未来を可視化する
長谷川章のアート眼
vol.15

長谷川 章(はせがわ あきら)氏
中国中央電視台CCTVのステーションロゴを始めNHKのオリンピックオープニング(1996)、ニュースタイトル、TV-CMなど数千本の制作してきた長谷川章が、日本人の持つ無常の精神から空間・環境のアーティスティックなソリューションであるデジタル掛軸を発明し今日のプロジェクションマッピングの創始者となった。

 Akira Hasegawa

デジタルアーティスト長谷川章が淡路島デジタル掛け軸
「目を開けて、夢を見る」に思う。

発端

鳴門大橋、明石海峡大橋の2つの橋で、四国、本州とつながる兵庫県淡路島。
透き通る青い海と、みどり豊かな山々。
夕暮れには海に沈みゆく夕陽を眺め、夜には満天の星空を見上げる――
淡路島は、美しい自然に溢れた豊かな島です。

「淡路島の魅力を国内外に発信し、世界とつなげていく」

南部代表が提案する、その雄大な構想に胸が踊り、代表と最初に出会ったとき、私は叫びました。

「淡路島、全部を光らせましょう!」

こうして、淡路島デジタル掛け軸「目を開けて、夢を見る」のプロジェクトがスタートしたのです。

はじまりのD-Kインストール

そしてこの度、その始まりとして、「のじまスコーラ」、「Ocean Terrace」、「ハチミツcafe miele」「青海波」
などを始めとした六ケ所に、デジタル掛け軸と最新ARTアプリケーション「ミステリーサークルD-K」をインストールすることになりました。

西側シーサイドエリア全体を一帯として捉えた、かつてなかったほどの巨大スケールの環境アートが、ここに展開されます。

デジタル掛け軸は、百万枚を越えるデジタル画像から生成される、一度限りの色彩のシンフォニーです。
集う人たちは、そこに「一期一会」の出会いの瞬間を体験するでしょう。

そして、最新のアプリケーション「ミステリーサークルD-K」は、光で彩られた館同士をつなぐ、言わば導き役であり、シンフォニーの間をつなぐ音符のような役割を果たします。
人々は、サークルとの小さな出会いを繰り返しながら、ふたたび巨大なD-Kとの出会いにいざなわれるでしょう。

「目を開けて、夢を見る」

夢は、私たちの記憶が生み出したものです。
自分で創り出した実体のないものなのに、夢はリアルであり、鮮明であり、ときに感動することもあり、ときに恐怖に震えることもあります。

デジタル掛け軸も、夢と同じです。
デジタル掛け軸は何かを表現したものではなく、移ろう体験そのものであり、そこに実体はありません。
そこに何を見るかは、すべて見る人に委ねられています。
デジタル掛け軸に雄大な自然を見る人、穏やかな感情を見る人、星空を見る人、木々を見る人、人それぞれに見るものは違います。

つまり、デジタル掛け軸とは「目を開けて見る夢」なのです。

現在、世界が、過去に体験したことのないような状況になっています。
ですが、それは夢と同じです。
私たちが恐怖をもって世界を見れば、世界は恐怖に満ち溢れたものになります。
逆に、私たちが平和を胸に世界を見れば、世界は平和なものとして映るのです。

デジタル掛け軸がもたらす気づきは、このような世界だからこそ、より先鋭なものとなるでしょう。

P.S. サポートにFORUM8、最先端表現技術利用推進協会




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(Up&Coming '22 春の号掲載)

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