「CAD脳」のデザイナーによる3DCG制作へのチャレンジを支援
実務経験を通じそのメリットに注目、Shade3Dを用いた教育に力 |
「頭の中で考えていることをスケッチするような感じで、いろいろ弄りながらモノを考えていく」。藁谷美紀さんはこう3DCGソフトの醍醐味に触れ、「きれいなパースを作るためにこつこつと(データを)入れるというよりも、作りながらいろいろな発見をしていくことが大事で、楽しい」と言及。それをやりやすいソフトがShade3D、と位置づけます。
実際、自身が指導する学生らは少し説明するだけでShade3Dを使って自発的に面白い形状を描き始めると言います。「ですから先ずは、その感覚の良さを体験してもらい、分からなかったらうちに来ていただければ(笑)」藁谷さんのShade3D(当時は「Shade」)デビューは、河村容治氏から建築・インテリア分野におけるShade利用のメリットを説かれたのがきっかけです。
CADによる3Dモデリングに着実に精通してきていた中で、それでもなお曲面の描出には難航。そのような折、「卵型のキッチンをモデリングして欲しい」との依頼に対しそれまでのCADでは制約があり、以前から業界仲間の間でその良さが知られていたこともあって、曲線や曲面を作りやすいソフトと評判のShadeを使い始めるに至っています。 その後、武蔵美でのShadeの授業および書籍執筆のアシスタントを務めつつ、自ら率先してShadeのスキルを向上。CADでは数値化する必要があった曲面の3D表現も、感覚的で効率的な操作性を実感。また、光源をはじめとするライティング、あるいはテクスチャなどをパラメータで設定して得られるレンダリング機能により、イメージに近い質感表現も可能、とShadeの優れた特性の一端を述べます。 一方、3DCGソフトとして低価格でありながら、その表現力に評価の高いShade3Dを購入。にもかかわらず、CADを使い慣れたデザイナーには操作が難しく感じられ、「宝の持ち腐れ」になっているケースも少なくないことに注目。実際にはShade3Dもバージョンアップを重ねる中で数値入力機能などが強化。自身が「CAD脳」と称する前述のような人々にも使いやすい状況が整ってきており、そのことを周知すべく書籍化を着想。2018年9月に「Shade3D 建築&インテリア 実践モデリング講座」(技術評論社)を上梓しています。併せて、アイプラフでは利用者の都合に応じマンツーマンで対応する「プライベートセミナー」を用意。Shade3Dに関しても、基本的な操作方法から業務上必要なCG作成まで指導するサービスを提供しています。 |
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Aiprah 著
「Shade3D 建築&インテリア
実践モデリング講座」 |
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「インテリアデザインの分野で3DCGは、パース作成に使われることが多いのですが、それだけで終わらせない使い方も提案したい」。藁谷さんはShade3Dで作成するデータの付加価値化や有効活用の可能性を模索。そのような一環として、「今非常に興味を持っている」というVRを活用したインテリアデザイン向け教材を開発すべく検討中と言います。「従来の、画面や紙を通じて見るものから、VRのような環境の中で「体験」をし、いろいろな経験知を増やしていけるようなCGの使い方を今後、さらに考えていきたいと思っています」
(執筆:池野隆)
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▲20分で作る作例 |
▲一軒家の作例(外観・内観の作成) |
書籍では20分でShade3Dの一通りの操作を体験する作例から一軒家を作成する作例まで幅広く紹介しています |
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▲20分で作る作例 |
▲一軒家の作例(外観・内観の作成) |
同じデータでも光源の設定を変えることで昼と夜の空間を表現できます |
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