東京都品川区にオフィスを構える菊永宏司さんは、専門学校時代から使い続けているというShade3Dを駆使して、店舗、内装、プロダクト、展示会、イベント等のイメージを伝える数多くの3Dパース作成に携わってきました。
菊永さんが専門学校に在籍していた二十数年前は、業務でも学校で教えられるカリキュラムにおいても、まだ手描きによるパース作成が主流の時代でした。そこで恩師の自宅に他の学生たちと招かれた際に、初めてShadeに触れたといいます。「当時、CGソフトは他にもいくつかありましたが、Shadeは国産ソフトなのでインターフェースがすべて日本語であり、学生にとっては機能や操作の概念も非常に親しみやすく感じました」。
学校ではプロダクトデザインを専攻し、卒業制作はShade3Dでモデリングを行った「未来の車椅子」を発表したという菊永さん。この時以降現在に至るまで、Shade3Dは業務に欠かせないツールとなっています。
卒業後の進路として選んだ時計・宝飾のインテリア会社でも、ドラフターによる製図と手描きパースのみという状況の中で、「唯一Shade3Dが使いこなせたので、入社後すぐにハイスペックなMacのパソコンを支給されて、業務におけるパース制作を一手に引き受けていました」。その後、飲食店デザイン事務所、住宅リフォーム会社、展示会ブースを専門にデザインする会社などで空間デザインの経験を積み、フリーとして独立した菊永さんは、会社勤務時代の顧客から依頼された展示会パースを中心に、様々な分野の業務を手掛けるようになります。
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▲展示会ブースのデザインではマニピュレータによるサイズ調整機能が効率的な作業に役立っている |
「Shade3Dはモデリング作業のしやすさが魅力。建築CGでいえば、壁・柱・窓・ドアなど、大概のものは容易に作成できます。特に、自由曲面の使いやすさが優れていて、四角や円の掃引体の組み合わせでほぼ描けてしまいます」。その他、三面図の機能やテクスチャ設定のしやすさ、カメラの操作性のよさなども気に入っているといいます。「作成機会の多い展示会ブースの図面を立ち上げる際は、ショートカットキーひとつでマニピュレータに切り替わり、図面上の数値のクリックで壁面の高さ・大きさの調整が行える機能を重宝しています」。
パース作成を得意としている菊永さんは、CADソフトで描いた平面図をDXFでShade3Dに読み込んでモデリングを行い、概ね1日、長くても3営業日で仕上げることができているといいます。「自分が最も好きなのはイベントのパース作成で、エンターテイメント性やワクワク感が伝わるような作品づくりを心掛けていますが、Shade3Dの使い勝手のよさと表現力がそこで大きく役立っています」。
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▲既存店舗の庭にプールと休憩スペースを新たに設ける計画と(写真左・中)、東京都港区の商業施設で開催された「スノードームでお茶会を楽しむ」イベント(右)。こういった3Dパースは、CADソフトの平面図をShade3Dに読み込んでモデリングを行い、長くても3営業日程度で仕上げている |
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