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Vol.6
サーバアプリケーション

UC-1 for SaaS
IT活用による建設産業の成長戦略を追求する「建設ITジャーナリスト」家入龍太
イエイリ・ラボ・体験レポート

建設ITジャーナリスト家入龍太氏が参加するFORUM8体験セミナー有償セミナーを体験レポート

建設ITジャーナリスト家入龍太氏が参加するFORUM8体験セミナーの体験レポート。
新製品をはじめ、各種UC-1技術セミナーについてご紹介します。
製品概要・特長、体験内容、事例・活用例、イエイリコメントと提案、製品の今後の展望の内容など、全12回にわたってお届けする予定です。

【プロフィール】
BIMや3次元CAD、情報化施工などの導入により、生産性向上、地球環境保全、国際化といった建設業が抱える経営課題を解決するための情報を「一歩先の視点」で発信し続ける建設ITジャーナリスト。日経BP社の建設サイト「ケンプラッツ」の人気コーナー「イエイリ建設ITラボ」を連載。「年中無休・24時間受付」をモットーに建設・IT・経営に関する記事の執筆や講演、コンサルティングなどを行っている。公式ブログはhttp://ieiri-lab.jp




●はじめに
 建設ITジャーナリストの家入龍太です。フォーラムエイトのホームページにある新着情報「What's New」のコーナーを見ると、最近「SaaS」関連のニュースがどんどん発信されていることが分かります。SaaSとは、簡単に言うといろいろなソフトをインターネット上のサーバにインストールし、ユーザーがウェブブラウザを通じて利用できるようにしたサービスのことです。英語では「Software as a Service」と言い、それを省略して「SaaS」と呼んでいます。
 フォーラムエイトは、プログラムをSaaS化する技術にかけてはパイオニア的存在です。SaaSで提供しているソフトとしては、今回、ご紹介する任意形平面骨組の面内解析プログラム「UC-1 for SaaS FRAME(面内)」や鉄筋コンクリート断面計算プログラム「UC-1 for SaaS RC断面計算」があります。
 このほか、バーチャルリアリティーソフト「UC-win/Road for SaaS」や顧客管理や見積・受注、売上集計・分析などの機能を持った「UC-1 for SaaS 事務処理機能」、会議室予約やスケジュール管理、文書管理の機能を持った「グループウエアサポートシステム」などもあります。
 これらのソフトが、ユーザーのパソコンにインストールして使う一般のソフトと違う点は、フォーラムエイトの強力なサーバを使って計算することです。ユーザーはウェブブラウザを使ってサーバを“遠隔操作”しているわけです。

 
▲SaaS版の任意形平面骨組の面内解析プログラム 「UC-1 for SaaS FRAME(面内)」   ▲フォーラムエイト東京本社で開催された
「UC-1 for SaaS FRAME-RC断面体験セミナー」


●製品概要・特長
 SaaS版の「UC-1 for SaaS FRAME(面内)」や「UC-1 for SaaS RC断面計算」は、それぞれユーザーがパソコンにインストールして使う「UC-1 FRAME(面内)」や「UC-1 RC断面計算」が基になっています。
 両ソフトのSaaS版とパソコン版の機能は、対応データ形式やショートカットキーなどが若干、違いますが計算機能は全く同じです。ウェブブラウザを通して使うSaaS版は、かなり機能が制限されてしまうのではないかと思っていましたが、大きな誤解でした。
 SaaS版のメリットはまず、いつでも最新のプログラムを使えることです。また、1カ月単位の契約なので、たまにしか使わないプログラムでも、最小限の投資で済みます。例えば、「UC-1 FRAME(面内)」はパソコン版を購入すると20万円(税別)なのに対し、SaaS版は1カ月9500円(同)で使えます。
 SaaSの隠れたメリットとしては、高機能のハードウエアが使えることもあります。高速の計算能力や大きなメモリーが必要な計算でも、最新のサーバ側が処理してくれるので、ユーザー側はハイスペックなパソコンを持つ必要がありません。
 最近、あるスーパーゼネコンが流体解析をクラウドコンピューティング化し、それまで使っていたスーパーコンピュータを廃止したというニュースがありました。最新のハードを使うためにSaaSを利用するユーザーも増えているようです。

 
▲「UC-1 for SaaS」の概念図。
プログラムの計算はフォーラムエイトのサーバーで行われる
  ▲ウェブブラウザの画面に表示された「UC-1 for SaaS FRAME(面内)」の荷重分布図。
機能はWindows版ソフトと同等だ

●体験内容
 SaaS版ソフトを題材にした「UC-1 for SaaS FRAME-RC断面体験セミナー」が、1月14日の午後、フォーラムエイト東京本社で開催されました。講師を務めるのはフォーラムエイトシステム開発グループの満山裕二さんです。大阪や名古屋の会場ともテレビ会議システムでつなぎ、お互いの会場の様子が映像や音声でやりとりできるようになっていました。他会場からも質疑応答できます。この日のカリキュラムは、「UC-1 for SaaS FRAME(面内)」と「UC-1 for SaaS RC断面計算」の概要説明と各ソフトの機能説明、そして実際に1人1台のパソコン使った操作体験です。所要時間は約3時間でした。
 製品概要の説明では、フォーラムエイトのSaaSの歴史が紹介されました。なんと、1999年11月にソフト業界に先駆けて自動アップデートに対応したのです。2004年にはSaaSに似た「ASPサービス」を開始し、2009年には、バーチャルリアリティーソフト「UC-win/Road」をインターネットで共有するプラグインを開発しました。そして、2010年に「UC-1 for SaaS」がリリースされたのです。
 「UC-1 for SaaS FRAME(面内)」の操作実習では、幅10.5m、高さ4.5mの2連ボックスカルバートを題材に、上載荷重や土圧、地盤バネなどを考慮した面内応力の計算を行いました。
 ウェブブラウザで「UC-1 for SaaS FRAME(面内)」にアクセスし、計算に使う構造物のモデルを入力していきます。このとき、ブラウザ画面上にはWindowsのソフトと同様のチェックボックスや入力窓が現れ、そこに構造物の形状や荷重を入力していきます。データの入力方法は普通のパソコンソフトと大きな違いはありません。
 部材の接合条件は、「ピン」や「剛結」、「ローラー」、「スプリング支持」など、細かく設定できます。地盤と構造物が接する部分には、地盤反力係数を分布バネとして入力できます。これらのデータは、キーボードやマウスで数値として入力していき、モデルの状態はリアルタイムでグラフィカルに表示されていきます。そのため、入力ミスがあってもすぐに発見できます。
 一通り、データを入力した後はいよいよ計算の実行です。画面上の「計算実行ボタン」をクリックすると計算が始まり、完了後は計算結果ウィンドウが表示されます。部材力や変位、分布バネ反力などを、それぞれのボタンを押すことにより、表示することができます。
 計算結果の報告書の作成機能では、必要な出力項目や荷重の組み合わせ、図の種類などを細かく選び、業務のニーズにあった報告書をカスタマイズできます。報告書はMS WordやPDF、HTML、テキストなどの形式で出力できます。SaaS版は、無償公開されているビジネスソフト「OpenOffice」のワープロソフト「Writer」に対応した「odt形式」でも出力できるのが特徴です。報告書を編集するとき、フリーソフトが使えるのはありがたいですね。
 
▲「UC-1 for SaaS FRAME(面内)」の計算結果   ▲計算結果報告書のプレビュー画面。
 データとして出力し、編集することも可能だ

 一方、「UC-1 for SaaS RC断面計算」の操作体験は、1.8m×1.2mの矩形断面に鉄筋が2列配置された鉄筋コンクリート部材を題材に行われました。あらかじめよく使われる矩形や小判形のほか、I桁やT桁、ボックス桁などの断面形状がメニューに登録してありますので、その中から矩形を選びます。すると、縦横の長さやハンチの値を入力する画面がウェブブラウザ上に現れますので、画面の凡例に従って数値を入力していきます。
 次にコンクリート設計基準強度や鉄筋規格など材料の特性を入力し、鉄筋の配置画面に進みます。鉄筋は層ごとにまとめて入力でき、斜めに並んだ鉄筋の入力も簡単です。SaaS版ソフトでこれだけきめ細かく入力できるのには驚きました。
 最後に計算方法の設定を行います。許容応力度法と限界状態設計法で計算することができるので、前者の場合は「曲げ応力度」や「せん断照査」など、後者の場合は「曲げ・軸方向耐力(終局)」や「せん断耐力(終局)」など、計算する項目にチェックを入れます。限界状態設計法では、疲労強度算出用のデータとして「繰り返し回数」や「コンクリートの状態による係数」などを入力できます。
 計算結果は許容応力度法、限界状態設計法でそれぞれ表示されます。報告書のファイル形式はMS WORD、PDF、テキストです。次期バージョンで「odt形式」にも対応する予定です。

 
▲UC-1 for SaaS RC断面計算」には様々な断面形状が用意されている   ▲断面の寸法入力の例。画面上に表示された凡例に従って数値で入力していく


▲配筋の入力例。
鉄筋の層ごとに入力できるので効率的だ
▲計算結果報告書のプレビュー画面


●イエイリコメントと提案
 これまでSaaSやクラウドコンピューティングと言うと、インターネットに接続されたパソコンさえあれば、「いつでも、どこでも使える」といった機動力や軽快さのイメージが強かったのではないでしょうか。
 しかし、UC-1シリーズの本格的な設計用プログラムや、3次元リアルタイムバーチャルリアリティーソフト「UC-win/Road」などがSaaS化されたことは、最新でハイスペックのハード、ソフトを利用するという使い方も加わったと思います。
 また、プログラムを購入すると採算が合わないために外注していた業務も、SaaS化によって自社で行うケースが増えてくるでしょう。
 建築分野ではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)という、建物の3次元モデルを使って設計を進めていく手法が普及しつつあります。建物のモデルを作りながら、構造計算や流体解析などを行い、強度や環境性能に優れた設計を行うために非常に有効です。これらの計算や解析には、様々な種類のプログラムが必要となりますので、SaaS化のニーズも高まるでしょう。
 建物のBIMモデルは、各部分の形状や大きさのほか、材質のデータも属性情報として持っています。例えば、BIMソフトで設計中の柱から断面を切り取り、寸法や鉄筋の配置、コンクリート強度ごと「UC-1 for SaaS RC断面計算」に読み込んで計算できるようにすれば、設計業務はとても効率化されそうです。
 フォーラムエイトの「UC-1 for SaaS基本ライセンス」には、1GBまでのデータを保存できるサービスや、文書管理やスケジュール管理などが行えるグループウエア機能も含まれています。設計計算業務とともにデータの管理なども、SaaS上で行うことにより、情報共有やデータ管理が楽に、効率的に行えるようになります。
 米国では、維持管理分野を見すえたBIMの活用方法としても、SaaSの活用が注目されています。維持管理の現場からiPadなどの携帯端末で、SaaSで提供される維持管理システムに接続し、リアルタイムに情報を更新できるようになれば、現場と情報を一致させやすくなります。すると、維持管理計画をITで自動化したり、修繕時期を最適化したりといった改革が期待できそうです。


●製品の今後の展望
 フォーラムエイトのSaaS化の取り組みは、「強力なコンピュータを利用する」という目的があります。スーパーコンピュータといえども、5年後には性能が陳腐化してしまい、普通のコンピュータより遅くなってしまうくらいです。しかし、リース料は変わらないので、スーパーコンピュータを導入したとたんに、毎月、価格性能比が悪くなってしまうようなものです。
 こうした問題に着目したフォーラムエイトは、スーパーコンピュータをSaaSのサービスの一環として提供する「フォーラムエイト、スパコンクラウドサービスセンター」(仮称)の開設準備を進めています。4月1日にオープンの予定です。
 その内容は、3次元バーチャルリアリティーからCGムービーサービス、スーパーコンピュータによる騒音音響や風・熱流体解析まで、特にコンピュータのパワーが必要なものばかりです。
 フォーラムエイトのSaaS戦略は、ハードやソフトを「買う時代」から「借りる時代」への変化を先取りしたものと言えるでしょう。

●次回は、「土木設計成果チェック支援システム」体験セミナーをレポート予定です。


     
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