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平板要素の法線軸回りと不安定エラーの関係

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平板要素の法線方向にフレーム要素が接続しているモデルについて考察します。平板要素の面内モデルには、「アイソパラメトリック」と「ロング」の2種類があります。

「アイソパラメトリック」と法線軸回りが自由の場合(不安定)

これを計算すると、図1のように「Solverエラー」が生じます。原因は、平板要素の節点が法線軸回りに自由なので、フレーム要素が軸回りにぐるぐると回転してしまう不安定構造になるからです。なお、解析条件は線形弾性です。


図1 「アイソパラメトリック」と法線軸回りが自由の場合(不安定)

「アイソパラメトリック」と法線軸回りが固定の場合(安定)

図2のように、平板要素の節点を法線軸回りに固定すると(そのために支点を設置する)、フレーム要素が軸回りに回転しないので安定構造になります。なお、解析条件は線形弾性です。


図2 「アイソパラメトリック」と法線軸回りが固定の場合(安定)

「アイソパラメトリック」と法線軸回りが自由でも計算できてしまう場合(不安定)

図3のように、ナビゲーション「モデル特性|解析設定」において材料特性を「非線形」に変更すると、計算できてしまいます。一見すると安定しているようにみえますが、不安定構造に変わりはありません。非線形計算では収束基準を設けて計算しますので、収束基準内に入っていれば収束したとみなされます。したがって、完全に力の釣り合いがとれているわけではありません。その結果、誤差が発生します。数値計算誤差によって不安定構造が偶然計算できてしまうことがあります。

これを検出するためには、非線形計算を行う前に、一旦線形弾性解析を行って不安定構造のエラーが発生しないかどうかを確認することが重要です。


図3 「アイソパラメトリック」と法線軸回りが自由かつ非線形解析の場合

「ロング」と法線軸回りが自由の場合(安定)

Ver 11.1で追加された平板要素の面内モデル「ロング」は、法線軸回りに剛性を持ちます。そのため、図2のような回転しないことを目的とする支点の設定は不要です。図3のように、安定構造として計算されます。「ロング」は三角形一次要素と四角形一次要素に対して適用可能です。なお、ここでの解析条件は線形弾性です。


図4 「ロング」と法線軸回りが自由の場合(安定)

(Up&Coming '24 秋の号掲載)

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