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「荷重を質量へ変換」の仕組みと確認方法

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ユーザ定義した荷重を質量へ変換する機能を説明します。

例えば、ユーザ定義する荷重を図1と図2のように載荷します。具体的には、図1に示すように、10個の節点に鉛直下方斜め45度方向へ1705.8kNを与えるために(この数字は質量が123tになるように逆算したものです)、荷重タイプを「節点-集中荷重」で与え、鉛直下方斜め45度方向をベクトル指定(X,Y,Z)=(1,-1,0)で定義しています。


図1 ユーザ定義の節点集中荷重図

図2 ユーザ定義の節点集中荷重入力

次に、荷重を質量へ変換する設定を行います。図3のように、ナビゲーション「荷重|質量一覧|荷重を質量へ変換」をクリックして設定画面を呼び出します。呼び出された画面で、変換対象にチェックを入れて、ベクトル指定を(X,Y,Z)=(0,-1,0)とします。
これにより、図1で載荷した斜め45度の荷重の鉛直成分が質量になります。具体的には重力加速度をg=9.80665[m/s2]として、以下のように変換されます。



この値を確認するには、ナビゲーション「荷重|質量一覧|動的質量照会」の項目「節点|荷重ケースから算出」で確認できます(図4)。
仮に、図1で載荷した斜め45度の荷重の水平成分を質量としたい場合は、ナビゲーション「荷重|質量一覧|荷重を質量へ変換」をクリックして呼び出される設定画面のベクトル指定を(X,Y,Z)=(1,0,0)とします。結果は上記と同じ123.0[t]です。


図3 荷重を質量へ変換

ここでは、説明のために斜めの荷重を例としましたが、通常は鉛直下方に載荷したユーザ定義荷重の鉛直成分を指定すればよいです。つまり、ナビゲーション「荷重|質量一覧|荷重を質量へ変換」をクリックして呼び出される設定画面のベクトル指定を(X,Y,Z)=(0,-1,0)とします。
注意点は、鉛直下方に載荷したユーザ定義荷重の鉛直下方成分を指定する必要があることです。もし仮に、鉛直下方に載荷したユーザ定義荷重の鉛直上方成分を指定すると、つまり、ナビゲーション「荷重|質量一覧|荷重を質量へ変換」をクリックして呼び出される設定画面のベクトル指定を(X,Y,Z)=(0,+1,0)とすると、負の質量が算出されます。負の質量は不安定構造エラーになる原因になりますので注意が必要です。


図4 動的質量照会

「動的質量照会」(図4)の見方を説明します。

A部は、荷重が質量に変換された対象となる節点名称です。

B部は、各節点での質量の値です。並進3成分(Mx',My',Mz')の値です。このように、変換された質量は並進3成分に同じ値が与えられます。個別に変更することはできません。

C部は、ユーザ定義した荷重が質量に変換された総質量です。この例では、10個の節点に質量が生成されましたので、10個分の合計値が表示されます。



(Up&Coming '25 新年号掲載)

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