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                      | 神山へ |  | 徳島県神山町は、県央の山間部に位置する人口5400人の小さな町であるが、アダプト・プログラム(市民と行政による協働事業)を全国初で導入するなど、先駆的な取り組みで知られる。近年では、光ファイバーを用いた高速通信網の整備を契機として、都会から多くのIT企業がサテライトオフィスを町内に構えており、新しい働き方・暮らし方を発信している【図1】。 2018年11月に「4K・VR徳島映画祭2018」が開催された。この映画祭は、日本でたったひとつの4K・8K・VR映像に特化したイベントで、数多くの4K・8K・VR映像作品の上映や、最先端技術動向に関するセミナー、トークセッションが旧広野小学校を会場として行われた【図2】。筆者自身は、VR/MR(人工現実/複合現実)の取り組みなどを紹介させて頂くことになった。主催者側のスタッフ用の法被を着てプレゼンすることになったのだが、法被を着るとなぜか気分が盛り上がる。中々楽しい経験となった【図3】。 |  
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                              | 1 えんがわオフィス | 2 旧広野小学校 |  |  | 校内には、地元のカフェや雑貨屋さんが露店を並べており、祭りの縁日のようでありながら、お洒落な感じ【図4】。 夜は、Week神山にある築70年の古民家を再生した「地野食堂」で交流会【図5】。道中、真っ暗で、星が綺麗に見えた。3日間で5000名を超える方々が訪問されたそうだ。 |  
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                              | 3 プレゼン衣装 | 4 フード&ドリンク/ 雑貨コーナー | 5 地野食堂 |  |  
 
 雨乞の滝神山温泉から電動自転車を借りて雨乞の滝へ向かう。滝の駐車場まで約5kmの道のりだが、標高差
130mを上ることになり、バッテリーは程なく点滅し始めた。坂道沿いに築かれた美しい石垣を眺めながら深呼吸【図12】。 
                
        
          
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                      | 12 石垣 |  自転車を駐車場に止めて、そこから川沿いの山道を800m(標高差180m)歩いて登る【図13】。直線状の結構な急坂で息がすぐに上がる。道中、うぐいす滝、不動滝、もみじ滝、観音滝などに出会うたびにホッとした。 雨乞の滝の手前につくと、大きな岩壁が立ちはだかり、滝はすぐには見えない。そして、その岩を超えると、滝がひとつ見えた。実は、雨乞の滝について大して予習してきておらず、パンフレットで見ていた滝はひとつしか写っておらず、ここまでの険しい急坂を上ってきてこれなのか、意外に大したことないのでは、と感じてしまった。 しかし、視線を右に移してみると、今、眺めた滝よりもはるかに上の方から、豊富な水量の滝が3段に渡って落ちていた。先ほど少しがっかりしたこともあって、感動はより大きくなった【図14】。 後で調べてみると、最初の滝は雄滝(落差27m)、後の滝が雌滝(45m)。夫婦滝の場合、雄滝の方が立派だったりするのだが、雨乞の滝は雌滝の方がメイン。それも、大きな岩壁の屏風に身を隠しているとは、自然が作りだした、見事な空間演出であった。 
                
        
          
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                      | 13 雨乞の滝駐輪場 | 14 雨乞の滝: 雄滝と雌滝 |  
 
        
                    					
                      | クラフトビールバッテリーがすっかり切れたレンタサイクルを神山温泉で返す。ブルワリーが近くにあることを教えてもらい、川沿いを歩いて尋ねてみた。2018年夏にオープンしたての、KAMIYAMA BEERである。実は前夜の交流会でも瓶ビールに出会っていたが、ブルワリーでは生ビールをオーナー直々に入れてもらえた。季節限定の黒ビールCINDERELLAなどを【図15】。2階のバルコニーから眺める山々と棚田がそよ風とともに気持ちいい。 案山子雨乞いの滝の道中、民家の縁側にオジサンが座っていた【図16】。帽子とメガネとマスクをかけており、気になってしばらく眺めていても、全く動いていない。たぶん、昨夜の交流会で話題になっていた、案山子(かかし)なのだろう(近づいて確認までしていないので、もしかしたら、本物のオジサンだったのかもしれないのだが)。それにしても、よくできていた。 VRとはコンピュータを使ってあたかも本物のような世界を作り出す技術である。案山子は普通、コンピュータを使用せず、ロボットのように動くことはしないものの、本物の人間と見間違えてしまうその存在は、VRアバタと呼んでもいいかもしれない。少なくとも害獣にとっては、そうである。 神山から去る時には、案山子の大群にも出会った【図17】。こちらは、ネットにも紹介されているほどで、有名らしい。表情もかわいらしい。ただ、真っ暗な夜中にいきなり出会うと、ぞっとするかもしれない。 |  |  | 
                        
                          
                            
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                              | 16 案山子? | 17 活動している案山子 |  |  
        
                    					
                      | 案山子はそもそも、鳥などの害獣を追い払うために、田んぼや畑の中に設置する人形であるが、今回出会った案山子は、芸術作品であり、本来とは異なる役割を務めている。本来の役割や意味とは異なる使われ方が主流となった例は、他にもないだろうか。 絵文字はそのひとつかもしれない。絵文字は、日本で発明されたものだが、既に、世界中の人々に使われており、英語でも「EMOJI」という単語が作られている。 以前、外国の友人と「EMOJI」の話題になり、私の方から「絵文字のE は何の意味か、ご存知ですか?」と尋ねたところ、「Emotion」だと答えられた。「感情」という意味を表す単語である。友人には、実は、「EMOJI」の「E(エ)」は、英語で「picture」のことで、だから、「EMOJI」は絵で表された文字のことなんですよ、とお伝えした。そう話しながらも、Emotionの方が、ひょっとしたら、世界中の人々には伝わりやすいのかも、と思えてきたのである。 |   |  |