dについては当コーナーでもたびたび取り上げています。Up&Comingの124号(2019年新年号)では、単体のソフトとしての機能や基本的な活用方法について紹介しました。130号(2020年盛夏号)では、フォーラムエイトの様々な土木設計用ソフトや、リアルタイムVRシステム「UC-win/Road」などとの、3ds形式によるデータ連携による幅広い活用法について紹介しました。 そして、今回のテーマは「プログラミング」です。プログラミングというと、ベテラン技術者は「FORTRAN」や「C言語」などのように、コードを1行ずつ書いていく作業を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、2020年度から小学校、2021年度から中学校で必修となったプログラミング教育では、まとまった命令や出力のコマンドをマウス操作によって「ブロック」単位で並べたり、積み重ねたりする「ブロックUIプログラミングツール」が使われています。今回のセミナーも、この方式によるプログラミングを学びます。
製品概要・特長 130号で紹介した時、Shade3Dの最新版は「Ver.20」でしたが、このセミナーが開催された時には「Ver.21」に上がっていました。 新たに追加された機能としてはまず、2D図面ツールがあります。このツールが搭載されたことで、Shade3Dは単にCGやモデリングなど3Dのイメージを制作するだけでなく、縮尺や寸法が重要な設計ツールとしても使いやすくなりました。 このほか、WEB上などで3Dモデルを扱うオープンソースのファイルフォーマット、「glTF」の入出力に対応(Professional版のみ)したり、メジャーツールで「絶対座標」を表示する機能が追加されたりしました。 さらに新しい「Ver.21.1」では、別売りオプションとして「BIM /CIM設計照査ツール(Professional版のみ)も搭載されました。 フォーラムエイトの「UC-1設計シリーズ」や「3D配筋CAD」などで設計した3Dモデルを「IFC形式」で書き出し、設計照査を行うものです。 手軽に3Dモデリングが行えるShade3DがIFC形式に対応したことで、他社のBIM/CIMソフトともデータ連携できるようになりました。国土交通省が推進する「i-Construction」の世界でも、Shade3Dの存在感が高まりそうです。 3次元CADらしくなったShade3Dですが、一般のBIMやCIMのソフトなどに比べるとリーズナブルな価格です。最新版の「Ver.21」ではCG初心者向けの「Basic」が2万1,780円(サブスクリプション1年目の価格。税込)、モノづくりで精度を追求する人向けの「Standard」が5万2,800円(同)、そしてプレゼン品質のCG向けの「Professional」が10万7,800円(同)となっています。2年目以降は半額以下で使えるのも、これまでのバージョンと同じです。 Shade3DはSTEPやIGESなど製造業系のデータと、IFCなど建設業系のデータを読み書きできます。今、建設業は人手不足対策として、部材のプレハブ化や工場での自動加工などが増えています。Shade3Dによる両業界間のデータ交換は、ますます活用が増えていきそうです。
イエイリコメントと提案 Shade3Dは高機能ながら、以前はホビーユーザー向けのソフトとして進化してきました。現在は建築・土木や製造業などのプロユーザーも新たに獲得するため、図面やBIM/CIMへの対応などの機能を追加し、進化を続けている真っ最中と言えそうです。 人手不足に悩む建設業界では、現場で鉄筋や型枠などの素材を手作業で一つ一つ組み立てていく生産方式から、工場で工作機械を駆使して効率的に生産するプレハブ化へと変わりつつあります。そんな中、求められるのは建設業と製造業をつなぐ3次元CADです。 その点、Shade3Dは建設業と製造業のどちらにも対応でき、PythonやグラフィカルUIスクリプトで小回りの利くカスタマイズが行え、かつプロ向けの3次元CADとしてはかなりの低価格という点で、時代のニーズに合ったソフトと言えるでしょう。 一方、これまでホビーユーザーを中心に培ってきたコミュニティーやスクリプトなどのソフトウエア資産も、うまく活用していくことができればと思います。これまでのボランティア的な助け合い文化を引き続き応援していきたいですね。 さらにプロユーザーがホビーユーザーに対してスクリプト開発業務などを手軽に受発注できる仕組みなどを作れば、双方がWin-Winのコミュニティーが実現するのではないでしょうか。 |
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(Up&Coming '21 春の号掲載) |
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