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サポートトピックス・FEM / Engineer's Studio® | |||
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道路橋では、直接積分法による動的解析を実施する際にRayleigh型の粘性減衰モデルがよく用いられます。Rayleigh減衰は、対象とする橋の振動において卓越する2つの固有振動モードに関する固有周期とモード減衰定数より決定されます。 最初に固有値解析を行い、その結果得られた各モードの固有周期と各モードのモード減衰定数を求めておきます。次に、2つのモードを選びます。その際に、なるべく卓越するモードを選びます。卓越するかどうかは、刺激係数や有効質量比が大きいかどうかを指標とします。ただし、選び方によっては、負減衰となる(具体的にはRayleigh減衰の係数α、βが負となる)場合がありますので、負減衰とならないようにモードを選択する必要があります。 ここでは、標準的なモードの選び方を紹介いたします。 例として対象橋梁を5径間連続鋼I桁(橋長200m)の橋軸方向とし、支承条件は全基弾性支持です(図1)。 固有値解析の結果 固有値解析の結果を下表に示します。卓越しているモードを全体X軸方向の有効質量比で判断すると、1次と8次です(表中の黄色部分)。 モード形状 1次と8次のモード形状を確認します。ポイントは、局所的に振動しているモードではなく、橋梁全体が揺れていることをチェックすることです。 1次のモードを図2に示します。上部構造の揺れに伴い、各下部構造も同じ方向に揺れていることがわかります。 8次のモードを図3に示します。上部構造の揺れは少ないですが、各橋脚が揺れている様子がわかります。 ちなみに、有効質量比が3番目に大きい22次のモード図を図4に示します。端部の下部構造(橋台)のみが揺れています。有効質量比が比較的大きいので採用可能ですが、ここでは、全体的な揺れという観点から8次のモードを採用します。 Raleigh減衰の設定 1次と8次のモードより、Rayleigh減衰の係数は、α=0.25207及びβ=0.00905と算出されました。この係数によるRayleigh減衰曲線を図5に示します。 まとめ 標準的なRayleigh減衰の設定方法をまとめると、[1]有効質量比の大きいモードを選ぶ、[2]橋全体が揺れるモードを選ぶ、[3]αとβが負にならないように注意する、の3点です。 |
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(Up&Coming '21 新年号掲載) | |||||
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