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Vol.40
Shade3D
体験セミナー
IT活用による建設産業の成長戦略を追求する
「建設ITジャーナリスト」家入 龍太
イエイリ・ラボ体験レポート
建設ITジャーナリスト家入龍太氏が参加するFORUM8体験セミナー有償セミナーの体験レポート
【イエイリ・ラボ 家入龍太 プロフィール】
BIMやi-Construction、IoTなどの導入により、生産性向上、地球環境保全、国際化といった建設業が抱える経営課題を解決するための情報を「一歩先の視点」で発信し続ける建設ITジャーナリスト。「年中無休・24時間受付」をモットーに建設・IT・経営に関する記事の執筆や講演、コンサルティングなどを行っている。
公式ブログはhttp://ieiri-lab.jp

建設ITジャーナリスト家入龍太氏が参加するFORUM8体験セミナーのレポート。
新製品をはじめ、各種UC-1技術セミナーについてご紹介します。製品概要・特長、体験内容、事例・活用例、イエイリコメントと提案、製品の今後の展望などをお届けしています。

はじめに

建設ITジャーナリストの家入龍太です。フォーラムエイトは昨年の8月29日、あっと驚くようなニュースリリースを発表しました。ナント、あの有名な3Dデザインソフト「Shade3D」を開発・販売する株式会社Shade3Dの全株式を取得し、グループ会社化したというのです。

Shade3Dは1986年に製品化された統合型3Dコンテンツ制作ソフトで、モデリングからレンダリング、アニメーション、さらには3Dプリンターによる造形まで、このソフト1本で作業が完結します。

メガネやイスなどのプロダクトデザインから、建物のCGパースやインテリアデザインなどの建築設計、さらには街並みなどの景観デザインまで、幅広い分野で使われています。こうした利便性から、2014年には国内外のアクティブユーザー数が19万人もいることが公表されました。

フォーラムエイトではShade3D社をグループ化することにより、国際的に使われている3DVRシミュレーションソフト「UC-win/Road」とShade3Dのユーザーをベースとして、国際展開をさらに強化していく方針です。


製品概要・特長

30年以上の歴史を持つShade3Dは複雑な曲面からなる立体形状を自由自在に3Dモデル化できる柔軟性を持つ一方、2018年11月29日に発売された最新版の「Shade3D Ver.19」では、高精度が求められる3次元CADとしての機能も搭載しています。CG(コンピューターグラフィックス)からエンジニアリング分野での活用まで、幅広く対応できるのが特長です。日本語版のほか英語版と中国語版も同時にリリースされます。

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▲Shade3Dによって作成したCGの例
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▲フォーラムエイト 代表取締役社長 伊藤裕二氏(左)と
  株式会社Shade3D 代表取締役 笹渕正直氏(右)

3次元CAD機能としてはモデリングのほか干渉チェックやパーツの位置合わせなどの「アセンブリ機能」や、単一または複数のオブジェクトを選択して体積や表面積、重心などを求める「測定機能」があります。そして、STEPやIGES型式のファイルによって、他の3次元CADソフトとデータ交換することができます。

高品質なCGによるプレゼンテーションができるとともに、高機能の3次元CADソフトとしての性格を兼ね備えたShade3Dは、3D関連の業務をワンストップで行える異色のソフトと言えるでしょう。そのため、一般社団法人コンピュータ教育振興協会(以下、ACSP)が実施しているCAD利用技術者試験1級の推奨ソフトとなっています。

歴史の長くユーザーが多いソフトのため、ユーザー同士やShade3D社スタッフとの交流も活発です。Shade3Dの公式ウェブサイトにはShade3Dフォーラムという掲示板が設けられています。

「ユーザーフォーラム」「投稿ギャラリー」「開発フォーラム」という3つのコーナーがあり、ソフトの使い方についての質問を投稿するとベテランユーザーが答えてくれたり、Shade3Dで作ったCGを公開したり、機能拡張のためのプラグインやスクリプトについて、意見や情報を交換したりすることができます。

こうした機能を備えたソフトでありながら、リーズナブルなサブスクリプション価格で利用できるのも特長です。例えば入門者向けの「Shade3D Basic Ver.19」は19,800円(1年目の税別価格。以下同じ)、標準的な「Shade3D Standard Ver.19」は48,000円、プロ向けの「Shade3D Professional Ver.19」は98,000円です。

2年目からはStandardが23,000円、Professionalが26,000円と、さらに安い価格で最新版が使えます。


体験内容

2018年11月27日、フォーラムエイト東京本社で「Shade3D体験セミナー」が開催されました。講師を務めたのはShade3D社の中田衣都香さんです。人気ソフトのセミナーだけあって、東京の会場には十数名ものユーザーが詰めかけました。このほか札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡、沖縄の各会場にもテレビ会議システムで生中継され、合計約40人が参加しました。

この日の内容は、Shade3Dの概要や基本的なモデリング機能を理解した後、参加者自身がパソコンでShade3Dを操作しながらロボットを実際にモデリングするというものです。そしてロボットの腕が動くようにジョイントを設定したり、色をつけたりした後、UC-win/Roadで作成した公園内で、ロボットを歩かせるという他ソフトとの連携まで行いました。

1時半に始まったセミナーでは、まずShade3Dの概要について学びました。3DCGを作成するために、モデリングからライティング、表面材質の設定、レンダリング、さらにはアニメーション作成までを1本にまとめた「オールインワン」のソフトであること、建築パースやイベントスペースの設計から、商品開発やキャラクターの作成、さらには3Dプリンター用の造形データも作れることなどをざっくり理解しました。

▲2018年11月27日に開催された「Shade3D体験セミナー」は大盛況。
  フォーラムエイト東京本社セミナールームにて

続いて、Shade3Dの主な機能やメニュー画面の理解です。作成モードには「3DCG」と「CAD」があり、切り替えて使います。前者はCGの作成を行うための形状や光源、カメラ、ジョイントなどのツール、後者にはCADに適したNURBS形状の作成を行うツールがセットになっています。

画面はBIMソフトのように、3Dモデルと上面図、正面図、側面図に分けて、いろいろな角度から見ながらモデリングを行えるようになっています。このとき「三次元カーソル」という面白いツールがあり、2Dと違って上下左右のほかに「上下前後」に動かしながらモデリングしていきます。

3DCGモードでは「閉じた線形状」と「開いた線形状」や長方形や円といった2D図形と、立方体や級、四角錐、円柱などの3D図形を作ることができます。CADモードでも同様に2D図形と3D図形が作れますが、正確な数値による寸法入力が行える点が違います。

Shade3Dでは4つの形状データ形式があり、使い分けることでデータ量を削減できます。例えば、同じ「球」でもデータ量が最小の「一般」、線形上の集合体からなる「自由曲面」、頂点、稜線、面からなる「ポリゴンメッシュ」、そしてCADモードで正確な数値によって作成する「NURBS」があり、必要な精度によって使い分けます。

基本的な機能やメニューを理解したところで、NURBS形状を使ってロボットを作っていきます。指定した数値通りにモデリングを行うために「CADモード」に切り替えて作業しました。入力する数値が同じであれば、誰もがテキスト通りに同じロボットを完成させられるはずです。作り方は、基本的な3D図形を作り、これらを積み木のように重ねていく方法です。

まずは半球のような頭の部分を作ります。これは大根のイチョウ切りのような扇形の図形を360°旋回するようにモデリングしました。ツールボックスにあらかじめ用意されている「扇」を選択した後、カーソルを正面図上で右方向にドラッグし、続いて上方向にドラッグすることで扇形の横と高さが決まります。このとき、ドラッグする距離は「300mm」としました。

そしてツールボックスから「回転」を選択し、扇形の上で回転軸をマウスで指定するとドーム形の3Dモデルができました。このとき、頭の3Dモデルを座標入力によって空間内の正確な位置に置いておきます。

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▲これから作成するロボットの3Dモデル
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▲ツールボックスから扇を選択 ▲扇形を回転させると頭部の
  3Dモデルが完成

続いてロボットの顔の部分を円柱の3Dモデルで作ります。ツールボックスから「円柱」を選んだ後、画面上で半径方向にドラッグし、続いて高さ方向にドラッグするだけであっという間にモデリングできました。この顔の部分を先ほど作った頭部の下につながるように、数値入力で位置を指定します。

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▲ツールボックスで「円柱」を選ぶ ▲正面図に表示された頭部の下で円柱を
  高さ方向にドラッグ
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▲すると顔の部分ができあがった

このように基本的な2D図形や3D図形を回転させたり、引き伸ばしたりしながら、ロボットの部品を作り、順次、接続していくという作業を繰り返していきます。

目の部分は球、首は円柱、胴体は直方体を「面取り」したもの、さらに胴体下部をロフト(円錐の一部を切り取ったもの)、といった具合につないでいくとだんだんロボットらしくなってきました。

この後、細部のモデリングに移ります。肩を球で作り、腕は薬の容器を思わせる「カプセル」、マジックハンドを思わせる手先はドーナツ形の「トーラス」を一部、切断して作ります。いろいろな作り方ができそうですが、ツールボックスから最適な基本図形を選んで、最も少ない加工をしながら3Dモデルのパーツを作っていくのがポイントのようでした。

ここまで作ってきましたが、肩、腕、手先はバラバラの形状が空中に浮いている状態です。そこでこれらを一つのパーツとしてまとめます。すると一体化して腕として扱うことができるようになります。

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▲だんだんロボットらしくなってきた
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▲ドーナツ形のトーラスに厚板を重ね、削除するとブール演算によって手先が切り取られる

ロボットの形ができたところで、今度はCGを作るためのレンダリング作業に移ります。ロボットの各部に質感や色をつけていくために「表面材質」ウィンドウを使います。

着色が済んだら、背景や光源、カメラの設定をして、レンダリングを行います。Shade3Dにはレイトレーシングやパストレーシングなど、様々な方式によってレンダリングが行えます。

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▲表面材質ウィンドウでロボットの各部に着色 ▲レンダリングによって作成したCG

Shade3Dの特長は、ジョイント(関節)を使ってロボットのいろいろな部分を動かし、アニメーションを作れることです。セミナーでは肩の部分にジョイントを入れて、腕を上げられるようにしました。

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▲肩の部分にジョイントを入れ、腕を動かす

そして最後はShade3Dで作成したロボットの3Dモデルを「FBX」形式で書き出し、それをUC-win/Roadに読み込んで公園内を歩行者に混じって散歩するロボットのアニメーションを作り、セミナーは修了しました。

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▲UC-win/Roadで作った公園内を散歩するロボット

イエイリコメントと提案

建設業界では3Dモデルで建物や土木構造物を設計・施工するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)や、国土交通省の「i-Construction」など、これまでの2D図面に代わって、3Dモデルによって建物などの形を表現する機会が増えています。

これまで、3Dによるデザインは、一部の専門家によって行われてきましたが、これからは設計者はもちろん、施工管理者や維持管理者を含めた建設関係者全員が2次元CADと同じように、3Dモデリングのスキルを身につけるべき時代になってきました。

Shade3Dは、これまで3Dモデリングの経験がなかった人でも気軽に使い始めることができ、しかも3DCADとしての精度も高いソフトです。3Dモデリングの練習を行いながら実務に使い、さらには本格的なBIM/CIMソフトとの連携といった本格的な活用まで、ユーザーの技術レベルに応じた使い方ができます。

UC-win/Roadをはじめとするフォーラムエイトの製品群にShade3Dが加わったことで、3Dによる設計やシミュレーションはさらに柔軟性が高まり、建物や構造物から人物、動植物まで幅広いものを対象にしていけるようになったと言えるでしょう。



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