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台船に重機を装備した海上クレーンのような浮体は、波の影響を受け動揺するため、機器や構造物への応力計算では、こうした動揺による外力を考慮しなければなりません。
今回は、MaxsurfMotionsによる動揺計算の結果を構造解析に応用するやり方を紹介します。
パネル法は一次回折放射流体解析の理論で、境界要素法(BEM)が使われます。MaxsurfMotionsは、MaxsurfデザインファイルのNURBSサーフェイス上に解析要素を生成し、応答振幅演算子(RAO)を、6自由度全て(サージ、スウェイ、ヒーブ、ロール、ピッチ、ヨー)について計算します。パネル法は広い範囲の船型に対応しますが、前進速度0に制限されます。RAOの出力に加え、流体付加質量と減衰、一次波強制力と慣性、平均漂流力と慣性、さらに船体接水面水圧等を計算します。台船のような船型の解析に、パネル法は適しています。
パネル法の前提条件は、一般的な線形ポテンシャル理論の前提が適用されます。すなわち、波高と傾斜は、線形波理論が適用されるほど小さいものであること。流体は、非粘性、非圧縮、そして、非回転性であること。
メッシュ生成 ハルにメッシュを生成するためには、ダイアログで設定を行ないます。
生成されたメッシュは下のようなものとなります。
質量配分(環動半径)の設定
MaxsurfMotiosnでは、船舶のロールおよびピッチの慣性を入力する必要があります。これらは、船舶の長さと巾の%で示す環動半径として入力します。一般的な値として、ピッチ環動半径25%、ロール環動半径35-40%、などが上げられます。環動半径kは、慣性力Iの関数として、k =(I/m)^0.5 で与えられ、mは船舶の質量です。 |
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RAOの計算
RAOは船舶の重心位置周りについて、6つの自由度全てに渡り計算されます。数値は、ヒーブに関しては波高により、ロールとピッチについては波傾斜により無次元化されています。
表データは以下の通り。動揺の位相ずれも表示されます。
計算結果サマリー表
波スペクトラを設定した後、MaxsurfMotionsで解析を行なった結果は、以下のような表にまとめられます。
これは、台船が周期4秒、波長25mの波を真横(90°)から受けている状態を表します。Significant amplitudeの項に、有義振幅における6自由度の加速度があります。
- サージ加速度 :0.002 m/s2
- スウェイ加速度:0.152 m/s2
- ヒーブ加速度 :0.073 m/s2
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- ロール角加速度:0.00429 rad/s2
- ピッチ角加速度:0.00011 rad/s2
- ヨー角加速度 :0.00013 rad/s2
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これら加速度を、外力として梁および面構造体に作用させることで、波動揺による外力の影響を分析することができます。例えば、Multiframe4Dには、外力として、ある地点(台船の重心位置など)での線形加速度と回転加速度を入力することができます。
開発元:Bentley Systems(Formation Design SystemsはBentley Systemsに吸収合併)
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(Up&Coming '16 新年号掲載) |
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