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Q&A斜面安定計算 Q&A


1.入 力

Q1−1. DOS版データをwin版で読み込むにはどうしたらよいか。
A1−1. 以下の制限事項がありますので、ご確認下さい。
 ・DOS版の計算結果は、Ver.1.80以降で作成したデータであること。
 ・DOS版で作ったデータファイルは[*.dat],[*.prm]の2ファイルが必要であり、DATデータだけでは「ファイルがありません」となり読み込めません。2ファイルとも同じフォルダへ移して下さい。
 ・読み込む際には、この*.datを入力データとして読み込むこと。
 
 以上の作業によりDOS版のデータを利用することができます。

2.土 質

Q2− 1. 単位重量はどのように入力したらよいか。
A2− 1. 一般に下記の関係で入力してください。
1mの立方体を取り出した場合、
  1. γt:不飽和土の単位体積重量(湿潤重量) 土+水+空気 
  2. γsat:飽和土の単位体積重量(飽和重量) 土+水 
    したがって「γt<γsat」
  3. γ':水中の単位体積重量(水中重量) 
    「飽和土の単位体積重量(飽和重量)」−「水の単位体積重量」 =γsat−γw


1)滑動モーメント計算用
 水位より上:常にγt(不飽和土の単位体積重量)を用います。
 水位より下:常にγsat(飽和土の単位体積重量)を用います。

2)抵抗モーメント計算用 
 水位状態に関わらず、以下の5パターンの組み合わせを任意に選択できます。

単位体積重量γ 間隙水圧u
1. γt(入力値) 0.0とする。
2. γsat(入力値) 0.0とする。
3. γ'(入力値) 0.0とする。
4. γsat−γw 0.0とする。
5. γsat(入力値)* 計 算

(設定例は「γの取扱い」参照)

*「盛土直後」の場合で間隙水圧を計算する場合、以下の算式を用いるため、便宜上「γsat」には「γt」と同じ値を入力してください。
  Ue=γu(γth)(1−U)      
   ここに

Ue: 間隙水圧
γu: 間隙水圧比(0.5〜0.8)
γt: 不飽和土の単位体積重量
h: 滑り面直上の土かぶり厚
U: 圧密度(明かでない場合は0)
 
Q2− 2. 地震時設計震度の補正係数βとは何か。また、入力の上下限値として-1.0から+1.0となっているがマイナス入力の意味は何か。
A2− 2. 本プログラムでは「計算方法の設定」で入力した設計震度「KH、KV」に各層ごとに入力した補正係数βを乗じています。各層ごとに震度を変更したい場合などにβを変えて入力してください。特に変更しない場合は「β=1.0」で入力してください。

  @β>0の時には、すべりの方向と同じ向きに考慮する。
  Aβ<0の時には、すべりの方向と反対向きに考慮する。 

という扱いを意味しています。
本プログラムではすべりの方向として「時計回り」と「反時計回り」の2方向をサポートしてますが、この方向によって符号を変更する必要はありません。
なお本プログラムでの「すべりの方向」とは『すべり円の開始位置と終了位置のY座標の標高をみて、高い方から低い方をすべりの方向とする』という判断をしています。

注)すべり円の開始位置と終了位置のY座標が等しい場合、(フラットな地表面ですべり円が発生しすべり円の開始と終了の標高差が0の場合)は、プログラム側で『時計廻りにすべり円が発生したものとして処理をする』というのが仕様になっています。すべりの方向の定義づけに問題があるのではないかという異論もあろうかと思いますが、予めフラットな地形上ですべりを検討される場合には、

  @慣性力を時計廻り(右→左)に考慮する場合にはβ>0とする。
  A慣性力を反時計廻り(左→右)に考慮する場合にはβ<0とする。

という入力で整合を図って下さい。 
 
Q2− 3. 土質ブロックの入力値について、増加基準値y0(m)の意味は何か。
A2− 3.

粘土の非排水強さCuは、一般的に、深度の大きい程、土かぶり重量すなわち圧密荷重が大きく、Cu値は深度とともに増大するのが普通であり、下式で表すことができます。

Cu=C0+kz
Cu: 地表面(基準面)から深さzにおける粘着力(kN/m2)
C0 : 地表面(基準面)におけるCu値(kN/m2)
k : 深さに対するCuの増加割合
z : 地表面(基準面)からの深さ(m)

本プログラムでは上式の基準面をy0 として標高で与えてもらうことにしています。y0、kを入力することにより下図のように深度方向に考慮します。
(注)y0の値は、格点を指定する際の絶対座標です。特定の面(地表面等)からの距離ではありません。


右図のように層の途中にy0を定義した場合はその線から下に向かってCが増加します。むろんk値を無視し、C0は一定であるとするならば、y0は入力不要です。

 
Q2− 4. 擁壁等の構造物については、土質ブロックの入力はどうすればよいのか。
A2− 4.


  1. 上図のように土質ブロックを最低4つに分けます。(分けないとオーバーハングになります)
  2. Cについては単位重量をコンクリートにするだけでよいと考えられます。
  3. つまりCを横切る円弧は存在しませんので、他の土質要素はどうでもよいです。
  4. Cを横切る円弧は存在しませんので、必ずNever-Cut-Lineを定義します。

注)すべり状況を勘案すれば、擁壁等の構造物を地形(土質ブロック)として入力することによる計算精度の向上は殆ど期待できないと考えられます。下図のようにNever-Cut-Lineのみのモデル化でもよいと思われます。



 
Q2− 5. 全応力度法で計算を行う際に土質諸元として有効応力度法の値まで入力する必要はあるのか?
A2− 5. 必要有りません。土質テーブルに入力いただく際には検討法で選択する方法側の諸元のみの入力で問題有りません。
 
Q2− 6. プログラム内のヘルプ(γの取り扱いの項)に浸潤線以下の土重の考え方についてのおすすめがあるが、どの様な考えからきているのか?
A2− 6. 「土質工学ハンドブック」7章3節によります。

3.水 位

Q3− 1. 水位線の扱い。
A3− 1. データチェックとして以下の条件があります。
  1. 旧水位線、水位線共通のチェック
    1. 貯水部は水平でなければならない
    2. 堤体より下にあってはいけない
    3. 各々最大1データでなければならない
  2. 水の状態が「水位急降下時」のチェック
    1. 旧水位線が定義されていなければならない
      (水位線はなしでも可→完全急降下時とする)
    2. 旧水位線は水位線より上になければならない
    3. 旧水位線と水位線が交差してはいけない

上記のように水位線は何れも貯水部は水平でなければならず、堤体内(堤体線上も含む。)は折れ線でもかまいません。「水位線」の入力は「水の状態」が「部分水中時」、「定常浸透時」「水位急降下時」の場合に必要(「水位急降下時」の時には「旧水位線」も必要)で、「盛土直後」の場合は入力不要です。
なお「γの取扱」における「浸潤線」とは上記「水位線」を指し、「低水位線」とは「水位線」を構成する点の中で最もレベル(y座標)の低い点から水平に引いた線分を指します。

 
Q3− 2. 水位データは全体(画面の端から端まで)に渡って定義しなければならないか。
A3− 2.

プログラム側では水位線の取扱いは以下のようになります。(旧水位線、水位線に共通。また水の状態が「部分水中時」、「定常浸透時」、「水位急降下時」何れにもに共通です。)

 1)貯水部の水位が途中で切れている(堤体上まで延びている場合も含む)場合、何れも内部で水位を堤体内まで貫通させます。


2)堤体内(重なりを含む)に2点以上定義されている場合、堤体内の水位は入力通りになります。

 
Q3− 3. 矢板で仕切られた場合の水位の定義方法。
A3− 3.


 堤体内(堤体上の線も含む。)は折れ線でかまいません。水位線は1本しか定義できないので、貯水部は水平で入力し矢板にぶつかったところから垂直に水位を延ばし、途中から上図のように右に水位を定義してください。

 
Q3− 4. 等ポテンシャル線の入力について。
A3− 4. 等ポテンシャルの考え方はS57『土質工学ハンドブック』(土質工学会)の記述通りです。(「定常浸透状態の考え方」参照。)
プログラムでは、水の状態が「定常浸透状態」であることと、間隙水圧の考え方を「計算」というスイッチのもとで等ポテンシャル線が有効に働きます。入力の注意点としては、

@等ポテンシャルの開始位置を水位線上とし、終点位置を堤体下面とすること。
Aなるべく密に入力すること。1本とか2本では計算の精度が相当粗くなることが予想されます。
以上の2点です。

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